5話 二日目
翌日、暗いうちに起こされた。
朝3時頃だろうか・・・
メイドのような恰好をした25,6歳のお姉さん二人に
朝です、起きてくださいと無理やり椅子に座らされ、ううーんと意識もうろうとしながら
下着、靴下をなど勝手に着替えさせられていた。
気づいたら冒険者の恰好をしていて、そのまま手を引かれて王の間まで連れられた。
食事を王の間でとりながらの会議となった。
既に7名ほど支度をして私を待っていたようだ。
騎士団隊長エメット・カイサル
偵察の状況からもしかしたら一週間経たずに魔物の大群が押し寄せて来るかもしれないらしい。
既にかなりざわついている、注意してくれといった。
城の外は真っ暗でも騒がしく、
外を振り返ってみてみたら
国富神官モーザ「騒がしいのは、ただいま急いで、王都の城壁を強化しているところです、
幅、高さとも1メートルほど昨日より増強しました。
馬で王の間の入口までやってきて次々に連絡係がやってくる。
「城の外、落とし穴はすでに深さ5メートル長さ1,2キロまで達しました。」
キッシンジャー将軍「なかなかどうして、順調すぎるくらい順調だな、さすが我らが国の民だそれでは勇者テル殿、今日はいかような作戦をたてますかな。」
「あの、将軍!勇者達が敗れた時の戦いを覚えていますか」
キッシンジャー将軍「ああ、覚えているとも」
「一番印象に残っている戦いは何処でしょう?」
「そりゃ砦奥のカエサル・ニュート城、1年前の人類最後の最大防衛戦だ!
あの時は勇者も10人生きていた。戦力、城の硬さ、食料すべて万全の体制で迎えた
勇者一人に騎士団2000名を付け総勢2万5千人の防衛体制だった。
勇者シブヤの部隊なんぞ、走りすぎて前方スタンピード施設を半日で12か所全滅させていたくらいの躍進だったが
7日経ち、8日経ち、相手のスタンピードが止まるどころか徐々に加速して
地平線まで縞模様の軍勢が次々に押し寄せるようになった。
シャーマンクラスの魔物はほおっておくと部隊ごと持っていかれるから
ワシは一番で潰して回ったが
大型のオーガクラスが攻城兵器までもちだして、
ついにポーションは底をつき一気に情勢が傾いた。
わずか10日で人類をかけた戦いに幕が下りた。
もう絶望とあの地獄の光景が目に焼き付いて離れん。
テル殿、勇者の戦いを、まだ見たことないだろ
そりゃあ凄いんだ!一振りで10匹は狩っていく
日が昇るまでに勇者一人で1万もの軍勢を圧倒する力がある
勇者は無敵なんだ・・・・
もう人間様は最後まで退いた
奴らは前回より容赦ねえだろう・・・
よう
勇者テル殿。」
「無限湧きですか?」
キッシンジャー将軍「いや、そんなことは無いだろうが近いともいえる
奴らの目標はまず神聖教会や神殿を最初にぶっ叩きに来る。
人類の希望、神聖教会!
神殿はもうここにしか存在しない。」
「それでは世界中に神聖教会が増えれば魔物が減る可能性ってあります?」
キッシンジャー将軍「ああ、間違いなく減るだろう、神聖なる力が魔物を遠ざける」
これはちょうどいい所に来たと国富神官モーザが
神聖教会 エストラル教皇を出迎える
大きなくつろげる椅子に座らせ、毛布まで掛けてあげるほどの出迎えだ。
「あの、早速ですがエストラル教皇様、
簡易的な教会や神殿の作り方はどのようなものでしょう?
エストラル教皇「簡易的なものなら神父や信徒1人で教会となります。」
みんな、え!?っとなる
エストラル教皇「神殿や教会とは心のよりどころ、すなわち精神そのものなのであります。
この場所でなければいけないというわけではありません。
人の心の中に神が神殿が宿っているのです。」
キッシンジャー将軍「それじゃあ、人間全員神父になればいいじゃねえか!」
魔法騎士団団長、シェザナ・ルーと超Z級魔術師シャルノーンが
口に含んでいた紅茶を同時に吹いた!
エストラル教皇「まあまあ、将軍様、神父になるにも条件がありまして
まず、わたくしの祝福を受け
小瓶ほどの聖水を飲み、体全体に祝福をいきわたらせます。
そして誓うのです。
神に身をささげ人のために尽くすと!
