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Phase2 変容と始まりの街


「涼兄ぃ、起きてよお昼よお昼ッ 」

「おわッ もう昼か ハラ減ったな」

「はいはい これご飯」

と差し出されたのか特大のおにぎり三個だった。

これこれといいがら涼はがっつく。


「これ食べたらシャワー浴びてよ 汗臭いわ」

「すまん昨夜あのままぐっすり睡魔と戯れてたわ

これ食べたらシャワー お前んトコの宿直室の借りるけど いいか? 」

「いいけど髪の毛は拾ってよ 涼兄ぃのでもヤだからね」

「へいへい お袋みたいな事言うなよ」

「そのお袋みたいな事毎回言われてるの誰よ」

「はは ボクだね」

「そうよ」

と兄妹のじゃれ合いの中、遅出おそでのスタッが出勤してくる。


「オッス、雛さん 涼さんは? 」

と一人のスタッフが気さくに声をかけた。


「兄なら上の医療用スタッフの宿直室でシャワーよすぐ来ると思うわ

カラスの行水だしね 彼」

「はは、涼さんらしいや ところでアバター(仮想体)出来たんスかね 雛さんは見ました? 」

「ふふ 見たわ凄く可愛いよ」

「えっ、女の子? のアバター(仮想体)ですか?...... ...あの真面目を絵に描いた様な人が? 」

「ふふっ、ざんねんでした 彼らしい執事っぽいイケメンの子よ 可愛い

相棒ナビゲートバディの方よ なんでもオペレーティング・システムのらしいわ」

「あぁ、なぁ〜るほど、涼さんって自分には疎いくせにやたらと女の子には凝るんですよね

ケーム内の上位召喚のなんかは好きな小説のキャラがモデルだそうで

僕らも見せて貰ったんスがすげー可愛いだったんスよね 難しいクエストこなさないと

入手出来ないそうなんで 涼さん他人には簡単に渡したくないのかな

データだから同じコピー沢山あるんですけどね」


「全く、涼兄ぃらしいわ 彼ね、ユニークな物にこだわりがあるの

昨夜見たのも凄く”女の子らしさ”にはこだわってたわ

...あ... 戻ってきた...やっぱりカラスの行水だったわ あと行くわね わたし午後からまた

診療が始まるしそれからオペも有って篭もりきりなるの

こればっかりは涼兄ぃが羨ましいわ仕事とはいえ、VRMMOに篭もれるからね

後、兄ぃのダイブには私も付き添うわ事故なんかもう二度と起こさせないんだから

そのためにも、頑張ってオペこなさなきゃねそれじゃこれで 涼をよろしくね」

そういう彼女の目は遠くのビル群を眺め上の階のオペ室の方に視線は

向いて無かった。


 対して涼のスタッフは

「応っ! 」 とまるで学生である。

 

「おっす、斎木さん 渾身のアバター(仮想体)見せてくださいよ」

「そうだね、いいよ今後ボクがどんな姿で潜るかは皆が知る権利があるからね

後、可愛いもできたんだ 自慢のだよ

ふふこれはボクだけの相棒ナビゲートバディだしねしかもオペレーティングの擬似人格体だよ

誰にも渡さないさ」

「独占していいんですか それ 」

「当然じゃないか 高いカネだして権利も買ったんだたら...勿論後でデバック機能は外すけどね

ホントはメンテナンス用に機能残しておきたいんだけどね どうなることやら」

「あぁ、斎木君丁度そのことで話があるんだそのラフな格好でいいから会議室に来たまえ」

と其処ににこにこ顔の新国にいくにが歩いて来た


「うわぁ、新国にいくにさん 脅さないでくださいよ ただいま参ります」

と遅くまでの無申請残業でお目玉かも知れない涼はビクビクしていた。

「失礼します」

中に入って目に付いたのは 先ず 

ホログラムディスプレイの中の

夢幻ムゲンテックホールディングス 最高経営責任者(CEO)

