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ダンジョンで遊ぼう!! ~VRゲームの世界ですが、冒険者にいきなり襲われるのは嫌なので楽しくダンジョンを作りたいと思います~  作者: 愛原ひかな
第5章 元スペードの挑戦

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ピリコと北の住人


「ピリコ、すまない。お喋りの度が過ぎた」


「べっ、別にそんな深くは気にしてないナッ。それよりも、魔王様が見知らぬ女の子を連れてくるなんて……」


「私、パルトラと言います!」


「ええっと……こういう時は……、ワタシはピリコよ。よろしくナッ」

「こちらこそ、何かとよろしくお願いします」


 ペコリと頭を下げると、ピリコは照れくさそうにする。


「パルトラさんネ……魔王様、些細なことで変わった点はあるかナッ?」

「この神殿の最深部に、リスポーン地点があった」

「なるほどネ……お宝は見つからなかったかナッ?」

「残念ながら。だが、これからの魔界を統括していく上で、大きな収穫に繋がったことに間違いないだろう」


 自慢げに喋った後、ちらりと私の方に視線を向けた。


 ヴァルハリーザは何かと期待されているご様子でいた。ひょっとしたら、私を戦力の頭数に入れているつもりなのかもしれない。


「さてと、一度拠点地に引き上げるぞ!」


 ヴァルハリーザが仕切るも、一歩も動かない。


「うん? また来たか」


 赤い海の上に、船らしき物体がいくつも出現していた。


「見つけたぞ、北の魔王よ」


 神殿に続々と上陸してきたのは、ゴブリンの集団だった。

 いや、違う。

 見た目は確かにゴブリンだけど、いずれもプレイヤーである。

 ヴァルハリーザやピリコと同じく、モンスターをベースにしたアバターで間違いなかった。

 それはそうと、北の魔王ってどういうこと?


「ピリコを連れ帰りたいと? それはお断りだぜ」


 ヴァルハリーザが堂々と言い張ると、ゴブリンのプレイヤー達の顔が怒りっぽくなった。


「これはこれは、南の魔王ヴァルハリーザか。ここより遥か北にあるエリアを統括出来るのは、北の魔王だけだ!」

「キサマら、今更になってオレに何を言っている? ピリコはオレの配下であり平等な関係を保てる友だ。他の誰にも渡す気はないぞ」

「ふん。ピリコ様が嫌と言うのなら……力ずくでも連れ戻してやる」

「それはさせないからな」


 ヴァルハリーザとゴブリンのプレイヤー達の間に、激しい火花がチラつかせる。


 いまにも、戦闘が始まってしまいそうな雰囲気になった。


「ピリコさん、北の魔王ってどういうことですか? それに連れて帰るとは……」

「早々に変なことに巻き込んでごめんネ。簡単に言うと、ワタシはボイコットしてるのよ」


 ヴァルハリーザを盾に身を隠したがっていたピリコは、正直に答えた。


「魔王のボイコットですか……?」

「正確には役職ネ。正直なところ、メンドウなのよ」

「それでボイコットを……」

「メンドウが全てではないけどナッ。ヴァルハリーザとは単に昔からの幼なじみだから、一緒に南のエリアを魔王の力で発展させたいってネ」

「理想に忠実……それは良いですね。私も手伝いますよ」


「手伝うとは、どういうことかナッ?」


「私も戦いますってこと!」


 メニュー画面を開いて、持ち物の確認をする。


 使える武器は、えっと……。

 持っているはずのエグゼクトロットには、使用制限が掛かっていた。

 他の武器は、今現在持ち合わせていない。


「すみません、手ぶらで来てしましまして……」

「パルトラさん、何やってるのかネ?」

「ピリコよ。杖でも何でも良いから、武器を貸してやってくれ」

「承知だナッ!」


 ヴァルハリーザの指示通り、ピリコは私を武器を差し出してきた。


 SR武器、春風の杖だ。

 ピンク色の丸い水晶に、振り回しやすそうな棒の感覚。

 エグゼクトロットと違って投げには使えないから、そこだけ気をつけないといけない。


「では、行くぞ!」


 ヴァルハリーザが斧を取り出すと、ゴブリンのアバターに近づいていった。


「はあっ!」


 斧を振り回して、ゴブリンのアバターに容赦なく攻撃を仕掛けた。


 吹き飛んていくゴブリンのアバターのいくつかは、地面にぶつかった瞬間リスポーンする。

 ここでのリスポーン地点は、神殿の最深部になるので、長期戦になればなるほどこちらが不利になってくる。


「とにかく、拠点地に急ぎましょう!」

「パルトラさん……そうだネ、早く神殿を抜け出さないとナッ」

「北の魔王、何処へ逃げる?」

「逃げる、じゃないネ。ワタシはヴァルハリーザの理想に加担したいだけだナッ」


 ピリコの周囲には、揺らめく炎がいくつも浮かんでいた。


「……だから、帰らないネ。えいっ!」


 ピリコが繰り出した掌は、ゴブリンのアバターの顔面に直撃した。


 ゴブリンのアバターはそのまま吹っ飛んでいき、地面へ着地すると同時にリスポーンする。


 お二人さんは、強い。

 アバターの動きを見てはっきり分かった。

 だがしかし、敵も簡単にはあきらめないと思われる。


「そこそこ数が多いネ」

「ちっ、拉致があかないか。一旦集合してみるが……」 


 ゴブリンのアバターの圧倒的な数に対して、徐々に追い込まれていく。


 リスポーンが早いのか、倒しても倒してもすぐに復活してきて神殿の奥地からもやってくる。


 特に増援が厳しい。

 異空間から船がやって来ているみたいで。


 異空間……何処に繋がっている?

 今はそんなことを気にするより、打開策を考えないといけない。


 私の範囲魔法は威力こそ高いが、同時にヴァルハリーザとピリコを巻き込んでしまう可能性があるので不用意に使えない。


 神殿の足場がそこまで広くないので、挙動が分かっていても回避も困難みたいだし……。


 精霊の召喚はどうかな?

 すぐにイメージ出来そうなのが、大精霊オシリスくらいしかないけど、やってみるか。


お陰様で第五章スタート!!

お読みいただき、ありがとうございます!

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