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ダンジョンで遊ぼう!! ~VRゲームの世界ですが、冒険者にいきなり襲われるのは嫌なので楽しくダンジョンを作りたいと思います~  作者: 愛原ひかな
第4章 パルトラのお手伝い・エレメンタルバレット編

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月の精霊魔導士


 追尾からの不意打ちが一番面倒くさいと感じる。


 念のため、銃を一度向けておくか。

 僕は一瞬だけ、後方に銃口を向けてみた。


 すると、気配が消えた。


「ジェイラさん、後ろを向いてどうしたのですか?」

「いや、何でもないよ」


 なりふり構わず先に進んでいく。


 僕の動作に気づいて怖気づいたのか知らないけど、不意打ちされるリスクが減ったのは良しとしよう。 

 徐々に滝の音が大きくなっているので、目的地には確実に近づいていること間違いなかった。


「あれが滝壺。着いたね」


 キラリが足を止めると、大きな滝があった。

 滝は洞窟の中にあるので、推測だが外よりも流れる音が激しく聞こえていた。


「ジェイラさん、大きな滝ですね!」

「そうだね。水辺ということは、ホタル草はどこにあるのかな?」

「あっちのほう」


 キラリが指し示したのは、滝から続いている川だった。

 その川からとても近い陸地に、青白く光る草が何本も生えていた。


「あれが、ホタル草?」

「そうだよ。ここにいっぱいあるからね」

「よかった……。でも、大丈夫かな……」

「パルトラさん、どうしたんだ?」


「いっぱい取りすぎて、他の冒険者が採取出来ないとなると迷惑かなって」

「幸いにもアルカナダイヤのスキルをまだ使えるから、僕も手伝うよ。いっぱい取っておいで」

「それなら、ありがとうございます」


 パルトラはキラリと共に、採取ポイントへ近づいていった。

 僕は周囲の警戒をしつつ二人を眺めておこう。


「ホタル草を採取、ここは三つかな」


 キラリが先に採取して、品質を確かめる。


「まぁまぁかな」

「ホタル草もいろんなことに使えるから、いっぱい取っておこう」


 パルトラがホタル草をつまむと、にこやかになった。


 それに釣られたキラリが、徐々に表情がほぐれていく。



「水辺の魚モンスターはいない。で、僕の後ろにいるのは誰かな?」


 僕が銃を後ろ方向に構えると、背の低めな青髪の女の子が背筋を凍らせた。

 隠れるのが下手か。


「ルルナ……です……」

「名前まで聞きだすつもりはなかったんだが、何が目的かな?」

「せ、精霊魔導士です……。今夜は、その……」


「えっと、君は精霊魔導士なのか?」


「ひっ、ごめんなさい。ごめんなさい……」


 青髪の女の子は、僕に対して普通にビビっていた。

 彼女が両手に持ってる大きなフォークで一突きすれば大ダメージを受けそうなんだけど、それすらしてくる気配はない。


 一旦、銃を構えるのをやめようか。


「僕も銃を向けて悪かった」

「いえ……悪いのはこちらですから……」

「それで、ルルナさんでしたっけ。ここへは、何をしに来たのかな?」


「その……採取です。ホタル草の……」


「パルトラさんたちと目的が一緒だったか。丁度、採取を始めたところだしよかったら一緒に」

「えっ……?」

「うん? どうしたのかな?」

「その……敵なのに……?」

「僕を敵扱いか。……精霊魔導士、なるほど」


 ソルルが言っていた月の精霊魔導士のことは、ルルナで間違いなさそうだ。


「敵意を見せないなら別に戦う必要はないと思う。少なくとも、今はだけど」

「あ……」

「あ……?」

「あ、ありがとうございます。採取……行ってきます」

「どういたしまして」

「ふふっ……」


 ルルナはほんの少しだけ笑った。


 それから、暫くパルトラとキラリを見つめたあと、両手に持っていたフォークをしまい込み、駆け足で近づいて行く。


 背中の部分に丸い模様が入った白いローブを着用していて、うさ耳のフードが揺れる。


 あれが月の精霊魔導士、ルルナ。


 性格がソルルと違いすぎるような気がする。


 ソルルと違って消極的というか、引っ込み思案というべきか。

 どことなく、あらゆる物事が雲隠れしていきそうな雰囲気を出している。


「これが終わったら、レアモンスターを探さないといけないけど……」


 パルトラの二つ目の目的はブラッディーベアを探し出して、倒すこと。


 ブラッディーベアはレアモンスターなので、そもそも出現しているかどうかすら運だ。

 仮に運よく出現していたとしても、かなりの強敵であることには間違いない。


「より確実性のある勝ち方が必要なのかも」


 ホタル草の採取が落ち着いたらで構わない。


 皆を招集して、作戦会議するべきだろう。


今回もお読みいただき、ありがとうございます。

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