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オーホッホッホッホ!

 異世界恋愛モノと言えば、悪役令嬢、乙女ゲーということで書いてみました。

 すみません、書いてみたかったんです…。

 お読みくださりましてありがとうございます。



【あらすじ、お話し→お話】「オーホッホッホッ!」


「オーホッホッホッ!!」


「オーホッホッホー!!!」


 聞け、この生まれながらに高笑いの似合う声色、通る声を。

 そして、長い笑いを持続できる、この肺活量。

 回転の速い頭脳に、優れた身体能力。

 高い魔法スキル。

 そして、少しばかり目つきがキツめであるが、容姿はかなりの美女ときたもんだ。

 完璧すぎるでしょ。


 それなのに、陰湿な虐めがバレて断罪されてしまうような、お間抜けな性格のオプション付き…。

私はヤらないわよ。

虐め、ダメ絶対。


 そう、私が天性の悪役令嬢の才を持つ公爵令嬢、その名はキアラよ。

 そして何を隠そう、私は転生者なの。

 今、天性と転生をかけたわ。

 オーッホッホッホッ!


 前世では、四十に足を突っ込んだぽっちゃりOLで、婚期を逃していたわ。

 まぁ、そんなことはどうでもいいけどね~だって毎日が楽しかったから~。

 そんな生活の中で、スマホゲームと某国民的アイドルグループの追っかけが、私の生きがいだった。


 だがしかし、私はここに居るのです。

 四十の記憶のまま、ここに居るのです。

と言うことは、そうよ、呆気なく死んだの。

 追っかけグループの地方公演へ遠征し、帰りの高速バスで事故に遭ったのよ。

 そして、この世界に公爵令嬢として転生したってわけ。


 そうそう驚いたことに、この世界はその生きがいの中で完全攻略した乙女ゲー「アリスと7人の騎士」の世界だったのよ。

 驚いたわ、本当にビックリよ。

 まあそれに気が付いたというか確信したのは、だいぶ成長してからなのだけどね…。


 もともと幼い頃から前世の記憶はあって、自分の中でうまく折り合いをつけて過ごしてきたのだけれど、ある出会いから私の考えが一変したの。


 あれは、私が10歳の時、お兄様の13歳のバースデーパーティーでの事。

 我が家で開かれたパーティーへ、お兄様の友人達が招かれたのだけれど、その中に7人の騎士のメンバーが、ほぼ揃っていることに気がついてしまったのよ。

 実は……お兄様も7人の騎士の一人。


 物心覚えた頃、そういえば、うちのお兄様はあのキャラと名前が一致しているな~と、薄っすら考えていたこともなくはなかったけれど……。


 まさか本当に、あのゲームのキャラクター達が、まだ幼いながらに面影のある容姿で、騎士のキャラとピッタリ同じ名で設定とほぼ変りない身分で、私の目の前にズラリと現れちゃったんだから、これはあの世界に間違いないと確信せざるをえなかったのよ。


 現実逃避したかったわ。

 でも、それどころじゃなかった。

 これはマズイと思い至ったから…。


 幼少期から薄々気が付いていて認めたくなかったけれど、私の名前と身分に環境、あのゲームに登場する悪役令嬢と一致しちゃうのよ。

 そう、学院時代の悪行の数々により彼らに断罪されて、修道院行きのシナリオが用意されている奴よ!

 

 でもちょっと待って…私は今、自分の意志で自由に動けているわ…。


 もしかして、何とかなるんじゃない!?


 そして、同時に考えた。

 この世界が、あのゲームの世界であるならば、他のキャラクターも存在するはずだと。


 そう、私の推しも!

 そして、私は行動することにした。


推しを、私の婚約者にしようと! オーホッホッホッホ!


そして私は婚約者を探し始めるのであった。

 満10歳の時である。

さてと何から始めようか、折角のハイスペックだし、魔法の腕でも磨いてみようかしら~。


***


 あれから5年が経った。

「ようやく、ようやく見つけ出したわ。」

 今、私がいるのは、我が国アスペルジュの西に位置する聖域の森を越えた、その奥の奥の奥の奥地である。


「ちょっとキアラ、本当にあそこに乗り込むのか?」

 声を掛けてきたのは、私の従者にして7人の騎士のひとり、アレックスだ。

「ええ行くわよ。だって、その為にこの5年間、地道に情報を集め足を運び、並々ならぬ苦労をしてきたのですもの。」


「でも、あそこは、魔族の王が住むと言う魔王城だよ。」

 そんなことは分かっているわよ。


 だって、ここは魔族の住む土地、レギューム。

 我が国の者達が近づくことを、禁じられている土地だ。

 その為に、この地を探し出すのに情報が無さ過ぎて、本当に大変だった。


 我が国の上層部は、魔族が魔獣を操り、国や人を襲わせていると考えているのだ。

 しかし、ゲームの攻略者である私は知っている。

 それは大きな勘違いで魔族と魔獣は、全く関係ないのだと。


 アスペルジュは、魔獣が魔族を襲わないという理由だけでレギュームを敵国と勝手に認定し、魔王が魔獣を使って世界を征服しようと企んでいると決めつけている。

 魔獣が魔族を襲わないのは、圧倒的な魔族の強さと魔力量の多さを感知し恐れてのことなのだ。

 だから、魔族は本来、人間の敵ではない。

 案外いい奴らなのだ。


 それなのに、アリスと7人の騎士では、学院で知り合った7人の者達を仲間もしくは攻略し、魔王討伐へと話が進んでいくシナリオが進んでいくのだ。

 あっ、王子がメンバーにいるし、そいつら騎士なの?って言うツッコミはしてはいけないお約束よ。

 制作会社へのクレームは、受け付けていないわ。


 そして、総ての誤解が解けるのは、魔王討伐後なのよね~。

 最初から悪者じゃないって知っていたら、絶対に戦わないわよ。

 本当に、こっちが残忍非道だよ…。



「そういえば、光の者が見付かったらしいよ。まだ力はそんなに扱えないらしいけど、これから鍛錬していくんだってさ。来年には学院にも入ってくるんじゃないかって、学院で噂になっているよ。」

 アレックスは私の従者なのだが、貴族なので普段は学院に通っている。

 私はそれよりも魔王城探しで忙しいし、あそこはゲームの舞台だから試験日以外は行かないわ。

何があるか分からないじゃない、ああ恐ろしい。


「そう、私は学院にほとんど顔を出していないから、何も知らなかったわ。光の者ね……」

おそらく、ヒロインちゃんこと、アリスだろう。

 チッ、急がなければならないわね。


「さあ、魔王城へ乗り込むわよ!」

「オー!」


「オーホッホッホッホ!」


 そう言って、意気揚々と城を取り囲む外壁に縄をかけ、侵入する2人であった。



実は家名、苗字がありません。

必要ならば全力で考えます…すみません。

次回は魔王城です。

 


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