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Phase3 少女(男)と少女(OS)と少女

 一番最初に感じた違和感は視線が低かった

現実リアルでの背は180センチあるボクと同じくモデリングしたはずなのに

頭一つぶん視点が低く

周りのキャラを見ても背中の真ん中辺しか見えないのだ。


 キャラクターメイクといっても種族別の雛形テンプレートを選び

例の立体造形のスタイラスペンで細部を調整していくのだが

明らかにヒト族より背が高く出来ないドワーフ族等のキャラクターが 

自分と同じくらいなのだ

「おかしいな って ボクの声 オンナノコの 声!? 」

声も完璧な少女声で 素の声とはあまりにもかけ離れ

あと頭も違和感があると思ったら 髪がユラユラ揺らめいていて足首近くまであるではないか

そして徐々に自分の着ている洋服もカッコいい執事風ではなく隣できょとんとしている

ネーベリアと同じくらいフリルやレースで盛られたワンピースドレスを身に纏っていた。


 足も負けじと小さいによくピアノ発表会等に母親が娘に履かせるような

フリルのソックス、大きなリボンのストラップパンプスと

元の格好からはあまりにかけ離れた物が目に入った。

「うわ、これはヤバイ大の男が女装だなんて目立つことこの上ないな」

男が女装してもいいのだが奇異に見えるの事この上無いだろう

とりあえず鏡面処理のオブジェストを探す 

歩くと流石に五感がアバター(仮想体)にリンクしてるだけのことはある。スースーと心もとない

感覚が足に纏わり付いてスカートもそれに併せてふわりふわりと揺れた。


 どうにか、ポータルオベリスクの鏡面処理部分を探し自分の今のアバター(仮想体)を

確認した。

其処には


背は150センチ

髪はパウダーピンク

瞳はラベンダーアイスとウイスタリアのオッドアイ

唇はローズピンク

足首まであるウェーブロングで毛先がカールしている

ローズダストのメッシュが血管の様に入っている

フリルやレースが凄く似合っている少女がいるではないか

可愛い姫袖のワンピースドレスは段々スカートやペチコートで

更にアバター(仮想体)を可愛く彩っていた。


頬をつねる。足で地団駄踏むと鏡面の中の少女もそれに倣う。

ひとまず ”女装” では無いことに安心したが 

恐る恐る胸を覗くとと可愛いブラに包まれた慎ましい双丘 

そして やはり少女体アバター(仮想体) そうっと手を股間に伸ばしても

当然男にはあるものが無かった。

 