会長 レーベン・バックラー が頬杖を付き顎を乗せ訳あり顔が一つ


そして 同じくテレビや電子新聞を賑わせていて 

新世代コンテンツ推進プロジェクト 発起人にて産業庁 大臣 

御神楽みかぐら 泰三たいぞう

その人の顔がもう一つあった。


 計2つの顔がだらしなくシャワー上がりで着崩したワイシャツと量産品の安ズボンである

最高技術責任者 (CTO)ではあるが現場主義で

いつも私服姿で首からネームタグをぶら下げているボクを見つめていた。


「すいませんこんな格好で まさか御神楽みかぐらさんまでいらっしゃるとは思いませんでした

 ぼ...わたくしはそんな皆様方の足元にも及びません 現にこんなだらしの無い格好で

皆様の前に立てる身分では...」

「そう固くならずとも良い儂と斎木 はじめの仲じゃ」

「何故、父の名を? 」

涼は不思議そうに尋ねる 

技術屋一辺倒な父が何故大物政治家と仲が良いのか

関連性がスパゲティコードの様に絡まって思考が一瞬フリーズした 

 

「儂は政治家の道、其処の新国にいくには技術屋のまとめ役

そして天才の名を欲しいままにしたハード・ソフトの斎木とは旧知の仲でな

歩んだ道は違えど根は同じよ やはり優れた者からは優れた者が産まれるものかの

彼も現場主義でのいつも私服じゃったよ

彼のスーツ姿なんて琴乃ことのさんの葬儀しか見たこと無いね」


 懐かしい 母の名が出てきて感傷に因われた

母の事故で半年も立たずに後を追うように逝った父と二つの顔が

朧気に浮かぶ

ボクが9才と10才、雛が4才と後5才の時であった。

以後 ボクたちは新国にいくに しげる氏の養子縁組となり

このイゲンテック社に縁が出来たのである。


 実力主義な社風の中、同期と時に協力ときには出し抜きようやく

今の最高技術責任者 (CTO)の地位を掴んだ

今でも同期の敵に囲まれている中でプロジェクトの政府からの抜擢だった。


「儂がいいたいのはそんな事のためにではないぞ

貴殿にVR調査官の任をまかせたくてな こうして秘匿回線を使ってあるのじゃよ

先ずは先のアバター(仮想体)とやらを見せてみぃ」

「はい只今」

と会議室のホログラムディスプレイに昨夜のアバター(仮想体)2体を投影し説明をする。


「......以上です」

とネーベリアに搭載した機能を説明を終えると

皆一同 目を丸くする流石、皆技術畑であり人生を重ねた大人である


 会話はスムーズであり質問もなく

涼の説明が的確であることの証左ともなった。

「ほぅ、これはすごいなこのネーベリアの機能が有ればVR関連の事件や事故なんぞお手のままじゃろ」

と御神楽が先陣を切る。


「まぁ、今はゲーム専用OS:シーディアを使っておりますのでこれを汎用OS用に改変すれば

ほぼ全てのVR関連のプログラムコアを弄る事が出来るかと自負しております。 」

「ほほぅ 言いおったな ......うん...よし先ずは直近のバグの件を解決してみせよ

結果しだいではその後も お主がVR調査官の任を解かれぬ限り

オペレーティングシステム擬似人格体・ネーベリアのその機能を削除しなくとも良いぞ

どうする引き受けてはみんか? 勿論、籍は此処の開発室室長いままで通りじゃ」

これは破格の条件ではないか 涼の顔が微笑んだ。


「うむ その顔は引き受けるということで宜しいか? 」

「はいこの斎木、父の名に泥を塗らぬようこのVR調査官お引き受けいたします

これからもご鞭撻をよろしくお願いたします。 」

と最礼する。


「良きかな 皆もよいか新国にいくにも、レーベン・バックラー殿も」

「勿論いいさ、新国にいくにさんの推薦人だからね」

と、レーベン・バックラー会長。


「私も嬉しいよ我が社からこんな任を任さる人材が出るなんて」

と弊社最高執行責任者(COO) の 新国にいくに


「よし君のカイバーウェアに電子承認書を送付した 承認をタップしたまえ

君の遺伝情報も併せて登録されるからな君であることの証だ」

