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愛し、愛されて(3)


激しい事柄の決着はいつだってそう。呆けてしまう程あっけなく。リインカーネーションの胸に突き刺さったキルシュヴァッサーの二対の刀は確かに勝負の終結を告げていた。

二人は黙り込んだまま背を向けあう。最早語る言葉は無く、香澄は眉を潜め、アダムは見開いた瞳をきつく瞑り、歯を食いしばった。


「――――これが、世界の答えだとでも言うのか……」


アダムの言葉は空しく響き渡る。翼を広げた金色の機体は何も言わず、ジルニトラのカタパルトから大空へと飛翔していく。

香澄はただそれを一人見送っていた。止めを刺す事は必要な事だとわかっていたし追わねば成らない事も理解は出来ている。しかし、それをしてしまう事は自分自身への冒涜であるように思えていた。「

ジルニトラを脱出した香澄はキルシュヴァッサーの中、瞳を閉じて深呼吸を繰り返す。それから何かを振り切るように瞳を伏せ、小さく呟いた。


「――行くぞ、キルシュヴァッサー」


香澄の声に応えるようにキルシュヴァッサーは銀色の翼を広げ大空を飛翔する。

銀色の波紋は空を切り裂いて波紋を残して行く。美しい結晶の光は世界を照らし出し、距離も時も飛び越えて舞う。

それは世界に新たな色を付け加える絵筆のように……或いは世界を断ち切るナイフのように。滑らかな動きで夜を切り裂き、飛翔する。

己の存在と、愛と願いを込めて。

二人のアダムが刃を交えたこの刹那、世界の物語は終局へと動き始めた。



⇒愛し、愛されて(3)



「自分の宿命を受け入れるのは、別に怖くはないんだ」


そう呟いたイゾルデは寒空の下、遠くに結晶塔を臨むその場所で隣に座るアレクサンドラに告白していた。

自分の中にあるまとまらない思いは定まらぬまま、香澄を敵と据えて刃を手にしたその時から、常にふわふわと行き場も無く落ち着かないまま。それは彼女の人生の中で始めての経験であり、今までには無かった苦悩だった。

幼き日から、いつかは大企業の跡目を継がねばならない定めを背負っていたイゾルデ。結晶機とミスリル、人と世界の戦いに幼き日から巻き込まれてきた。

それに疑問は抱かなかったし、そうする以外の道はないのだと自ずと諦めて来た。それ以上を願う事も、それ以上に大切な物を作る事もしてこなかった彼女は世界の真実を知り、大切な物を作り、それに刃を向けた今、迷いを消せぬまま戸惑っていた。

三月の夜だというのに、春の気配が感じられない程夜は冷たく二人に圧し掛かっていた。視線の正面、行き交うハイブリッドや国連軍の人々の流れをぼんやりと眺めながらイゾルデは息を付く。


「……だけど、わからなくなってしまったんだ。自分がどうするべきだったのかも……どうしたかったのかも。よく、判らないまま……自分で迷いを断ち切ったつもりで、考える事を放棄して生きてきた事を思い知らされた。信じたいものを信じて、結果を残した響と某は違いすぎる……」


「本当は、イゾルデも香澄と戦いたくなんかなかったんでしょ?」


「……わからない。でも恐らく……途中まではどうでもよかったんだ」


彼女は一般の人間とは隔絶された世界に生きる存在だった。

故に、一般的な友人は一人も居なかったし、一般的な子供らしさとはかけ離れた人生を送ってきた。常に自分を律して正しくあるべく行動してきたイゾルデにとって、第三生徒会での日々など人生の通過点の景色にすぎなかった。

強制的に先へと進む、とめることの決してままならない電車の中、イゾルデはたまたま一時停車したその駅に降り、その景色を眺めているだけのつもりだった。それがいつの間にかそこが終着となり、そこが大切になっていた。そんな気づく事も無かった当たり前の幸福が、どうしようもなく心を苛んでいた。