 例えアバター(仮想体)でも特に男性アバター(仮想体)は

感覚リンクが宙に浮かないように局部も再現されてるのである 


左手首にはメニュー表示用アイテムの腕輪のあるがこれも


可愛い花輪のようなデザインに変更されていた。

流石にこのアバター(仮想体)では落ち着いて”業務”が出来ない

しょうがない一旦 リンクアウトして削除して仕切り直すかと

言語コマンドを発行する

「リンク・アウト」

というが 反応がない ダイブの時多少トラブったのでメニューから

リンクアウトを試みた ......が...リンクアウトの項目が ”グレーアウト”しているではないか

過去には項目その物が消える”事故”が発生したらしいが ”グレーアウト” てどういうことか

さっぱり分からなかった。


 さては集団事故か? ボクのプロジェクトでこんな事故がでたらクビどころでは

済まされまい 途端に寒気を感じたが、

「あれーもうこんな時間、ひとまず アウトするわ」

「オレ、そろそろションベン」

「それ、雰囲気台無しーでも、わたしも3時間だからアウトの時間ねぇ」

「じゃね」

「また此処のポータルでね 明日は金曜だから改めて インするわ」

「おう、またな」

とポータルオベリスクでブロック状のポリゴンに変化してアウトしていくキャラクター達

どうやら、アウト出来ないのはボクだけらしかった。


 イゲンテック社 雛は、涼が戻って来たらどうからかおうかとそれを

考えていた 

「そろそろ自動帰還の時間ねぇ 兄ぃったらどんな顔するかな

起きたら お帰り フレイメアちゃんて 言ってやろうかしら? 」

「あはは それいっすね 涼さんどんな反応するか 賭けません? 」

「それノッタわ」

と帰還の時間が近づいて来る ......が... 一向に戻って来る気配は無かった


「おかしいな ねぇバイタルは? 」

「今の所意識レベルが低いだけですね

後は正常値ですが そろそろ膀胱に負担が掛かります カテーテル入れときますか? 」

「そう、うん兄ぃどうしたのかしら 一応念の為カテーテル入れとくわ

わたしがやるから用意して 」

「それくらいは......」

「ダメッ 涼兄ぃは誰にも弄らせないわ どうしてもわたしがやるのっ

「あ〜ぁ、雛さんの病気始まっちゃたよ お兄さんの事となるとなりふり構わないんだから

分かりました 俺達は、新国にいくにさんに報告してきます」

「えぇゴメン、わたしのおかしいかなっては思っているのよ」

と今は業務に戻った新国にいくにに医療スタッフは報告にいく


「うーむ、大体は分かった 今回は異例づくしだな

明日に成っても戻って来なかったら彼は特別病室に移す

彼処では雛君が気の毒だあと会長と御神楽にもわたしから

メールを入れておこう 

彼をマスコミの餌食にはさせたくないからな

念の為完全介護用ベッドを用意させよう、社内にも箝口令を通達だな」

「はい、直ちに」


「なぁ、はじめよ 息子・娘同然の子達だ あの子達まで連れて逝かんでくれ」

と沈痛な面持ちでスタッフが去った執務室で呟いた。

 


 ボクも技術屋である流石に想定外ではあるが次第に冷静さを取戻した

先ずこのアバター(仮想体)のパラメーターを確認する。


フレイメア (斎木涼サイキ・リョウ

愛称: フレイ

種族: ホムンクルス族

扱い可能属性 闇、魔、冥(隠し属性)

分類 SP_NPC


LP(ライフ・ポイント 1000

MPマギ・ポイント 1000

SP(スキル・ポイント) 1000


このゲームレベル制ではなくスキルビルド制で 基本この三つのパラメーターは全ての種族で共通で




筋力 ー 物理攻撃力

俊敏 ー 機敏さ、反射神経、平衡感覚のアシスト値

耐久 ー 状態異常に耐える値

知力 ー マギの攻撃力に関わる

魅力 ー 個性の強さ、弁舌の巧みさ、統率力、肉体的な美しさを表す。


が種族に依ってばらつきがあり選んだ職業でも当然異なるシステムを採用

しており

更に職業に依って持てる武器が異なる方式で

 例えば今の少女の外見でも盾役タンクに分類される

職業を選択すると大盾や大剣が扱えるのだ。

 

 武器・防具で 追加効果を付けて後は プレーヤースキルで切り開く必要があり

ユニーク武器にはそれぞれ 武器種に応じた共通技スキルに加えてユニークスキル

が二つ付加されている。



所持している武器

メイン魔導書 レアアイテム 旧き闇の蛇

ユニークスキル : 

・ 上位召喚 遺産の少女

・ ????

空きスロット 8


サブ武器 レアアイテム  鞭 骨噛みの尾

ユニークスキル : 

・ ブラッティ・ローズ(暗黒版と冥闇版)

・ ????

空きスロット 8



職業 :  召喚士

召喚獣  ケルベロス x1

     ヘルハウンドx2

     大氷狼フェンリルの子供x1

上位召喚 遺産の少女ライブ・アーテファクトx2 10体枠の内どれか2体のみ

現在 空


防具、フレイメアのワンピースドレス一式

ユニークスキル : 

・ システム音声との対話

・ ????

空きスロット 8



 武器防具にはスロットがレアリティに依って最大10スロットの空きがあり

ユニーク武器防具は

2スロットがユニークスキルに必ず割り当てられている仕組みであり

ボクの武器はあと8スロット自由に出来る枠があるということになる。


但し、フレイメアの〇〇と名の付く防具アクセサリアイテム以外装備不可で

NPC専用ショップで購入の事


と自キャラステータスに表示された。


「何? これ! しかもSP_NPCって? 」

と思わず可愛い声を上げた。

(待て待て先ずは デバックモードだな こう言うときの為の抜けバックドアだろ

良かった、ネーベリアに仕込んどいて)


 と可愛い腕輪のゲーム内端末を操作を女の子がするように

手の甲側でなくるりと手を返し 操作して 隠し暗証ワードを入力する

これで隠しメニューのデバック項目が出るはずが、

簡易トレーサーと簡易分析以外の項目が全て

グレーアウトしていたのである。


 プログラムコアのアクセス・ディスアセンブラ(コード逆翻訳)・コンパイル(マシン語翻訳)は

当然使えなかった。

「ネーベリア、状況はどう? 」

とAIの確認も兼ねて質問を出す

[ やっと、ベリアに声掛けてくれましたね フレイ? フレイが見ている通りですよ ]

