第七話 角娘ちゃんは悩んでみる
「ど、どうしよう……」
現在、角娘ちゃんは罪悪感に駆られていた。
というのも今から数分前――角娘ちゃんの角が再生してから数分後に、こんな事があったからだ。
『あ、あの角屋ちゃん……角を売りたいんですけど……』
『いいけど……て、え!? またこんな上質な角を……それも二本!?』
『だ、ダメですか?』
『構わないよ! むしろ大助かりだよ!』
結論から言うならば、角娘ちゃんは再び大金を手に入れることが出来た。
それも。
「…………」
さわさわ。
角娘ちゃんは自らの頭を触る。
するとそこにあるのは立派な角が二本である。
(やっぱり角、再生してる。この再生する角させあれば、角を売ってずっと遊んで暮らせる。でも……うぅ、どうしよう)
角屋ちゃんの反応を見る限り、上質な角は入手困難なのは容易にわかる――きっと、強い魔物とかと戦わないといけないに違いない。
けれど、角娘ちゃんは『無限に生えてくる角』を折る。
たったそれだけの行為で、上質な角を手に入れられる。
すなわち大金を楽して、ノーコストで無限に手に入れられるのだ。
「うぅ……」
角娘ちゃんが罪悪感を抱いているのはその行為だ。
まるで『養殖物を天然物』と偽る様な罪悪感。
そこに『実質こちらは損せず、相手からのみ無限に金を搾取する』という構造が追い打ちをかける。
「うぅ……で、でも……角を売らないと生活できないし……角屋ちゃんも喜んでたからいい……のかな?」
と、角娘ちゃんが何度目かになる悩み事を呟いたその時。
少し離れた大通りから、悲鳴が聞こえてくるのだった。