そして涼は右手親指の腹で半実体ホログラムにタップして

承認済みにボタンの文字列が変化した。

半実体ホログラムはこのような電子著名の他

併せて生体情報登録する際に使われる技術である。


「所で、君自自身のアバター(仮想体)は地味じゃの 其処のレーベン・バックラー殿の様に

女性のアバター(仮想体)にはせんなんだかの」

と御神楽はニヤニヤした顔で 彼自身のアバター(仮想体)をつつきながら尋ねてきた。

「まだ其処まではっちゃける事が出来ません 照れますので」

「はは良い良い いつでも変えたく成ったら変えてもいいのじゃぞ

現時点のアバター体もカイバーウェアに登録されるでの エルマーチップさえ変わらなければ

アバター体は可愛い少女であろうが、爺様に片足突っ込んだ儂の様な外観だろうが問題ないからのぅ

其処は好きにせぇ ......ん...」

と彼は視線が左手首に動く時間を気にしているようだった。


「おっと、官僚の御子柴みこしばが来る時間かの また予算折衝の件か つまらん戯れ事よ

なぁ 新国にいくによ 」

「はは御神楽みかぐら、お前にはまつりごとがあろう さぁさ行った行った

子供が飴(予算)が欲しくてだだ捏ねとるぞ 小遣い早く渡してやれ」

「ふん、相変わらずの減らず口じゃの ではな 斎木殿よい結果をまっとるぞ」

とホログラムから掻き消えた。

「あいつは今時珍しい綺麗な政治家よ 政敵もわんさかおって居づらいだろうにな

昔三人で、町工場で小さなアンドロイドのイヌ作ったの懐かしいな」

新国にいくにはすうと目を閉じた


「アバター(仮想体)の件だが承認でいいのかな? 会長」

「あぁ、いいよ今の状態で承認を許可しよう追加の機能が有ったら

 新国にいくにに許可を取ってくれ ...以上だ。 ダイブ先で待っているわん♡ 」

と レーベン・バックラーは片目をつむりおどけて見せてホログラムから掻き消えた。 

「所で、ダイブは何時にするね 承認した以上は何時でも構わないが? 」

「それですが わたくしの妹 雛のヤツがオペがあるとかでそれが済んでからと言うことで

いいですかね 父の事でナーバスになっていまして......」

「うむお父上の事か そうだな いいだろう勿論、時間までは働いて貰うが」

「はい お心遣い感謝します」

と言って涼は会議室を辞した。

「ふぅ最近ますます面立ちがアイツに似てきたな」

新国にいくには部屋の片隅の、今は動かないイヌのアンドロイドに亡友を重ねていた。


 20時、イゲンテック社最上階医療特別室の一角で

「もぅ、大袈裟だな 雛 ダイブ事故なんて何時の話だよ親父の事故って20年も前だぞ」

今は、躰に重大な内臓疾患を抱えていない限りVRのダイブ事故は皆無だった

躰に重大な内臓疾患を抱えていない限りと前置きなのは

躰の首の延髄付近に埋め込まれたエルマーチップがダイブ中の代謝機能を下げて

刺激信号をチップが横取りするかたちになるからでゲームプレイのような

単なるアミューズメント目的でも長時間拘束になる場合

躰に負荷が掛かるのである。


 こういったゲームをプレイするには夜、寝静まったときや金土日の休日のときを狙って

プレイするのが一般的プレイスタイルであった。

現実リアルの躰に付けたカイバーウェアがチクリチクリと刺激を加えて

定期的なリンクアウトを促す機能を付けることが法律で定められていて

最高時間は3時間でこれ以上は強制的にリンクアウトする仕組みも備えていた。


このように使用者の生命いのち第一の設計は徹底していて

これは過去の尊い犠牲の上に成り立っていた。

ボクが10才の頃無くなった父もそうした犠牲者の一人である。


「だって20年まえの事があるじゃない

それになんの因果か今日父さんの命日じゃないの わたし、お兄ぃ事 本気で

心配なんだよ それを分かって! 」

「わかったわかった じゃあ初めてくれ」

と普通ならベッドに横になって


