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キャンプ Ⅰ

 後日、案の定警備が厳重になっていた。

 村では連続殺人事件として話題が出来上がっていた。

 そしてやはり……。

 

「ここも駄目か。」

(……やはりあなたに疑いがかかっているようですね。)

 

 町中で巡回が行われており、その警官の手には俺の似顔絵が書かれた紙が握られていた。

 俺を疑っているのか、それとも被害者として捜索しているのかは知らないが、姿が見えない以上探すのは当たり前だ。

 スキルを使えば自由に行動できるが、クールタイムがあるので乱発はできない。

 

「……一度引き返すか。」

 

 引き返そうとしたその瞬間、視界の隅に見覚えのある人物が映る。

 

「あれは……。」

 

 あの美人はフレン。

 今回の標的だ。

 その顔を見て、昔の記憶を思い出す。

 

 

 

「もう妹に近付かないでくれる?」

 

 厩に放り込まれる。

 フレンとそれを取り巻く男達。

 

「じゃあ、そいつが逃げないように見張っててね。」

「おう。」

 

 フレン達は見張りの一人を残し、何処かへと去っていく。

 その中にはカインの姿もあった。

 

「く……。」

「おら!大人しくしとけ!」

 

 立ち上がろうとした所、思い切り腹を蹴られる。

 この取り巻きはフレンとカインの手下的存在だ。

 フレンの美貌とカインのカリスマ。

 その二つが村の中でも圧倒的な勢力を作るに至っている。

 

「お前が可愛そうだとは思うけどよ……。」

 

 男はしゃがみ、こちらと目線を合わせてくる。 

 同情の目だ。

 

「逃げられたらご褒美が少なくなっちまうんでな!」

 

 いきなり思い切り頭突きをかまされる。

 

「あ、そうだ。」

 

 すると、フレンが戻って来ていた。

 

「腕の骨、折っちゃって良いから。肋も二、三本やっちゃっていいわよ。ちゃんとご褒美はあげるから。」

 

 そう言うとにやりと笑い、スリットから足を出してみせた。

 男は笑顔を隠さず、俺を殴った。

 

「まぁ、そういう事だからよ。我慢してくれや。」

 

 男はそう言うと俺の腕を掴んだ。

 

「ま、待て!待ってくれ!」

「嫌だよ?」

 

 思い切り、腕を反対方向に曲げられる。

 今まで感じたことのない痛みに俺は悲鳴を上げた。

 

「あは!面白い!そんなに泣くんだ!ねぇねぇ!もう一本やってよ!」

「おうよ!」

 

 そのまま反対も折られる。

 俺は痛みに耐えられず、泣いてしまう。

 

「あはは!マジで馬鹿みたい!子供みたいに泣いてさ!」

「なぁ、フレン!褒美、もらってもいいだろ!」

 

 男がそう聞くとフレンは汚物を見るような目で男を見下した。

 

「はぁ?じゃあ誰がこいつを見張るのよ?馬鹿なの?」

「うぐ!す、すまねぇ……。」

 

 フレンは男の側に駆け寄り、肩に手を回す。

 

「……大丈夫。ちゃんと仕事が終わったらご褒美上げるから。ね?」

「お、おう!任せてくれ!」

 

 俺はそのやり取りを見ていた。

 いつか復讐するために。

 

 

 

「あいつには俺と同じ思いをしてもらう。苦痛を感じて死んでもらう。」

(でも、警戒は厳しいですよ。)

 

 ティルのその言葉に思わず笑みが溢れてしまう。

 

「大丈夫。俺に考えがある。」

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