「女々しいだろう……? ふっ、自分が女であると嫌でも認識させられる……。いや、それは言い訳にはならないか……。響は、立派だった……。アレクサンドラ、お前もな」


「……イゾルデは、これからどうするの?」


「……。祖父……エアハルト社の社長が、ドイツに帰国するようにと言っている。これからミスリルと人間の決戦が始まるなら、某はエアハルトの人間として、本社にいるべきだとな」


「そっか。じゃあ、離れ離れになっちゃうんだね」


「…………そう、だな……。そう、なるのか……。いや、分かってはいたんだが……」


頭を抱え、苦笑を浮かべるイゾルデ。アレクサンドラはその肩を叩き真面目な表情で言った。


「大丈夫!」


「…………なにが?」


「さっきからイゾルデが何言ってるのか、あたし全然わかんないから」


「うぐっ」


腕を組み、朗らかに笑うアレクサンドラ。確かにイゾルでも自分で自分が何を考えているのかよく判らない状態にあるので、それが彼女に伝わらなくても仕方が無いと思う。

しかしアレクサンドラは笑ったまま、遠くを眺めてその場所へと手を伸ばした。やがて両手で作った小さな小窓の中に結晶塔を捉え、語りだした。


「問題はさ。やっぱり自分がどうしたいか、なんじゃないかな」


「ああ」


「それで、後悔しないかどうか……でも、今もし自分がわからなくて、迷いが振り切れなくて、心が痛いって泣いてるなら、それは忘れちゃいけない大切な痛みだよ」


視線を向け、微笑むアレクサンドラ。その横顔は無邪気で、不安定だった気持ちが少しだけ定まるような気がした。


「間違ったり苦しんだりする事を恐れる必要はないよ。走って転んで痛くても、それは自分が『走った』事実を肯定してくれる。間違えてしまってもそれは大切な自分の一部……。あたしはそう思うな」


「……お前には敵わないよ。前々から思っていたが、お前は迷ったり苦しんだりしないのか?」


「んんと、ないよ。経験上、そんな事をしても――絶対に現実は変わらないって嫌というほど思い知ったから」


誰かに助けを願ったところで、誰も救ってなどくれはしない。

昨日を後悔したところで、明日を危惧したところで、結局何がどうなるかなどわからないものだ。

失敗しても間違えても、それはそれでいい。前か後ろかわからなくても、じっとしていないのならば。少しでも進んだならば。後戻りだって無意味ではない。

他人と関わる事は、触れ合う事は、痛みや悲しみ、間違いに繋がっている。しかしだからこそ、新しい自分と世界と、その先にある未来を知る事が出来るから。


「あたしはそれでいい。今のままでも幸せ。あとは、香澄が傍に居てくれれば、幸せだから。響が居なくなって凄く悲しいけど、悲しんだって……死んだ人は生き返らないから」


アレクサンドラの言葉にイゾルデは瞳を閉じ、片手を額に当て、深々と溜息をついた。

言われずともわかっていることが、なぜ出来ないのだろう。当たり前の事を知らされて、絶望したいのか?

響はもう戻らない事も、痛みと向き合って生きていかなければならない事も……全ては分かっている事だ。それを認められないのか? 時が過ぎ去って諦めてしまいたいのか?

