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お題『蛍光灯』『小説』

作者: 蛙さん

特に書いた意味はないです。

暇だったので書いてみました。

そういえばこういうお題決めてくれるサイトってほんと便利ですよね。

とある学校の一室。

その部屋の蛍光灯に照らされている一冊の小説があった。

現在時刻午後9時。見回りに来ていた教師、春咲綾芽はその小説を見つけ手に取っていた。

「小説?えーと、恋愛小説かな?」

小説についていたラベルと取ってみるとおよそ15歳ほどに見える女性と男性が桜の木の下で向かい合っている絵が見えた。

題名は、

「『桜の散るころ』?」

綾芽はその題名に見覚えがあった。だが信じられず、罪悪感を押し退けて中を覗いてみることに。

「えっと、、『君と初めて出会ったのは入学してから少したった、桜の散る頃だった。』

そこまで読んで綾芽は電光石火のごとく小説を閉じた。

綾芽はその始まり方にも見覚えがあった。

なぜかというと、

「これ、私が書いたやつじゃん、、、」


綾芽は中学生の頃、今の様な教師ではなく小説家が夢だった。

そのため原稿用紙を何枚も買ってきて部屋に閉じ籠り必死にペンを走らせていた。

書き上げることができた小説をいろいろな出版社へ持っていき、門前払いされる生活を送っていたある日のこと、またもや出版社へ原稿を持っていき門前払いされ、あと一社というところまで来た時、ふと薄々感じていたいとある可能性が頭をよぎる。

『自分に小説家は向いていないのではないか』

その時綾芽は、この出版社でダメだったらもう諦めよう、と思ってしまった。

入り口の前まで歩いていき警備員に睨まれた時、「今日だけは通して」という心の願いが届いたのか

ちょうど入り口から出てきた中年のおじさんに声をかけられたのだ。

「あ、ねぇ君。君っていつも入り口の手前まで原稿持ってきてすぐ帰っちゃう子だよね?」

急に声をかけられ一瞬驚いたものの、原稿を説明するときなどのイメージトレーニングのお陰で反応することができた。

「え、あ!はい。そうです!」

「あ、やっぱり。私は少し君に興味があってね。よければその原稿を見せてもらえないかな?」

まさに千載一遇。こういうギリギリの時にチャンスをくれるものだから神様は意地が悪い。

「え!?いいんですか?よろしくお願いします!」

そう元気強く答え、中年のおじさんに連れられるまま綾芽は部屋へ案内された。

そこからの話は早く、「意外といい」という評価をつけられ、三ヶ月後には小説となって出版された。

それが『桜の散るころ』だったのだ。

だが、クラスメイトが小説家という噂は学校内では素早く広がり実際に小説を買い、読まれ、批評されるという一部のいじめのようなものが勃発したのである。

綾芽はそれに耐えられず、あえなく小説家という夢を諦めたのだった。

それから『桜の散るころ』は自分の人生の黒歴史となった。


羞恥心でいっぱいになり、数秒間動けずにいた綾芽に忍び寄る影が一つ。

「あの、先生?」

「うわっ!え!居たの!?」

その生徒は今、まさに綾芽が会いたくない生徒だった。

その小説が置いてあった机の生徒。つまり、この小説の読者である。

「えっと、先生がこの小説を書いたんですか?」

1番聴かれたくなかった部分を口にされて、綾芽は必死に弁明を考えるも無意味であると感じ取った

「えーと、、うん。そうだよ。」

一体どんな評価が飛んでくるのか身構えていたところその生徒から予想外の言葉が出てきた。

「あの!私、この小説が大好きで、、続編とか、出ないんですか!?」

「え?」

想像とは全く違った言葉が出てきて一瞬のフリーズと生徒の「先生?」という心配の声が聞こえた。

そのフリーズしていた間綾芽は、また小説を書いてみるのもいいかもしれないなんて考えていたのだった。


基本、綾芽が見回りをする際、蛍光灯の付いている教室を確認し蛍光灯を消して廊下に戻るという作業を行なっていた。

もしかして綾芽をこの思いに巡り合わせたのは蛍光灯だったのかもしれない。

続編を書くつもりはないです。

また気が向いたら新しいお題でなんか別の書くと思います。

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