とプローブ代わりの エクステの髪をウネウネ動かす。

「こんな、なめらかだっけ これ? 」

最低限のやり取りが出来ればいいかなと思い言語データは彼女には

基本言語セットしか組み込んで無かった。


[ ふん、フレイったら酷いですね このベリアが言語語彙が貧弱でいいなんて許されるされるべきで

はありません。 こうしてフレイと同等にお話したいのです。 

これで容量を圧迫するほどやわではないですよ〜だ ]

と言い放ち いーっと顔をしかめた。


[ 改めて、フレイ よろしくね 今後はずっと貴女の相棒ナビゲートバディですよ ]

と軽くスカートを摘み挨拶をする

[ ささ貴女もこれやってみせて ]

とスカートをつまむ動作をする

「えぇ、ボク中のヒト男だよ そんな事出来ないよ 

それにボクの名は 斎木 涼だ ”リョウ” 分かった? 」

と抗弁した。

[ では協力はイヤ 知ーらないっと ]と

視線をそらす


「まってまって、君の能力ちからが必要なんだよ 頼むよ」

デバックツールでもある彼女をここで手放すことは業務放棄にも繋がる。


 ボクは、妹のマンガの貴族の娘を思い出しながらスカートを摘み足を交差させて

カーテシーをした これをボクがやるなんて思いもしなかったよ。


[ やれば出来るじゃない それにネーベリアって名があるの ”君” じゃないわ

それに 貴女のこの世界では フレイメアよ 今後、フレイって呼ぶわ貴女のこと

いいわね! 」

とビシリと指を指された。


「あぁ、もうそれでいいよ でベリア 改めて聞くけど状況は? 」

[ そうね、今分かっているのは 此処の世界に再構築化の際貴女もベリアも

何者かの、外部介入が有ったのは事実 やけにダイブプロセス丁寧だったでしょ? ]

「そういえばやけに時間が掛かったな初ダイブなんであれがデフォルトだとおもってたけど」

[ いつもは早いわ 1000年以上のハードウェアと今のハードを一緒にしないで ] 

「そうだったね、ボクはソフトウェア屋だからね 父とは違うさ 父は両方出来るヒトだったからね」

[ 貴女は ”リョウ” でしょ ”ハジメ” じゃないわ ] 

と当たり前の様にいう

「なんで父の名を ベリアに登録した覚え無いんだが? 」

[ ふふん、ネーベリア様を何だと思っているの システム擬似人格体よ現実リアル世界の

データアーカイブにアクセスするくらい訳ないけど でもたんまりこの世界のリソースを喰うわ

文字通りね 彼処見てよほらっ ] 

と彼女が指差すと樹のオブジェクトがブロックポリゴンになって拡散してしまった。

「ベリア!? 」


[ 安心して 遺跡の壁等破壊不可オブジェクトは出来ないし MOB(Moving OBject)

もね 直に修復されるわ ほら]    

と程なくブロックポリゴンから樹のオブジェクトに戻った。


(これは頻繁には使えないな他のプレーヤの目もあるし

何より急に目の前の樹等が消えたら大騒ぎになるし)

こういう自然物は当たり判定があるので寄りかかっていたら大変なことに成るところだった。


[ 貴女のいうバグの大元は分かんないわ 

ベリアの内部に起因するものか外部に起因するものかもね あとは? ]


「そうだね分類 SP_NPCってなんだい ボクはプレーヤ扱いじゃないのかい? 」

[ そうに決まっているじゃない 立って貴女とかベリア様のような

特殊なキャラが一般プレーヤー扱いに成っていたら 例え業務目的で潜っているのだとしても

周りからは不正チートキャラ扱いで誰も相手にしてもらえないでしょ だから

この世界ではNPC扱いってわけ NPCならNPCだからで済まされるでしょ 

現に今も、あまり気にするキャラ居ないじゃない ]

 

そういえばかなり目立つ格好しているのにちらちら視線を感じるだけで注目はされていなかった

[ それにね、NPC扱いのメリットもあるでしょう? 相手からステータスを覗かれないという最大の

メリットがね ]