何もかも手遅れになってどうにもならなくなってもうだめだと思うようになれば、全て斬り捨てて諦めきれるのだろうか。

立ち上がったイゾルデはアレクサンドラに背を向ける。言葉も無く歩き去ったその後姿に、アレクサンドラは小さく手を振っていた。



「香澄が何であれ、ボクたちのやるべきことは変わらない」


海斗の言葉が迷いを断ち切る。少年は両手に繋いだ鎖を鳴らし、決意を秘めた瞳でヴェラードを見つめた。


「今ボクたちが相談しなきゃいけないことは、過去に何があったかじゃない。これからどうしなきゃいけないか、ですよね?」


「海斗の言う通りだ。それで俺たちはアダムがこれから何をしようとしているのか、調べていたんだが――」


佐崎の言葉を遮るように、夜の闇に沈み始めた空が一瞬で明るく照らし出された。

人気の無くなった街を照らし出す結晶塔の輝き。それは黄金に輝いては街を飲み込まんと眩く世界を侵食していく。


「おや?」


「おや? じゃなくて! なんですか、これ!?」


「……ゆっくり説明している時間がなくなったようだ。海斗、これを持って行け!」


佐崎が海斗に投げ渡したのは小型の通信機だった。佐崎は鞄からノートパソコンを取り出し、ベンチの上で起動する。


「あれがアダムの可能性、だ! 現地に向かえ! こちらからサポートする!」


「わ、わかった! ありす、行ける?」


「勿論。海斗、手錠」


ありすが取り出した鍵が海斗の両手を繋ぐ鎖を解き放つ。しかし、腕にはめられたままの錠は相変わらず重く少年の腕に纏わりついてはなれない。


「気をつけて。長時間これが外れた状態が続けば、爆弾が起動して両手が吹っ飛ぶ仕組みだって……」


「何でそんな物騒なものが……? い、急がないと!」


頷いたありすはモノレールの線路の上に身を投げ出し、空の上で漆黒の翼を広げる結晶機へと変貌する。


「ちょ、待ってくれ!」


キルシュヴァルツに乗り込もうとする海斗の手を取り、それを阻んでいたのは木田だった。

振り返って首を傾げる海斗に、木田は少しだけ迷った様子でその場で考え込み、直ぐに顔を上げた。


「俺も、乗せてってくれないか?」


「乗せてくって……何が起こるかわからないのに?」


「いや、大体はわかる! 現地に行くのに、話が分かってる奴が居た方がいいだろ? な、頼むって! 一人くらい増えても問題ないんだろ?」


『そりゃ、別に問題ないけど』


キルシュヴァルツの声に木田は海斗の手を握り締める。その視線は真っ直ぐに海斗を捉え、恐怖を堪えきれない両手は震えていた。

それでも尚、少年は行きたいと心の底から願っている。それを振り払う事など、海斗には出来そうもなかった。


「……わかったよ。ありす、彼も乗せて行くよ」


「すまねえ! ワケは後で話す……! ヴェラード、佐崎を任せるぞ!」


「承知しました。お気をつけて」


ヴェラードと佐崎に見送られ、大空へと飛翔するキルシュヴァルツ。高層ビルの森の向こう側を見下ろした時、彼らは同時に息を呑んだ。

輝きを放つ結晶塔とそこから溢れ出す黄金の光が大地を、ビルを、結晶で飲み込んで行く不可思議な景色がそこには広がっていた。どこからともなく集まりだした大量のミスリルが結晶塔目指して進軍し、街の各所で早くも戦闘が開始されつつあった。

こうなるまで何故気づかなかったのか。歯を食いしばり、海斗は結晶塔へ向かう。空を飛んでいたミスリルが二機、キルシュヴァルツへ襲い掛かったが、鎌の一振りで二つのミスリルは浄化されてしまった。

見下ろす戦場の中、ハイブリッドがミスリルと戦っている中、灰色の結晶機が槍で近づく物を叩き潰している姿が目に留まった。直ぐに隣に降下すると、エルブルスとキルシュヴァルツは背をあわせるようにして武器を構えた。


「キルシュヴァルツ……? 誰が乗ってるの?」


「ボクだよ、アレクサンドラ! それよりこれはどうなってるの!?」


「わからない。急に結晶塔が光りだして……周りがどんどん飲み込まれて――」


二人の会話を遮るように、何故か味方であるはずのハイブリッドたちが剣を構えて迫ってくる。

黒と灰の結晶機は同時に槍を鎌を振るう。放たれた重量級の一撃が周囲を根こそぎ払い除け、ハイブリッドたちは大地の上で沈黙した。


「海斗、結晶塔に近づきすぎるとヤバイ! あれはなんつーか……言葉にしづらいんだが、『ミスリルの集合体』みたいなもんなんだよ!」


「どういう事!?」


「だからなんつーかその……ああ、つまり! グランドスラム現象ってのは、結晶塔を生み出す際に生じる犠牲……じゃなくて、つまり消えた人間たちの意思全てがあそこに具現化してるんだ!」


