第四話 角娘ちゃんは角を売る
「あ、あのう……」
「ん? 角娘ちゃんじゃないか」
と、聞こえてくるのは角屋ちゃんの声。
現在、角娘ちゃんは角屋へとやってきていた。
その理由は簡単。
先ほど手に入れた角――自らの頭部に生えていた角を折り、角屋さんで換金。それで得たお金を使って食料を調達するためである。
故に角娘ちゃんは「んしょ、んしょ」っと、懐から角を取り出し言う。
「この角の買い取りお願いしたいんですけど……できますか?」
「角の買い取りだね、もちろん! 見せてもらっていいかな?」
そんな角屋ちゃんの言葉に応じ、角娘ちゃんは角を渡す。
…………。
………………。
……………………。
それからしばらくの沈黙。
角娘ちゃんが角屋ちゃんの作業――角を虫眼鏡などで見たり、重さを測ったりする謎の作業を見ながら。
(わたしの角、あんなにまじまじと見られてる……な、なんだか恥ずかしいよぅ)
角娘ちゃんがそんな事を考え「うぅ」っと頬を染めていたその時。
「角娘ちゃん」
と、やや驚愕した様子の角屋ちゃん。
彼は続けて言ってくるのだった。
「この角、どこで見つけたんだい!? こんな角、見たことないよ!」
「え、えぇと……全然ダメでしたか?」
「いいや逆だよ。こんな上質な角見たことがない……この角だけで、半年は遊んで暮らせるお金が手に入るよ!」
半年は遊んで暮らせるお金。
この瞬間、角娘ちゃんは女神ちゃんのやっつけ作業に感謝したのだった。