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ダンジョンで遊ぼう!! ~VRゲームの世界ですが、冒険者にいきなり襲われるのは嫌なので楽しくダンジョンを作りたいと思います~  作者: 愛原ひかな
第4章 パルトラのお手伝い・エレメンタルバレット編

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ライフポーションの作成


「賢者の石が持っ能力は、合成と再生だったか?」

「ジョーカーお兄様、合ってますよ」


「これでもアーリーアクセス版にあった宝石の性能くらいは、ひと通り覚えているつもりだが……」


「発動、合成能力。サークルの展開……」


 パルトラはスキルを発動させる位置を指定すると、赤い輪っかが出現した。


「ジョーカーお兄様、先程の植物アイテムをあの中に入れてくださいね」

「ノア。それは分かってるけど、ペソペソ草ひとつで完成する回復アイテムって一個じゃなかったか?」

「それなら心配に及びませんよ」


 ノアは、パルトラのことをよく見ていた。


「ネフティマちゃん、素材アイテム持ってきてる?」

「指図されなくてもちゃんと出来るから」


 赤い輪っかの目の前に移動したパルトラは、ネフティマと共に素材アイテムを枠の中に入れようとしていた。


 賢者の石による合成スキルは、輪っかの内側に指定された素材アイテムを入れることによって、新たなアイテムを生み出す効果がある。


 出来るかどうかは色で判別可能だ。

 赤いのはまだ満たしてなくて、合成の条件が満たせば緑に変色する。


「黒き飛竜の涙と、凍てついた蜘蛛の巣。ちゃんと入ったね」


 パルトラは、遠慮なくレアアイテムを入れた。


「回復アイテムを作成するのに、そんなので大丈夫なのか?」

「ジェイラさん、合成スキルで下級アイテムを作成する際には、必須となる下級アイテム以外のカテゴリを上位種のものにすると、完成個数が増えますので」

「ふむ。いまから作成するライフポーションの必須アイテムはペソペソ草だから、それ以外のアイテムをレアアイテムにしたってことかな?」

「そういうことです。では、素材アイテムを入れてください」


 パルトラに指示されたので、僕はペソペソ草を輪っかの内側に入れた。

 すると、輪っかの色は緑に変化した。


「合成開始!」


 パルトラは緑の輪っかに向かって魔力を注ぐと、素材となるアイテムが光りだした。


 三つのアイテムが合わさり、瓶詰めの容器が複数個、地面に落ちた。


「ひーふーみーよー」


 パルトラは数え始めた。

 僕がぱっと見た感じでは、瓶詰めのライフポーションが全部で十二個あると捉えた。


「ジェイラさん、ありがとうございます。お陰様でライフポーションが十二個も出来ました」


 喜んだパルトラは、右手を上げて降り始めた。


「僕としても、スキル玉の効果を活かせて良かったと思うよ」

「そうだね。レポートだっけ? ちゃんと書けるかな」

「情報としてまとめるのには、まだ不十分だとは思ってるけど。パルトラはそれをどうするんだ?」

「この回復アイテムは、冒険者に渡す用です」

「冒険者に渡す……?」

「宝箱を用意しているのですよ。ダンジョンといえば、やりがいのある探索もあったりしますからね」

「なるほどね……」


 僕が納得した表情を見せると、背中からひんやりと冷たい空気が流れ込んでくる。


 とても小さな精霊がこちらに近づいてくる。

 この精霊はダンジョンを気に入っているのは確かなのだが、ちょっと不思議である。

 仮に精霊を雇っていたとしても、オシリスにちなんで闇属性なのがセオリーなのだと思っているのだが……。


『マスターさん、オヨビデスカ?』


 ブルースピリットが、パルトラの傍に寄ってきていた。


「出来上がったライフポーションを、宝箱に仕込んでください。場所は地下一階層から三階層にかけてお願いします」


『かりこまりました、ナノダー』


 ブルースピリットは指示を受けると、すぐさま飛び去っていった。

 ライフポーションを持って行ったのか、作成したてなのに見当たらなかった。


「てっきり闇属性の精霊がいると思っていたのだが、まさか水属性の小精霊が徘徊してるとは思いもしなかった。ここはとても不思議なダンジョンだね」

「そうですか? 私はただシクスオの世界を冒険をするついでに、ダンジョンマスターとして、このダンジョンを発展させているだけですから」

「冒険に、ダンジョンの発展ね……」


 どちらもやり込み要素に思えてしまうが、パルトラにとっては日常であり、特別なのだろう。


 パルトラの顔は嘘をつかない。

 近くにいて喋っているだけでも、それがひしひしと伝わってくる。


「ノア、あの中型の精霊って見せたことってあるのか?」

「ジョーカーお兄様、急にどうしたのですか……?」


 ネフティマとのお喋りを中断したノアは、首を傾げた。


「ブルースピリットをみて、ふと思い出しただけだよ。あの子の存在、パルトラは知っているのかなって」

「いえ……。パルトラ様の前では、一度もありませんので」

「そうか。なら、その精霊を今から召喚できるか?」

「ジョーカーお兄様、それは可能ですけど思考に不安が付きまといますね。本来は悪しきプレイヤーさまを拘束させる際に用いる奥の手なのですが、よろしいのですか?」

「ここでなら構わない」

「お兄様がそう言うのであれば、呼びますね」


 僕の突発的な言葉に納得していなさそうなノアは、黒い魔方陣を足元に展開した。


「呼び覚ませ、奈落の巫女よ。我が魂の共鳴に答えよ――エルトリア」


 ノアが詠唱を終えると、パルトラと身長がほぼ変わらないピンクの髪の美少女アバターが、僕の目の前に現れた。


『ノア様、お呼びでしょうか?』

「えへへ……今回はジョーカーお兄様のお願いですけど」


『こんばんは。ジェイラ君も元気にしていた?』


「うん、エルトリア。僕はとても元気だよ」


 僕が応答すると、エルトリアは丁寧にお辞儀をした。


 エルトリアは、羊の角を頭から生やしている闇属性の中型精霊。

 黒いミニハットを身に着けて、黒色の巫女のような格好をしていた。


 NPCなので、基本的にテンプレートの解答をしてくる。

 しかし見た目はごく普通のプレイヤーのようにも見えてしまう。

 また、エルトリアは他のプレイヤーを拘束することが可能な、凧揚げのようなオブジェクトを二つ浮かばせていた。


 凧揚げの模様は神社にありそうなお札そっくり。うっかり触れると、変な呪いでもを掛けられてしまうかもしれない。


「ノアちゃんが人型のアバターを召喚? その子はいったい……」


 パルトラの関心は、間違いなくこちらに向いていた。


お読みいただき、ありがとうございます!!

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