リンク イン 


と言語コマンドを言うだけで済むのに彼女は心電計やら脳波計やら

人工心肺装置まで持ち出してきていた

流石にこれには皆呆れていたが。


心電計やら脳波計を付けられ

「ふぅいいわ コマンド言っていいわ」

と言われやっと


リンク イン


を発行する


遠くなる意識の中


「斎木さんのアバター(仮想体)かっこいいなぁ」

「それに ネーベリアちゃん可愛いだったな」

「早く、俺達も斎木...の...に......なり... てぇ...」


定期的な心音をカウントする電子音が遠のく


眼前に広がる虹色の輪、可愛い天使達が ボクを取り囲む

初回ダイブの際の不安を取り除く為の演出ではあったが

大昔の詩人の長編詩に風景が似ていたのは単なる偶然だったろうか


システムアナウンスが天上の女神の降臨の如く降り注ぐ


[ 設定アバター(仮想体) 確認 2体......OK ] 

[ ネーベリア データ正当性チェック......OK ]

[ ネーベリア データ暗号化......OK ]

[ ネーベリア データメッシュモデル裂け割れ歪み修正......OK ]

[ ネーベリア データポリゴンモデル再構築化......OK ]

[ ネーベリア データポリゴンモデル仮想世界:オルテートに実体化......OK ]

[ ネーベリア データポリゴンモデル......ポータル:N223606待機...完了 ]

やけに丁寧なチェックだなと感じていたさて次はボクのアバター(仮想体)の番である。


[ リョウ データ正当性チェック......OK ]

[ リョウ データ暗号化......OK ]

[ リョウ データメッシュモデル裂け割れ歪み修正......OK ]

[ リョウ データポリゴンモデル再構築化......OK ]

[ リョウ  データポリゴンモデル再構築化......OK ]

此処までは順調だったが

いよいよぼくの五感をアバター(仮想体)にリンクするプロセスであり此処が過去の難関であった。

[ リョウ  データポリゴンモデル再リンク開始......開始......出来ません

何者かの外部介入有り 設定アバター(仮想体)同一暗号化モデル......2体存在します

リンク出来ません...出来ません... ]

えっどういうことプロセスは80%で停止していた。


 うわっまずいと思っても中々ダイブキャンセルの確認ウィンドウが出てこない

これはこのままじゃアバター(仮想体)ロストする。


 アバター(仮想体)ロストとはダイブ中のプロセスでアバター(仮想体)を何等かの原因で失い

五感の接続先が見つからず意識が宙ぶらりんになる事であり尤も恐れていた状況だった

普通はキャンセルウィンドウが出てきて現実リアルに戻るのだが一向にその選択肢が出てこなかった

しかし不思議な事が起きる。

機械合成音声のはずが急に人の様になめらかになったのだ


{貴男をお待ちしていました サイキ・リョウ 今から貴男はわたくしの用意する特別な肉体いえ

この世界ではオルテートでのアバター(仮想体)と呼ぶんでしたね

これに貴男の五感を接続します。


 それと貴男の腕を見込んでお願いがあります 

そこで貴男は、オルテートで世界樹ユグドラシルを見つけ

”混沌” を祓うのです そうすれば貴男の願いも自ずと叶うでしよう そうすれば

オルテートはふただび平穏になり貴男も貴男の世界へ戻れるでしょう

”特別な肉体”はこれからう一人の貴男なのです 

良いですか 頼みおきますよ これが貴男に取って良き冒険に成りますよう}


一方的に喋って一方的に途切れて

そして再びダイブプロセスが開始された。


[ リョウ  データポリゴンモデル......ステータス......ミッシング ]  

[ フレイメア データポリゴンモデル......ステータス......遭逢そうほう...OK ]

フレイメアって何者? 遭逢そうほうのステータスって? 

