表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

10/165

新たなモンスターを作成します


「襲ってきそうなモンスターは近くにいないね」


 念のため、周囲の安全を確かめておく。

 ソルシェイドが大きい体だから、ワープさせる範囲も大きめで意識しておかないといけない。


「ダンジョンに戻りますよ!」


 エグゼクトロットの先端を地面につけると、ワープゾーンが出現した。

 転送先は当然、私が所有する記憶の石像を設置ある部屋だ。


「ほう、ここでダンジョンの中身を操作しているんやね」


 アレイは早速、ダンジョンの様子を示している立体型の地図に注目する。

 関心度は思ったより高いようにみえる。


「モンスターの配置とかできるということは、宝箱を置くことも可能ということやね?」

「そうですね。今からモンスターを生成して新たに置こうと思っているのですけど、一緒にされますか?」

「ボクは遠慮しておくよ。このマップを見ながら新しい装備品を考えてみたいと思うから、出来れば部屋をひとつもらえると嬉しいやね」

「わかりました。新しい部屋をダンジョン内に作りますので、装備品の作成等はそちらでお願いします」


「恩に着るやね。ところで、フィナ殿はこの後どうするやね?」


「あたしはパルトラについて行く。モンスターを生み出すところが、みたいから」

「この場でモンスターを作成するのですけど」

「パルトラ、そうだったの?」

「まだ言ってませんでしたっけ?」


 私はすぐさま記憶を掘り返す。

 そういえば、フィナが来てから一度も新しいモンスターを作り出してなかった。


 今から作れば納得できるかな?


「先に、こちらから作成しちゃいましょうか!」


 デーモンウルフのコアを三つ取り出した私は、歯車のようにつなぎ合わせる。

 ここにひとつ手を加えると、強化したモンスターが生まれたはず。


「今回は……火の魔法石を合わせます!」


 フィナから頂いた火の魔法石を手元に出して、デーモンウルフのコアに混ぜ合わせると、バチバチと小さな火花が飛び散った。


「歯車が、回り出した?」

「そうですね……」


 歯車から垂れてきた炎の球体が地面に落ちると、そこからウルフの形を成したモンスターが誕生した。

 炎の体を震わせる四足歩行の獣。二歩、三歩と前に歩く。


「フレアウルフやね。少なくとも、フィールドマップで出現する奴らよりレベルが高いやね」

「レベルが高い……」


 私はすぐにステータス画面を開き、確かめる。

 ――ってこれ、モンスターのステータスをみてもわからない。フレアウルフは、私がフィールドマップでまだ出会ったことのないモンスターだから、比較のしようがない。


 出現場所は、フェニクル近辺。

 今後、行く機会があればチェックしておきたい。


「もしかして、魔法石を媒体にしているから、ですか?」


「そうやね、フィナ殿の言うとおりや。ひとまずパルトラ殿はセンスあるみたいだし、これなら装備品の作りがいがありそうやね」


 ソルシェイドを手懐けるアレイは、大声で笑わないよう堪えている。



「ひとつ良いものをみせてもらったやね。装備品作成のアイデアも湧いてきたから、ぼちぼち作業部屋に連れていってもらえるやね?」


「はい。アレイさん専用の作業スペースは、もう出来てますよ!」


 頷いた私は、アレイの足元にワープゾーンを作り出していた。


「ワープで連れていってもらう前にひとつ、ボクとフレンド登録しとくやね」


 私の元に、メッセージが送られてきた。

 フレンド登録しませんかという表示画面だ。


 私は、迷うことなく承認する。


「ありがとうございます。よろしくお願いします!」


 アレイに感謝を伝えると、私の頭を軽くぽんと触ってきた。


「あとは……たしかフィナ殿は、以前やってたやね?」

「うん。パルトラに出会うまでは登録を保留にしていましたけど」

「何かの縁やね。今後もよろしくやね」

「今日お会いしてまだ二、三回程度ですが、こちらこそよろしくお願いします」

「では、ボクはしばらく装備品の作成に籠もっているから、なんか用があったらすぐに声をかけてやね」


 そう言ったアレイは、ワープしていった。


「アレイさんは、凄いお方ですね……」

「うん。そうだな」


 モンスターの作成をしただけなのに、鋭い視線でなんでも見抜く力がある。

 それは、強力な鑑定スキルでも持っているのかと思えるほどだ。


「とりあえず、このフレアウルフをダンジョンに放ちます」


 私はエグゼクトロットを取り出して、軽く振る。


 ダンジョン内のモンスターの転送はこれでもできる。

 プレイヤーと違って、ダンジョン内で移動させるのが楽だと思える。


『吾輩も運んでくれないか?』


「あっ、ソルシェイドさんのこと忘れてましたね……」


 ソルシェイドに対して、エグゼクトロットを振る。

 これでアレイの元に送っておく。


「あとは、コアの設置……」


 また新しい部屋を作り出して、フレアウルフのコアとなったものを設置する。

 これによって、ダンジョン内にフレアウルフが徘徊し始めるので、道中では強いダークスライムだけが出てくる状態でなくなった。


「ふへっ……」

「パルトラ、疲れました?」


 フィナと二人っきりになって、少し静まり返る。


「ゆったり寛ぐのも悪くないと思いますけど、もうひと仕事したいですね」


 私は、酸の土をため込んでいる部屋の監視画面を出した。


「ここにお肉を投与したら変化するのかな?」

「たぶん?」

「じゃあ、やりますね」


 私は所持アイテムの一覧を出して、酸の土がある部屋にお肉を送り込んだ。

 すると、お肉は酸の土によって、腐敗し始めた。

 でも、すぐに腐敗しきった肉にはならないので、暫く眺めるだけのお仕事になりそう。


「ふと思ったのだが、パルトラはアンデッドを作るんだよね? スケルトンくらいの弱めなモンスターを作るのかなと思っていたのだが」

「作り出すのはグールですね。スケルトンにするには、骨の質が足りないといいますか……」

「なるほど。強い骨といったら……ドラゴン?」

「そうですね。基本的には、強いモンスターから取れるでしょう。あとは、スケルトンは基本的に剣や盾を持っていますので、その辺りの装備品も用意しないといけないのもありますよ」

「スケルトンの作成、意外と手間が掛かりそうなんだな」


 フィナは何度も頷いていた。モンスターの作成難易度と強さは直結しないということは、強いモンスターもその気になれば量産可能という意味にもなる。


お読みいただき、ありがとうございます!!

面白いと思いましたら、感想、ブックマーク、評価をお願いします。作者の励みにもなるので何卒よろしくお願いします!!!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