「亡霊の塔、ってこと?」


「あーそれ近いけどなんか違う! つーか、右から来てるって海斗ぉおおお!!」


「言われなくても――――分かっているよ!」


近づくミスリルを切り払い、接近してくる金色の光に対して手を翳すキルシュヴァルツ。

放たれた時を静止する時空の波動が二つの結晶機を守る盾となる。障壁を避けるように周囲に広がった金色の光の中、海斗は確かに目撃した。

沢山の意思が、怒涛の流れとなって光の中に渦巻いている事を。舌打ちしてエルブルスを片手で担ぎ、漆黒の翼は飛翔する。

昼か夜かさえわからなくなりそうな眩い明るさの空を舞い、後退する二機の足元で次々と国連のハイブリッドや戦車、歩兵が結晶に飲み込まれていく。金色の光に飲み込まれた物は全て結晶の塊に変質し、やがて砕けて風化してしまう。

恐ろしくも美しいその景色を見下ろしながら海斗は息を呑んでいた。結晶塔という巨大な現象に対し、出来る事は余りにも少なかった。


「これは……何がどうなってるんだ……」


「佐崎からデータが来た! 海斗、とりあえず引くぞ! あれに飲み込まれれば、キルシュヴァルツだろうがエルブルスだろうが、有象無象関係なくみんな砕けて散らされる!」


「……海斗。頭に血が上る」


アレクサンドラの声に手元を見ると、慌てていたせいでキルシュヴァルツはエルブルスの足先を掴んでいた。完全に宙に反転して浮く事になったエルブルスは、槍をぶら下げたまま無様に揺れていた。


「ああっ、ご、ごめん……!? 地上に着くまで我慢して……」


「ちょっと待った! 海斗、撤退する前に不知火を探してくれ! イゾルデの奴、こっちに来てるはずなんだっ!」


『海斗、光が来る! 急がないと!』


「海斗、宙ぶらりん……」


「イゾルデを探すんだよ、海斗! 仲間を見殺しにするつもりか!!」


「……だああああああ!! 皆してボクにばっかりやらせるなあああっ!! ボクだって何をどうすりゃいいのか、わかんないってばあああっ!!」


海斗がやけくそになって叫んだその時だった。

夜空から降り注いだ銀色の羽。その一枚がキルシュヴァルツの傍を舞い降りた刹那、闇を切り裂き一縷の光が結晶塔へと突き抜けて行った。

それがなんなのか、誰もわからなかった。しかし誰もがもしかしたらという想いを胸に抱いていた。

閃光は一瞬で無数のミスリルを薙ぎ払い、結晶塔が放つ黄金の光へと向かっていく。その最先端に立ち、両手を広げて翼を広げる。

銀色の、翼だった。空に舞う結晶の羽の中、眩い輝きが金色の闇を押し返して行く。やがてそれさえも侵食し、世界を蝕もうとする結晶塔の輝きは徐々に衰えて言った。

世界の闇を切り払う銀翼の閃光。その中心に立つ巨大なシルエットに、彼らは見覚えがあった。


「お、おい……。あれってまさか……」


『お兄ちゃん……!?』


停止した光を切り裂く太刀の一撃。縦に大地を空を雲を光を薙ぎ払い、閃光は世界を振るわせる。完全に停止した結晶塔の前、刃を納めて振り返るキルシュヴァッサーの姿があった。


「よお。元気そうで何よりだな……皆」


「香澄!?」 「香澄ちゃん!?」 「香澄……」 『お兄ちゃん!!』


四人は同時に彼の名前を呼んだ。銀色の機体のコックピットの中、その四人の重なる声に苦笑しながら応える桐野香澄の姿があった。

香澄の正面に降り立ったキルシュヴァルツは途中でエルブルスを放り投げ、キルシュヴァッサーにしがみ付いた。ロボット同士が衝突する衝撃でキルシュヴァサーは吹き飛び、背後のビルに突っ込んで瓦礫の中に消えてイク。