そうだった このゲームではNPCはステータスを覗けないんだったな

 これはボクにとって思いもよらぬ副次効果だった。


 ステータスを不用意に覗かれて例えそうでなくても不正チートキャラと悪評が広まれば

ゲーム全体の風評にも繋がるし聞き取りも困難を極めるだろう

誰も進んで不正チートキャラに関わり等持ちたくないだろうしね。

その上、業務で潜っているとなるとどんな無茶な要求を迫れるかは自明であり

想像はしたくなかった。


[ でも今からくるあのがベリア達の様な高性能な ”NPC” を連れて歩くように

なると妬まれるかもよほら、来たわ ] 


とみると

種族: ウンディーネ族 


背は160センチ

髪は銀光沢のフロスティブルーで

ゆるいウェーブロングで長い

唇はピンクベージュ

瞳はオーキッドグレイ

の キャラが駆け寄ってきた


「やっほー 涼兄ぃ わたしも自キャラで来ちゃった うわぁ 可愛いわぁ

近くで見ると違うわ んーかわいい 早速パーティー登録していい? 

って なにNPCって 涼兄ぃってNPC扱いなの」

と聞き覚えのある口調のキャラに頭を撫でられた

ボクを涼兄ぃと呼ぶただ一人の肉親であり妹の 斎木 雛 その人であった。



イゲンテック社、特別病室にて

「とうとう戻って来なかったな 雛君 イゲンテック社としても彼を

全面的にバックアップをしよう

これが親友の忘れ形見である君たちへの今、最大限出来ることだ」

「ありがとう御座います 新国にいくにさん いえ、お義父とうさま」

「この頃ようやくお義父とうさまって呼んでくれて嬉しいよ 涼君はまだ呼んでくれないがね」

と苦笑いをする。


「今の時代なら、完全介護仕様のベッドで生命いのち維持の為の栄養補給や

老廃物の排泄等も全てこれに任せられる

安心したまえ

バイタルも安定している。」


 あの機器の映像の閲覧時間はとうに過ぎていて 

ネーベリアと何やら、会話している所までは映像で確認できていた。

「この特別病室も私と妻と雛君あとは信頼出来る医療スタッフ数人しか出入り出来ない

この点も安心していい」

「あの兄の業務は? 」

「いまは、彼のスタッフの黒澤君に陣頭を取らせて技術的なバックアップは彼に任せている

君も知っているだろう? 」


 黒澤くろさわ 健吾けんご 27才 175センチ 男性 は 

涼とは母校の先輩後輩の仲で

人望も厚い 長身痩躯の兄とは違いがっちりと体育会系の身体からだつきをしていて

雛が密かに懸想している相手でもあり

まさにRPGの盾役タンクをそのまま現実リアルに持って来たような好人物である。


 そんな体育会系がなぜ対極的な職業に就いているかは謎だったが


「彼.....ですか。 」

「彼が不満とでも彼なら陣頭任せられると思ったんだかな」

「いっいえ能力に不満があるのでは ただちょっと...その...落ち着かなくて

話しづらくて......その...」

と雛はわかりやすい反応をしめした。


「ふ〜ん君も年頃だ ”社内恋愛” は制限しとらんよ ははっはは」

「 お義父とうさまったら! 」

「まぁ、あまり気にかけると仕事にならんからな程々にな」

彼黒澤は涼と違い、大雑把な性格でやや神経質なところがある兄とは性格面でも

対極な存在だった。


「あのぅ...」

「君の言いたいことはわかる フレイメアいや 涼君の救出のためイゲン・ルート・オンラインに

潜りたいって言うんだろ まぁそのために彼黒澤君を陣頭役に抜擢したのだけどね」

「そうでしたか分かっていらっしゃったんですね」

「ははは何年君たちの親をやってると思っているんだい」

「だた君は医師で有って技術屋ではない非番で業務以外なら 構わんよ

ただ手当は無しだそれでいいのなら 許可しよう

アバター(仮想体)は持っているかね? 」

「はい、息抜きで拵えたのがあります 忙しくてインはしていませんが

レベル制ではないので焦ることも無いのでゆっくり兄の作った

世界がどんなものかと観光がてら愉しんでいますよ」


「ほうこれは、好都合だ既にあるアバター(仮想体)なら事故は起きえまいて

黒澤君にいって武器とやらを作って貰うといい 私からも伝えておく」

「ありがとうございます。 

涼兄ぃ待ってて 雛もお兄ちゃんのトコいくから」