そうして、この私のマントの糸を指に結んで終了となります。
キッシンジャー将軍「おいおいおい、簡単じゃねーーか!」
エストラル教皇「そう、簡単ですが、続けるのが難しいのです
神に背く行為は日常どの場面、何度でも何度でも対峙します。
そして信徒、神父として経験を積むことで信頼度が増し、格があがるのです」
キッシンジャー将軍「エストラル教皇様!今からこの国にいる全員にその儀式は可能か?」
エストラル教皇「可能です!」
キッシンジャー将軍、ガタン!と立ち上がり「ぬおおおおお!!
今から平民、貴族まで仕事は手を止め昼までに全員モディブ広場に集めさせろ、全員だ!!!」
魔法騎士団団長、シェザナ・ルー「すごすぎ・・・」
超Z級魔術師シャルノーン 「マジだわ・・・」
日が天高く上り頂点に達したとき
総勢3500人ほどモディブ広場に集まった。
残り3500人ほどは、王族が先に自害したことから今度は自分たちの番なのだろうと不安で出てこられなかった。
キッシンジャー将軍「今から全員に神父の儀式を受けてもらう」
それによって最終決戦で生き残る可能性がでてきた!!!
どよめいていた民衆が歓声を上げ始めた。
国富神官モーザ、「それでは教皇様お願いいたします」
教皇の周りに信徒、神父、司祭、神官66人がお手伝いをして
1人ずつ順番に教皇がおでこに赤い液体を塗っていき、
司祭が口の中に直接聖水を流し入れ
教皇のマントの糸をほぐすもの
それを切って手渡しするもの
指に結ぶもの
約5時間で3500人、流れ作業のように終わった
これで全員神父や信徒になったらしい。
もう日が傾き、暗くなろうとしていた
エストラル教皇「これで皆、神父の儀式を終わりました。
いついかなる時でも神への感謝と畏敬の念を常に持ち合わせてください。」
懐から小さなベルをもちだしチンチンと音を鳴らした。
キッシンジャー将軍「それでは皆、持ち場に戻ってくれ!以上だーーー!!!!」
解散して王謁見の部屋に戻ってきた。
ステータスを見たら光属性スキルランク1
常時発動のパッシブスキル、リジェネクトヒール、キャッスルオブマインが追加されていた。
そのことをみんなに伝えると全員同じに追加されていた。
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吉田輝 (男)(勇者)
lv15
HP178
MP52
AGE22(不老)
STR23
AGI10
VIT85
DEX62
ING65
LUK102
神聖教会 信徒
リーストテレスの加護++
召喚されし者
ラストマン
勇者の加護++
属性 光
スキル 光1リジェネクトヒール (パッシブ)
光1キャッスルオブマイン(パッシブ)
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パッシブでリジェネクトヒール常時回復とかすごくね
しかも3500人いっぺんにスキル配るとか
改めて、教皇様凄いわ!
それから、このリーストテレスの加護は神聖教会の神様の名前かな?
賢者デキンズ「時間が経つのは早いの~もう夕食じゃ」
従者やメイド達が食事を並べだした。
その間も話し合いは続いた。
魔術師、賢者たちの話し合いによると、スキル・キャッスルオブマインは常時発動されることによりその場所の魔素が浄化されスタンピードダンジョンなども自然消滅するという、
人類の希望となるものだそうだ。
賢者デキンズ「なんということだこの国に尽くして100年、
それ以前からも世界の魔導士は魔法の研究に明け暮れ、尽力していたにも関わらず
精霊様や光属性の存在にすら気付かんとは・・・・
魔法騎士団団長シェザナ・ルー「いや、デキンズ様、神聖魔法は神の領域で
人が触れてはならない約束、人として生まれた我々には仕方ありまん。」
賢者デキンズ「しかしなー ルーよ! 人間の悪事から魔素がたまり魔物が生まれ、その魔物が魔素をまき散らす。古代魔法、ドラゴン、精霊様、すべてつながっておるんじゃな・・・・
我らはなぜそれらから、目を背けてしまったのか・・・
勇者テル様、この度はなんとお礼を申し上げてよいやら」
国富神官モーザ「今日も勇者テル様をはじめ、皆様お疲れさまでした、
今日は早めにお休みになって明日に備えてください。
その時だった!!
カーン!
カーン!
カーン!
カーン!
カーン!
王都、南東にある監視塔の鐘を叩く音が鳴り響いた!