『ああっ!? お兄ちゃん!?』


「ありすちゃん……やりすぎだよ」


「……途中で捨てられた。いたい……」


「全く……かわんねえな、お前ら」


いつの間にか空間跳躍で背後に立っていたキルシュヴァッサーのコックピットの上に立ち、香澄は手を振っていた。人間の姿に戻ったありすはキルシュヴァッサーの元に駆け寄っていく。


「香澄のやつ……どうしてここに? アダムにとっつかまったんじゃなかったのか?」


「ああ。クソ親父ならさっきぶちのめしてきた」


「ど、どうやって……!?」


「話すと長くなるが……まあ見ての通りだ」


コックピットから飛び降り、何の問題も無く大地の上に着地する香澄。その髪は銀色に、瞳は真紅に染め上げられている。

変わり果てた香澄の姿に四人は言葉を失った。しかし、香澄は以前と変わらない――いや、以前よりもずっと優しい笑顔でありすの頭を撫でた。


「相変わらずちっこいな、ありす。木田は喧しいし、アレクサンドラはもう少し感情を顔に出した方がいいぞ? 海斗は……お前が一番、変わらないか」


「……香澄、ちゃん……? ほんとに、記憶が戻ったの……?」


「なんなら生徒会手帳でも投げ捨ててやろうか?」


「か、香澄ちゃんだー!! このツンデレっぷり……本物の香澄ちゃんだよおおっ!!」


「どぅおわっ!?」


涙を流しながら飛びついた海斗に吹き飛ばされて倒れる香澄。それに続いてアレクサンドラもありすも香澄に抱きつき、香澄は三人に押しつぶされる形で大地の上で悶えていた。


「お兄ちゃん……おかえりなさい」


「香澄だ〜! 香澄のにおいだ〜!」


「この嫌味っぽさがないと、香澄ちゃんじゃないよね……。うん、うん……」


「お前ら何そのリアクション……つーか! 男はひっつくんじゃねえええ!!」


しばらくぎゃあぎゃあと喚いていた一同だったが、暫くして気持ちが落ち着くと全員並んで結晶塔を眺める事になった。

光は空中で停止し、一向に動く気配を見せない。ありすはそれをじいっと見つめ、香澄を振り返った。


「どうやってとめたの……?」


「あ? この辺一帯の時間を停止させただけだ。だから一時的な措置だな。あと二時間もすれば動き出すぞ」


「二時間もとめてられるの……!?」


「頑張ればもうちょい行けるだろ、今のキルシュヴァッサーなら。兎に角ここで立ち話してる場合じゃないぜ」


当たり前のように告げてキルシュヴァッサーに戻っていく香澄。それを見送り、四人は顔を見合わせた。


「なんか……香澄ちゃん、ちょっと変わった?」


「変わったつーか……なんか、スッキリした?」


「うん……。きれいなお兄ちゃんだ……」


「香澄、かっこいい」


「おーい、何ぼさっとしてんだ? 置いてくぞ」


各々の感想を述べる四人を遠くから手招きする香澄。海斗たちはお互い頷き合い、香澄の後を追った。


「香澄、とりあえずイゾルデと不知火を探さなきゃならないんだが」


「そういえば来る途中に見かけたな……。じゃあイゾルデ拾って避難するとするか」


飛翔するキルシュヴァッサーに並び、羽ばたくキルシュヴァルツ。そのコックピットの中、海斗は微笑を浮かべながら少年に向かって声をかけた。


「香澄ちゃん」


「何だ?」


「――おかえり」


香澄は何も応えなかった。代わりに苦笑を浮かべ、それから少しだけ早く羽ばたいてその先へと急いで行った。


〜キルシュヴァッサー劇場〜


*つーかそもそも見てる人なんているのか? 編*



『エンディングその2』


ありす「ロボットなんてもう嫌だああああああああっ!!!!」


香澄「ど、どうしたんだよありす……」


ありす「って、こないだ作者がパソコンの前で絶叫してたの」


香澄「家族に見られて『お兄ちゃん、大丈夫?』って言われちゃったあれだな」


ありす「そもそも何でまたロボットなの!? なんで百部以上ロボット書いて、またロボットなの!!!!」