 と目をつむって脳波計に接続されているカイバーウェアを装着している

彼の額にキスをする

カイバーウェアにはこのように汎用接続端子があり医療機器の末端となり

ヒューマンインタフェースとしての役割もあった。


「黒澤さん いる? 」

開発室のインターホンに声をかける

例え身内が所属していても顔パスは出来ない

面倒くさそうにしながらも雛はイライラした時の癖である腕を組み

指をパタパタ叩いていた

「スンマセン 雛さん 今ゲストルーム空けますんで 黒澤はいま来客中で ちょっと待って貰えまえんか」 

と黒澤とは異なるスタッフの声。


「いいわ、待ってあげる」

とドアの前で立ちんぼを喰らっていた。

5分か10分かちょっとにしてはやや長く感じる時間が過ぎた後

「スッスンマセン ヒッ雛さん 今開けますんで」

と声からもわかる快活な体育会系の黒澤の声が聞こえドアが開き

一人の白髪で長身痩躯、アイスブルーの老紳士と入れ替えになった

トン と軽くぶつかる。


「おっと ミス・サイキ 失礼 では黒澤君 ワタシはこれで

失敬するよ ミス・サイキにもあの件伝えておいてくれ給え 

ミスター・ニイクニの電子承諾は得ている」

「はい、了承ししゅますた 籠林かごばやし様 あの件はウチの ヒナ・サイキにも伝えておきますんで」

と慌てた風の黒澤。


「わわ、ヒナさん 其処にいたんですか まずは中に入ってくれませんか パブリックスペースでの

業務の会話はダメな事は知っているでしょう? 」

「あぁ、 ええごめんなさいね 黒澤さん」

と開発室のゲストルームにはいる

大きな電子透過 ガラスの透過度を上げ先程まで見えていた

開発室の業務中の様子は見えなくなり

単なる壁のようなテクスチャに置き換わった。


 開発室の業務中の様子を見せる事を許される

先程の老紳士は何者だろうと雛はそんな事を考えていた。


「何? 私にも見せられないって事? 」

「こればっかりは 知ってってワザとですね 雛さん」

「ふふ分かった? そうよ貴男の反応が見たくてね」

「まいったなぁ あとあの方は誰? 御兄様の知り合いかしら」

流石に、兄の業務上の相手は知る好しも無い。

「まぁ雛さん掛けて下さいよ 立ちんぼでちょっとイライラしてたでしょ? 」

「見てたの イジワルな人ね」

と優雅にタイトスカートから黒いストッキングに包まれた足を綺麗に揃え座る

黒い大きなリポンのローパンプスが童顔の彼女の印象をを更に強くしていて

黒澤は柄にも無く頬を染めた。


「まず オレからでイイッスか 先程の雛さんの質問にも答える事が出来ると思いますけど

って 今日非番ですよね」

「ええ貴重な”非番”よでもいいわ 時間は惜しいけどね兄の為だもの」

「では、先程の紳士ですが ヨーロッパの最大の医療機器メーカー 

イプシウス社 最高情報責任者 (CIO)  ケイン・籠林かごばやし氏ですよ」

「ケイン・籠林かごばやしですって! 」


その名は電子配信の医学誌 サーチング・カドゥケウス にも度々名が上がっていたが顔は

見たことが無かった

「そんな大御所がなんで? 」

「そこで 涼さんですよ」

「何故 兄が? 」

どう考えても接点が思いつかない


「それに付いては私から話そうか」

と何時から其処にいたのか 新国にいくにがすいっと現れた

「おと......いえ新国にいくにさん 何故兄が? 」

「この前、御神楽に便宜を図って貰ったときにな 取引をしたのだ

涼君の貴重なメディカルデータと引き換えに イプシウス社製の最新の医療機器を無償で

此処・イゲンテック社に優先的に導入してもいいってな

販売代理会社になるチャンスなんだよ 独断で即決したことは済まないと思っている」

と脂汗をにじませて言う 彼も個人のメディカルデータと引き換えすることに忸怩じくじ

たるものを感じたのだろう。


 イプシウス社製の最新の医療機器といえば 嘗てのスーパーコンピューターと同じ

政治取引の道具に使われていて導入をめぐってはいろいろ噂が絶えない代物でも

あった。

政治には疎い彼女でも最新の医療機器の情報は医師として当然追いかけていて

当然政治がらみの黒い噂話もついてまわる。

更にいつかは触ってみたい憧れの機器ということも相まって、雛の心は複雑だった。


「後で潜ったら兄には話を出しますよ 預かり知らぬ所でいじられるのもイヤでしょうから」

