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再開 Ⅰ

「で、次の狙いは?」

「……どうでしょう。殺したい奴等は沢山いますけど村がどういう状況か分からないので。」

 

 すると、シャルは仲間の一人に手招きをする。

 

「この子はレイン。『ワープ』のスキルを持っている。二人で村に偵察に行くと良い。」

「……よ、よろしくお願いします。」

 

 少し内気そうだが、実力は確かなのだろう。

 正直、シャルよりは馬が合いそうだ。

 赤い髪が魔族だということを表している。

 

「『ワープ』のスキルに時間制限とかは無い。もし行って危険を感じたらすぐに帰って来るといい。最悪、レイン一人で帰ってきてたとしても君なら『隠密』で何とか出来るだろ?『奇襲』も使えるしね。」

 

 この人達には持っているスキルはすべて話した。

 もう少し控えめに伝えておけば良かっただろうか。

 そうすればもっと支援を受けられた。

 

「まぁ、なんとかします。でも取り敢えずは現状把握です。フレンがあの後どうなったのかも気になりますし。」

「よし、そうと決まれば早速行って来て貰おう。情報は私達も知りたいからね。」

 

 すると、レインが近寄ってくる。

 

「で、では。」

 

 手を差し出してくる。

 俺は手を握った。

 

「い、行きます。」

「……いつでもどうぞ。」

 

 視界が光りに包まれる。

 そして、光が消えたと思えばそこは見覚えのある自分の村だった。

 村全体が見渡せる高台だ。

 

「凄いですね。」

「あ、ありがとうございます。」

 

 レインは辺りを見渡し、危険が無いかを確認する。

 

「で、では行きましょうか。」

「手は繋いだまま?」

 

 手を引っ張られる。

 どうやらこのまま行くつもりらしい。

 

「い、いつでも転移出来るように……。それにこうしていれば『隠密』の効果も貰えます。」

「へぇ、そうなんですか。じゃあ、村の近くまで行きましょうか。近くなったら『隠密』を発動させますので。」

 

 そのまま手を引かれ、先導される。

 女性にリードされるというのは複雑な気持ちではあったが、あらゆる面で彼女が上回っているので仕方が無いだろう。

 

「……警察ですね。」

 

 村の入口には警官が二人立っている。

 そして、警戒しているのは村の内側だ。

 

「村から出て行くのを見張ってるようですね。」

「た、多分村に入ってくる人間は王国の隠密部隊がやっていると思います。恐らく、裏で警察と手を組んでいるのでしょう……。」

 

 では、我々の行動も見張られているのか。

 いや、接触されないということはまだ気付かれては居ないはず。

 

「……何処か、村の中に転移できませんか?」

「わ、私は行ったことのある場所しか行けません……。すみません……。」

 

 と、言う事はあの厩だけか。

 あの厩は村の一番端だ。

 あまり意味が無い。

 それに、今はあそこに調査が入っており、無理だろう。

 

「うーん……。何処から入りましょうか……。」

 

 暫く考える。

 

「す、すみません。私が無能で……。」

「あ!そうだ!良い所がありますよ!」

 

 昔、俺が虐められた際、偶然発見した秘密の通路がある。

 

「こっちです。あそこは誰にも気付かれてない筈です。あそこなら誰にも気付かれずに村に入れます。」

「え、ちょ、ちょっと!」

 

 レインの腕を引っ張り先導する。

 これで、さっきの借りは返せるな。

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