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ダンジョンで遊ぼう!! ~VRゲームの世界ですが、冒険者にいきなり襲われるのは嫌なので楽しくダンジョンを作りたいと思います~  作者: 愛原ひかな
第4章 太陽の紋章・エレメンタルバレット編

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待ち合わせの喫茶店


「ジョーカーお兄様、助けて頂きありがとうございます!」


 防御壁を解いたノアは、吞気に僕の元に戻ってきた。


「ノアがサモンコールを使えば、あの程度の相手は一瞬で片付けられるのでは?」

「えへへ……ノアはジョーカーお兄様に守られたい気分なのです」

「本当かな?」

「そ、それは本当ですよ! それは頭の片隅に置いといて、ジョーカーお兄様が怪我をしてます……」


 ノアは、僕の左腕を気にしていた。

 大したダメージは負ってないのだけど、死骸をすぐに調べたがっていた僕は、左腕を動かして元気そうなアピールをする。


「お兄様、いますぐ回復魔法を使いますね」


 ノアは詠唱を始めた。


「僕は大丈夫だって言ってるのに」


「女神の祝福、かの者の傷を癒やしたまえ」


 詠唱が終わり、傷口が一瞬で綺麗になった。


「ノア、ありがとう」


「どういたしましてっ!」


 ノアが瞬きをすると、ほんの少しだけ瞳に赤みが入った。

 回復魔法を使用すればするほど、吸血鬼体質になるというデメリット効果の前兆らしき症状。


 現段階では大したことないが、できる限り負傷にまで発展する戦闘は避けたい。

 この場で必要最低限のことを調べあげたら、予定通りに事を進めるつもりでいる。


「調査すべきなのは、ミゲルというプレイヤーの死骸だけで良いか」


 僕はミゲルの死骸に近づくと、おでこに着目した。

 ミゲルのおでこには、はっきりと太陽の紋章が刻まれていた。


 ただ、死骸になってしまった影響なのか、どす黒く変色していた。


「ジョーカーお兄様。セーフティ期間が適用されなかった理由、何か分かったのですか?」

「操り人形のような魔法の効力は、既になくなっているのかもしれないね」


 僕は指をさして、太陽の紋章をノアに教えてあげた。


「紋章で冒険者を操って、何が目的なのでしょうか?」

「それは太陽の紋章を刻んだ者に接触してみないと、わからないよ」

「そうですか……。ここでノアにも出来ることは……回復魔法を使って起こしてみますか?」

「いや、今は情報が少なすぎる。現状では、彼女の元へと案内してくれたらそれだけで十分だよ」

「お兄様、それもそうですね。では、行きましょう!」


「今度は先走りしないように、僕の方から差し出しておくか……」


 僕はノアと手をつないで、進むべき道を突き進んでいくことにした。

 待ち合わせ場所は、曲がり角を曲がったすぐ近くにある。


 喫茶店シャムシエール。

 噴水が近くにあって、外で食事することも出来る休息の場。


「ジョーカーお兄様、こっちですよ!」


 ノアが率先して案内してくれる様子だ。

 ここはノアの誘導に従おう。

 そして、僕が接触したいと望んでいた彼女は、店の外に並べられている席に座っていた。


「ジョーカーお兄様、座ってくださいね」

「ああ、そうだね」


 僕は丸い椅子に座ると、彼女と目が合った。


 薄水色の長い髪に、丸みのある藍色の瞳。

 着用している薄紫の吊りワンピースは見た目の幼さを引き立たせて、彼女がダンジョンマスターのひとりであることをうっかり忘れてしまいそうだった。

 また、彼女の背中には白い天使の羽が付いており、飛ぼうと望めば、どこまでも飛んでいきそうな雰囲気を出していた。


「えっと……。私、パルトラと言います。よろしくお願いします」


 丁寧に挨拶をしてきた。


 彼女は半年前、現実世界の未来に救いをもたらし、シクスオの世界の礎となった存在でもある。

 そして、異変調査レポート1の重要人物はパルトラのことである。


 僕に対しての警戒心がなさそうなので、対話は問題なく通じると思われる。


「僕はジェイラだよ。よろしく」


 手を差し出して、握手でもしようとしたら、ノアの手が僕の腕にのしかかってきた。


「ジョーカーお兄様はとってもかっこよくて強いのですよ」

「ノア、余計なこと喋るなよ」

「えへへ……何かありましたっけ」


 僕の左隣に座っていたノアが、遠慮なく僕にもたれこんでくる。


「ノア、あのさぁ……」

「お二人は、仲良しなんですね」


「まぁ、そんなものかな」


 僕はため息をつく。


 ひとまず、話しやすい話題から口にしていくか。


「現実世界のことになるけど、ノアとは血筋が同じなんだよ」


「へぇー。そうなんだね! ノアちゃんの現実世界のお話、ほとんど聞いたことがなくて、現実世界にお兄さんがいるなんて思いもしなかったです」


「僕のことを聞いたことがない……? ノア、そういうものなのか?」


「えへへ、パルトラ様のことを気遣った結果です。ごめんなさい……」


「ノアちゃん、落ち込まないで! 私が空白の泉で過ごすようになってから、現実世界の時計でもう半年くらいになるだけだし」


「そのくらい、ノアもわかってますよ。空白の泉は、時間の概念がないみたいですから……その……」


「ノアちゃんと違って、なんとなく時間感覚がおかしくなっちゃうよね」


「パルトラ様、そうではないですっ!」


 ノアの頬がほんのりと膨らんだ。

 ノアは怒っているわけではなく、やや興奮気味になっていた。


お読みいただき、ありがとうございます!!

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