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東京清掃人 ~異世界と繋がる日本に潜む者~  作者: スカーレッドG
チャプター3:模範的清掃活動
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chapter3-3

「セイ君、こっち調合終わったよ~」

「おう、ありがとう」


シホの前には付与魔法を詰め込んだ試験管が出来上がっていた。


それぞれ黄色と無色透明、それからピンク色の試験管が並べられている。


これよこれ。


この仕事をやる上でシホの魔法は欠かせない。


これが無ければ清掃人としての仕事が成り立たないからね。


臭いの視覚化が出来る魔法は黄色だ。


この魔法を吸い込めば10分間程、特定の臭いだけを視認できるようになる。


空中で色が付いているように見えるのでお勧めだ。


最近じゃ、警視庁の鑑識課でも採用されている優れものだ。


透視魔法は壁越しでも相手を視認できるものだ。


どこかに隠れていてもすぐにわかるように出来ている。


ピンク色の魔法が空間電気伝達魔法を付与したものだ。


この魔法を使えば空間に電気を伝達して痺れを起こして逃走を手助けする。


痺れの効果は1分程度、ビリビリと身体が動けなくなるぐらいの電気が空間に漂って武器を使えない状態にする。


ただし、使用を間違えると自分自身が被害に遭うので取り扱いは慎重にしないとね。


それからポケット内部で割れないようにある程度強化魔法を掛けた状態だ。


思いっきりテーブルの角や壁に投げつけない限りは破損しない。


何かの拍子で服の中で試験管が割れて中の魔法が漏れだしたら大変だからね。


「市販で買うと10万円以上するからね……」

「そうねぇ……市販の場合は魔石から付与魔法を取り出すような作業をするからお金も手間もかかるのよ。それに、犯罪組織が入手するのを防ぐために高値に設定しているって話よ」

「成程ねぇ……でもこれで仕事のほうは整いそうだよ。ありがとう」


ヨシムネを二丁、ホルスターにしまい込む。


それから弾倉も忘れずに……。


予備弾倉含めて8つ……。


現在装填積みの弾丸を含めると70発か……。


ま、ゲームみたいに大量に持ち込んだら服からはみ出してパンクするからな。


軽量魔法を使えば持ち運びも簡単になるが時間制限もあるし、魔法が切れた途端に一気に重くなって嵩張る経験を一度している以上、あの悲劇の繰り返しは御免だね。


忘れ物はナシ……。


ヨシ、問題ないな。


「シホ、行ってくるよ」

「それじゃあセイ君、仕事頑張ってね」

「ありがとう。いってきます」

「いってらっしゃい」

「変な訪問販売員とか来ても居留守にしていいからね」

「わかっているわ。気を付けてね」


シホにハグとキスをして部屋を後にする。


早速仕事に取り掛かろう。


車に乗り込んでいざ恵比寿駅に向かう。


駐車場から道路に出てみたけど、首都圏だというのに車の流れが少ない。


道路はがら空きだ。


その理由はすぐにわかった。


「成程、検問所を作っているというわけか……」


警察が検問をしていた。


大通りには検問所がいくつも敷設されており、赤豹狩りをしているというわけだ。


通りでいざこざの流れ弾を食らいたくないから車の量が少ないわけか。


「そこの黒いMidnight!こっちに来てください!」


おっと、早速警察官の方からお出ましか……。


ここは素直に警察官の指示に従う。


路肩に車を停めていると、警察官がスィーっと移動してやってきた。


警察と書かれた防弾チョッキを身に着けているのは下半身が蛇のような構造をしているラミアだった。


ラミアの警察官か……珍しいな。


にゅるにゅると舌先を出しているが、これは種族の特徴だ。


俺を味見するかのようにジッと見つめたあと、先ずは免許証を見せるように言ってきた。


「免許証を拝見したいのですがいいですかぁ?」

「ええ、どうぞ」

「ではでは……」


自動車免許証をラミアの警察官に提示すると、じっくりと舐めるように見つめている。


赤豹狩りを官民一体となってやっているだけに、厳しいチェックだ。


ICカード付の免許証のため、カードを専門の機械に差し込んで偽装免許証かどうかまでチェックをしている。


チェックが終わり、免許証は返された。


「ご協力ありがとうございます。何か車内に危険物等は持ち込んでありますか?」

「おっと……それですが許可証を貰っているので、こちらが証明書になります」


拳銃二丁に攻撃性のある付与魔法入りの試験管……。


清掃人の許可書が無ければそれだけで武器集合罪で警察にお縄になる案件だ。


東京都から交付されている清掃人のライセンス許可書を提示する。


「どれどれ……清掃人番号071……内守誠一郎……免許証ナンバーと照合一致……武器はありますか?」

「ええ、ホルスターにしまっています。いずれも認可された銃ですよ」

「銃のコード番号を見せてもらってもいいですか?」

「ええ、どうぞ」


ラミアの警察官に見えるように銃のコード番号を見せる。


ラミアの警察官はそれを機械で撮影して番号の照合を行う。


機械を通せばあっという間に承認された武器かどうかも行える。


便利な時代だな。


問題ないと判断されたのか、ライセンス許可書も返してくれた。


「問題はないですね。ライセンス許可書をお返ししますね」

「ありがとうございます」

「ところで……内守さんも赤豹狩りを行うのですか?」

「ええ、それに関する依頼が来ていますのでこれから伺いに行くところです」

「そうですか……川崎市外にいる赤豹たちは都内の至る所に潜伏しているみたいなので、どうかお気を付けください」

「ありがとうございます。そちらも気を付けてくださいね」

「はい!お心遣いありがとうございます!」


ラミアの警察官はビシッと敬礼をして見送ってくれた。


気のいい人だったな。


この前の巡査長とは大違いだ。


さて、気を引き締めて任務に取り掛かるとしよう。


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