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秀才妹系魔法使いは美形に弱い

作者: 雪菊



「ああ……しゅごい……ちょお顔がいい……」


中学の時の学院見学会で一度見た時よりも洗練されたその動きも惚れ惚れするけれど、一番は顔。顔が死ぬほど素敵。あの顔が傷つくくらいならば私が死んだほうがマシ。

時々でもあの顔が拝めるのならばこの高校に受かって良かった〜!


私は小鳥遊二菜。名前で分かるかもしれないけど、小鳥遊というお家の二番めの子ども。適当な名前つけんなよと思わなくもないけど、わかりやすいのはイイかもしんない。


いきなりだけれど、この世界は魔法が使える近代日本を舞台としたラノベの世界だ。なんだっけ、「落ちこぼれ魔法使いの魔法目録(ビジュアルノーツ)」だっけな。魔法目録でビジュアルノーツってどうやって思いついたんだ。読めるかよ。

その主人公である千住勇樹の幼馴染み、優等生ヒロイン小鳥遊一花の妹が私こと二菜である。弟の名前が三月なのでとことん産まれた順番が分かり易い。ちなみに階段で躓いて頭を強打して前世の記憶を思い出した。ドジか。

原作では陽玲学園魔法科高等学校2年生編から登場する姉と主人公の関係を進めるための短期間当て馬が私だ。弟なんかは滅多にでてこない。


まぁ、でも転生したなら私にとってはここが現実。どーせ異物が入ってんだから原作通りに進まないでしょー、と思ったので私は違う高校に通う超絶顔が良い主人公のライバルの相棒ポジの腹黒優男(推し)の顔をじっくり拝むために、令月学院魔法科高等学校への入学を目指した。

調べた時に陽玲学園より偏差値がそこそこ高くて、私は前世合わせてもしたことがないくらい日々勉強に勤しんで令月学院に入学した。私は面食いなので、顔が良い儚げ美形な男を見るためならある程度の労力は惜しまないのである。付き合いたいとかは全く思わないんだけど、あの顔を近くで拝めないならこの世界に転生した意味ないと思ったのだ。


「二菜、そんなにアレが良い?」

「だってあの顔、国宝レベルなんだもん……写真引き伸ばして飾りたい……」

「ストーカーよ、それ」


友人の優奈に断言されてしまって「わかってるよぅ」と眉を下げた。

彼女と初めて会ったのは中学の図書室。必死に問題集を解いている時に「どうしてそんなに必死に勉強するの?」と聞かれたので、顔が良い男を間近で見学するためだと言ったらドン引きされたのが友人になったきっかけである。


「八神秋夜か〜。性格悪そうじゃない」

「見てるだけなら性格とか関係ないじゃん」

「その顔に対してだけの情熱は素直に感心するわ」


そう言いながら彼女が見つめる先にいる涼し気な風貌の割にガッシリした身体を持つ主人公のライバルなイケメンはなんなのか。「私はあの方の性格も好きだわ。一緒にしないで」とは彼女の言葉である。五十歩百歩、どんぐりの背比べという言葉が脳内に浮かんだけれど、知らないフリをした。私は同類には優しいのだ。


顔を拝むために努力したのであって、もちろん付き合いたいとは思わない。なので既存のファンクラブのようなお姉様方からも目をつけられたりしないまま1ヶ月が経った。今までの習慣から勉強を続けているおかげでまだ成績は落ちない。先週の魔法検査で適正もわかってきたし、研究室向きと出たから成績を落とせないのもある。難しくなってきたのでどこまでやれるかはわからないけど。

そんなある日、私の平穏な追っかけ活動は終わりを告げた。


「小鳥遊さん……だよね?今、時間あるかな」


国宝級の美貌に声をかけられた。一瞬、時が止まった気がしたけれど「はい」とにこやかに返した。

生徒会室に招かれて、優奈の見ていたイケメン生徒会長である日神光一先輩と国宝級の美貌副会長の八神秋夜先輩に「生徒会に入ってくれないか」と逃す気がなさそうな目で告げられた。


「私に務まるとは思えないんですが……」

「成績を見ても魔法検査での結果を見ても、所属するに相応しいと判断した。それにあまりにも使える手駒が少ない。悪いが逃す気はない」


強制イベントじゃないですかヤダー。原作では確か「使えるやつ少ないから生徒会には俺たち以外いない」みたいなこと言ってたのに!努力の秀才の私がついていけるわけないじゃないですか!


「よく僕たちを見ていたし、都合よく転がってくれるかなって思ったんだけど」


都合よくはいかないねぇ、と笑う八神先輩。美しいものを楽しく鑑賞するには適切な距離があるのです。


「学院に手は回してある。人を引き入れろと教員連中もうるさいからな。味方などいないぞ」


日神先輩の残酷な通告に頭を抱えたい。頭痛がしてきた。

ドン、という音と共に圧迫感を感じて顔を上げると、神すら逃げそうな美貌が目の前で口角を上げていた。


「協力……してくれるよね?」


あまりの美しさについ「はい!喜んで!」と言ってしまった私は悪くない。

この後、私は生徒会での活動を始めることになった。

魔法科高等学校対抗戦でお姉ちゃんと幼馴染みに会った時に「この顔に負けて出ることになっちゃったの……!」と言ってしまったのは仕方のないことだと思う。


こういう設定で書きたいなぁと思ってとりあえず短編で書いてみました。何も書かなきゃ忘れそうだったので……。

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― 新着の感想 ―
[一言] この話がアレになるとは...。あ、連載版の方完結おめでとうございます。
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