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東京清掃人 ~異世界と繋がる日本に潜む者~  作者: スカーレッドG
チャプター3:模範的清掃活動
18/26

chapter3-2

食洗器に入れた皿とコップに洗剤が降り注いでいる間にパソコンのメールを確認する。


清掃人としての仕事の依頼が舞い込んできている。


それも企業……財閥企業として名高い十菱グループからだ。


戦前から存在している十菱財閥を汲んでいるだけに、工業系に関しては非常に強みを持っている。


戦後にGHQによる財閥解体後も、グループ企業として生き残った実績がある。


それに、十菱グループは異世界にも進出しているので魔導工学に関する特許を多く取得している。


さっきシホの髪の毛を乾かしていたヘアドライヤーも十菱電気製だ。


そんな十菱グループの中でも金融を担当している十菱金融からだ。


―――【メール受信】―――


投稿者:十菱金融


件名:仕事のご依頼について


―――【メッセージ内容】―――


こんにちは十菱金融専務の水落みらです。清掃人登録を受けている内守様に仕事の依頼をしたくご連絡した所存でございます。


先日から都内各地で騒ぎを起こしている赤豹について、原宿区内にある当社関係施設が赤豹による攻撃を受けて複数の職員が死傷する事態となっております。


警備スタッフが応戦しましたが、相手は完全武装しておりこちらの警備スタッフは全滅。


施設の中にあった多額の金額が入った複数のチップカードと、当社の機密情報が入った鞄が強奪されました。


このうちチップカードを巡っては、当社グループで非常用セキュリティプロトコルを発動させて無効化しましたが、鞄に関しては内部の非常用爆破装置が作動しておらず、赤豹によって爆破装置が無力化された恐れがあります。


機密情報の詳細に関しましては当社の金融システムに関わる内容となっており、押印がされた紙媒体が40枚程あります。


もし、この機密情報がライバル企業に横流しされると非常に困ります。


そこで、内守さんにはこの機密情報の入っている鞄を見つけ出して奪取、もしくは破壊をお願い致します。


幸い鞄に取り付けてあるGPSはまだある程度生きている状態になっており、今現在千代田区の国鉄恵比寿駅周辺に反応があります。


恵比寿駅周辺を捜索し、この鞄を見つけた場合はこちらが指定する場所に届けてください。


また、奪取が難しい場合には遠慮なく自爆用の暗証番号を入力してください。


鞄は非常に強固なオリハルコン製の鞄となっており、手りゅう弾等の一般人でも武装可能な爆薬でも傷を付けるのが難しいです。


鞄に備え付けられている電子パネルで自爆用暗証番号「#37564」を入力すると、1分後に鞄内部に入っている爆発魔法が作動して半径30メートルの範囲を吹き飛ばします。


暗証番号を入力してから遅くても50秒以内に退避をしてください。


仕事が成功した暁には、成功報酬として500万円を支給致します。


また、鞄を届けてくださった場合にはさらに謝礼として追加で報酬を弾むことをお約束致します。


お忙しいところ恐縮ですが何卒宜しくお願い致します。


株式会社十菱金融 専務

水落 重

〒103-XXXX

東京都中央区日本橋……。

TEL 03-XXXX-XXXX/FAX 03-XXXX-XXXX……。


―――【閉じる】―――


赤豹が襲った十菱金融の鞄を取り戻す……か……。


奪取・破壊を問わず成功報酬が500万円……。


奪取して指定された十菱金融金庫に届ければさらに謝礼ときたもんだ。


悪くない、それに日給と考えればかなり高いもんさ。


依頼を引き受けよう。


十菱金融の水落さんに依頼を受ける旨をメールで伝える。


とりあえず、これで依頼の契約は成立した。


依頼の契約を交わしたら、次にやる事は仕事の準備だ。


恐らく、赤豹たちは拠点に戻ろうとした際に川崎市に通じる道が警察と自衛隊によって封鎖されたことで戻れなくなったのだろう。


今は川崎市で官民ヤクザ一体となって赤豹狩りをしている頃合いだが、十菱金融を襲撃した赤豹のグループはまだ息をひそめているはずだ。


準備をするにあたって、必須ともいえる付与魔法の調合をシホに頼む。


シホは付与魔法であれば自力で魔法を作ることができる。


この前みたいにオトモを使って魔法を付与したみたいに、試験管などの媒体があれば魔法の効果をとどめて使いたいときに使用することができる。


それがシホの能力だ。


「シホ、対象の匂いを視覚化できる付与魔法はあるかい?」

「ええ、あるわよ。どのくらい必要かしら?」

「ざっと2つ、それから透視魔法を2つ、逃走時に相手を攪乱する空間電気伝達魔法も2つ……合計6つ作ってくれるかい?」

「いいわよ。20分ぐらいかかるけどいいかしら?」

「勿論。俺は武器のチェックをしておくよ」

「分かったわ。出来上がったら呼ぶわね」

「ありがとう、助かるよ」


シホが付与魔法をしてくれている間に、俺も武器のチェックをしておこう。


相手が複数人いて完全武装しているとなれば、武器がヨシムネ一丁だけでは厳しい。


ホット・セーブの時はシホが全力を出した時間遅延魔法があったから何とかなった。


逆に言い換えれば時間遅延魔法がないと対処ができない。


押入れの中から武器入れを取り出してじっくりと選ぶ。


アサルトライフルだと重さも考えると服に嵩張るから駄目だとして……。


制圧力を優先して銃身を切り詰めたソードオフ式のM870ショットガンか……。


それとも連射力があって、100発マガジンを搭載できるスウェーデン製のサブマシンガン「CBJ-MS」か……。


あえて予備のヨシムネを取り出して火力マシマシの二丁拳銃にするか……。


「……よし、これにするか」


10分程考えた末に、俺は予備のヨシムネを取り出して二丁拳銃で依頼に挑むことにしたのであった。

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