「勿論、話してくれていい、本当に済まない  機器は7日後には到着する

君の立場も変わらない あくまで彼らがほしいのはメディカルデータだけだからね」

「しょうがないなぁ 兄に言わせたら 組み込みソフト(ファームウェア)に

バックドアがー とか 情報を横取りーとか 言われそうだわ 」


 今は、著作権と特許の塊でもある組み込みソフト(ファームウェア)を

ディスアセンブラ(コード逆翻訳)を掛けたとたん ファームウェア自体が消去されるのみならず

世界特許・著作権統制機構にすぐさま通報する番犬ウォッチドッグが住み着いている。

下手に手を出すとすぐ国際問題に発展しかねないので

所有しているだけで 好奇心に屈服した技術屋が”うっかり”手を出さないとも限らない

自国でファームウェアを賄おうとするのは時代の流れであり、高度指定輸入電子医療機器は

その中でも最も扱いがデリケートな代物だった。


「そのへんは大丈夫だと信じたいね 黒澤くん済まないね君の役割を取ったようでな」

と黒澤にも軽く頭を下げた。


「とんでもないっす 新国にいくにさん オレこんなに上手く雛さんに説明できる自信が

なかったっすよ」

「ではな 早く、”孫”の顔が見たいものだ ハハハ」

と言って二人がその意味を理解して


「「うわーッ」」


と声を上げたときには新国にいくにの姿はもう其処には無かった。


「おぉ、これ雛さんのアバター(仮想体)? 」

「そうよ気合い入れたんだから これ」

とホログラムディスプレイ上には一人の女性のアバター(仮想体)


種族: ウンディーネ族 

職業 : ヒーラー

背は160センチ

髪は銀光沢のフロスティブルーで

ゆるいウェーブロングで長い

唇はピンクベージュ

瞳はオーキッドグレイで

童顔で出るトコは出て引っ込む所引っ込んでいる現実リアルより幾分

グラマラスな

ドレスローブを着用していて種族特徴の魚のヒレのような翅が2対ある

妖精族が浮かんでいて

足には可愛いデザインの大きな透明な水色のローパンプスを履いていた


「武器は  メイン武器 レアアイテム 錫杖 エレアザル 

近接武器 レアアイテム 氷柱の乙女 グラソン・ピリエ の二つを開発で用意しました

フレイメアちゃん... ...いえ涼さん同様きっちり紐付け(バインド)されますんで安心して下さい

潜ったら ポータル ポータル:N223606 の武器ショップ ” 熊の手”

NPC ”ギタリ” から受け取ってもらえますか

ワンタイムパスワード発行しときますんで今、所持している武器と交換して貰えればいいです

あとこれかなり高性能なんで妬まれるかも? いいですか? 」

「いいわ、あまり攻略は興味ないの 兄を助けたいだけだから」

「えぇ、分かってます でもほんとに妬みには気を付けけて下さいね オレは心配してんすよ

後でオレも自分のアバター(仮想体)で潜りますけど 

PK 集団 復活の月 と 横たわる獅子 の連中には目ぇ付けられないように

っと.....」

「ふふ 健吾さんったら心配しすぎよ ゴメン今は頬で赦してね ...んん...」

と雛は少し伸び上がり黒澤の無精髭がちらほらある頬に軽くキスをする。

「うぉう」

とビクリと黒澤は跳ね上がる。


「おーしっ 元気100倍今日も残業頑張るぞぅ」

と大声をあげて自分の両頬をバチリと叩く  

雛は脈をとり 

「ふふHR 160超えよ 正直ね、健吾さんったら♡ 」

とにやにやしていた。

「あっ、あとオっオレ仕事があるんで」

と浅黒い顔を真っ赤にした黒澤は慌ててとりなした。


「じゃね」

と雛がゲストルームを辞し

イゲン・ルート・オンラインに潜ったのは

それからまもなく 黒澤から武器作製完了のメールを受け取って

非番で戻った、自宅のベッドに横になって直ぐであった。


次回 4話 仮想世界 オルテート

お楽しみに

ステータスは調整有るかも知れません


本日 2017_10_29 イゲン・ルート・オンライン 設定集です 暫定版です を投稿しました

本文と合せて世界観のご参考にしていただけましたら幸いです。

暫定版ですので 文言やステータスの追加変更はあるかもです。


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