第十二話 角娘ちゃんと狐娘ちゃん②
「あ――きゃっ!?」
と、角娘ちゃんは尻もちをついてしまう。
すると。
「ちょっとあんた、何やってるのよ?」
と、手を差し出してくれる狐娘ちゃん。
そんな彼女は角娘ちゃんへと、言葉を続けてくる。
「あんた、どんくさいわね。ゴブリンを一撃で倒していたから、こいつなら……って、そう思ったんだけど」
「え、えっと……」
「ほら、いいから早く立ちなさいよね!」
「う、うん――ありがとう」
と、角娘ちゃんは、狐娘ちゃんの手を取り立ち上がる。
これは意外な展開だ。
なんせ、角娘ちゃんはついさっきまで、こう思っていたのだ。
狐娘ちゃんは悪の組織の一員。
角娘ちゃんの角で実験するために、彼女を誘拐しにきた。
(でも、どう考えても悪い人じゃないよね?)
もし狐娘ちゃんが悪い人ならば、先ほどの状況は格好のチャンスだった。
なんせ、角娘ちゃんは動けなかったのだから。
それを台無しにしてまで、角娘ちゃんを助けてくれたのはおかしい。
とりあえず、話を聞いた方がいいかもしれない。
などなど考えたのち、角娘ちゃんは狐娘ちゃんへと言う。
「あ、あの。自己紹介が遅れたけど、わたしの名前は角娘ちゃん――逃げようとしちゃって、ごめんね?」
「あれで逃げようとしてたの? もしあたしが悪人だったら、あんた殺されてたわね」
「うぅ……」
「でも、あたしこそごめん――急に声かけたら、驚くに決まってるわよね」
と、狐尻尾をふりふり狐娘ちゃん。
彼女は角娘ちゃんの方へと手を差し出しくると、角娘ちゃんへと続けてくるのだった。
「やり直しましょ! あたしは狐娘ちゃん――あんたに用事があって、街から追いかけてきたわ!」