香澄「あわわわわ……! それ第一話でやるべき疑問じゃねえか! 何で今更なんだよ!!」


ありす「今だからこそだよ! そもそもこんなあとがきなんか見てる人冷静に考えてみたらいないに決まってるよ」


香澄「それはどうだろうな……。まあ、全員は見ていないだろうが」


ありす「つまり何やってもいいってことだよね!」


香澄「本編とは一切関係ありませんので」


ありす「でさ、結局なんで? なんでレーヴァテイン終わって、REV書いて、速攻またロボットなの? SF長期連載三連打って、どうかしちゃったわけ作者は?」


香澄「空想科学祭でSFにハマったのかもしれないな」


ありす「SFって言うほどのもんじゃなかったでしょ」


香澄「どうしてお前はそういうことを言うのかね。それを言ったらこれも、レーヴァテインも、まともなSFじゃないだろが」


ありす「文章もひっどいしね〜。特にレーヴァテイン」


香澄「レーヴァテインからキルシュヴァッサーへの流れで大分書き方が変わった気がするな」


ありす「文章は進化したのかな? レーヴァテインの方がいいってメッセージが次々と届いてるわけだけど」


香澄「なんか、返信の方法とかよくわかんないからしてないんだよな作者……。メッセージはちゃんと読んで反省しているので、送ってくれている人は安心してください」


ありす「ところでさ、お兄ちゃん。霹靂、REV、銀翼三つの共通点ってなんだと思う? 今思いついたんだけど」


香澄「あ? 共通点……なんだ? ロボットが出てくることか?」


ありす「ぶぶー。正解は、『ラスボスは全部もう一人の主人公』、でした〜」


香澄「…………あ、ほんとだ」


ありす「気づかなかったんだよね、作者は……」


香澄「そりゃ、駄目出しもされるわな……」


ありす「キルシュヴァッサーはさー、無駄なこと全然しなかったよね」


香澄「レーヴァテインは何故かプール行ったり遊園地行ったりしてたよな。まあ直後ヒロイン死んだりしてたが」


ありす「REVも無駄なことしなかったけど、あれは企画小説だしね」


香澄「長くなりすぎないように気をつけたのに十万文字超えたっていうな」


ありす「何はともあれ銀翼も六十部ですよ! 無駄なことしなかったのにこんなにかかるとはねー」


香澄「三十部くらいで終わってほしかった」


ありす「次はぜったい、ぜえ〜〜〜ったい! ロボットじゃないの書こうねっ!!」


香澄「……是非そうしたいな。今度はファンタジーかなんかにしよう」


ありす「まあ、ファンタジーは面白いの一杯あるから埋もれるの必至だけどね」


香澄「だからお前はどうしてそういう……」


ありす「でも最近心なしかSFロボット小説増えてきた気がしない?」


香澄「んー……。アレとかアレとか……やべえ怖くてタイトル出せない事に今気づいて爆笑しちまった」


ありす「SFロボット小説ブームが到来したら、またSFロボット小説を書くのだあ!」


香澄「何だかんだで読むのも好きだな、ロボット小説は」


ありす「同じジャンルだと評価入れ難い気がするのは何でだろうね」


香澄「……あれだ、ほら。評価入れてるくせにお前の小説だめじゃんって思うだろ?」


ありす「……」


香澄「ブログもちゃんと更新しないとな……」


ありす「えーっと、それでもうエンディングなわけだけど?」


香澄「ヒロインはいるのか?」


ありす「謎……」


香澄「なんかもう俺このまま誰ともくっつかない気がしてならないんだが」


ありす「アレクサンドラメインヒロイン化希望者多いから、アレクサンドラとくっつけば?」


香澄「…………なんでいつも、全くそういうつもりはないヒロインが人気出るんだろう」


ありす「作者のヒロインの好みがどっかおかしいんでしょ」


香澄「そうですねー!」


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