取り合えずアバター(仮想体)は見つかったようだ

気に入らなければリンクアウトして再モデリングすればいいな とこの時点では

楽観視していてまさかこのフレイメアがボクのVR世界でのアバター(仮想体)に固定されて

変更も出来ず ずっと付き合う羽目に成るとは思いもしなかったのである。


[ フレイメア データポリゴンモデル...五感の再リンク開始......ステータス......パーフェクト ]

[ フレイメア データポリゴンモデル再構築化......OK ]

[ フレイメア データポリゴンモデル......ポータル:N22360679待機...完了 ]

[ フレイメア...データロスト......0b....OK ] 

[ ダイブおつかれさまでした 仮想世界 オルテートにようこそ!! ]


とその時ダイブコンプリートのメッセージが出た。


 涼がベッドに寝て意識レベルと代謝が低下していくのを

雛は機器と医師としての経験で感じていた。

「順調ね ちょっと大袈裟すぎたかしらね でもそろろプロセス80%感覚データ再リンクのフェーズね

此処突破出来れば後はいいわ」

と独り言を言っていた


 彼女は医師としてダイブ技術に数多く監修してきていて

兄・涼のダイブプロセスが最終段階に入った事を

感じていた。......が 突然

 

ピーッ

 

と警告音が響き赤ランプが激しく明滅を繰り返す

辺りが一斉にざわめき 雛はガタガタ振るえハイヒールの踵が折れてしまう

「ひっ雛さんっ!! 」

涼のスタッフは雛を掴むも彼女には心神喪失状態の患者を組み伏せるくらいの心得もあり

簡単に振りほどき細かい痙攣を起こしている涼へ駆け寄ろうとしていた

なおも、心拍数の数字は乱高下し脳波計のグラフも暴れる竜の如く踊る


「いやぁー 涼兄ぃぃぃぃーっ!! 逝っちゃヤだーッ! いま 雛が連れ戻してあげるーっ」

と大声を上げて駆け寄ろうとする彼女に新国にいくに

「これは、イカンッ!! だれか雛君を押さえてくれ いま彼を無理やり起こせば廃人だぞ

はやくーっ 私一人じゃ無理だー」

「はい只今っ 」

と男性医療スタッフが二人で抑えそうひとりが軽く彼女の脇腹に一発喰らわせた

「はうんっ」

と声を上げ雛は床にひたりこみ荒い息を付きながらも

「 ごめんなさい取り乱したわ暴れないから離して」

と腕を解かれて ゆっくり涼の近くに寄る。

「...ん...落ち着いてきたわ......あと5分プロセスが続行しなかったら

緊急割り込みを入れるわ あなた達機器用意して!! 」

「はい雛さん」

男性医療スタッフがあわてて アバター(仮想体)ロスト対応用の機器を脳波計に接続する

「よかった脳波計繋いでおいて 今外部刺激が有れば更に面倒毎になるところよ」

とアバター(仮想体)ロスト対応用の機器の赤い大きなボタンに手を置く

この機器はアバター(仮想体)ロストが生じた時強引に仮のアバター(仮想体)を押し付け

 ダイブ者の

五感の接続先が見つからず意識が宙ぶらりん状態を回避するのである

事故者は一旦VR世界で仮のアバター(仮想体)で改めて安全にリンクアウトすればいいのである。


こうした事故は近年稀にしか起きていないほど初回のダイブの

アバター(仮想体)のデータチェックは厳しいである

しかもこれの工程を改良したのも

ベッドで横に成っている涼本人だった。


「後20秒 19...18...17...16...15...っ待った」

新国にいくにがボタンに手を掛けている雛を制止する。


「工程が進んだぞそんな莫迦な 信じられない 

確実にアバター(仮想体)ロストの状況だったのにナニが起きている......わからん」

新国にいくにがつぶやくまもなく無事ダイブコンプリートのメッセージが

彼のカイバーウェアに投影された

更にメッセージが続き

サイキ・リョウ : アバター(仮想体)名 フレイメア

OS シーディア :  アバター(仮想体)名 ネーベリア

現在 ポータル:N223606 に実体化 完了 

このメッセージは10秒後に個人情報法保護法 及びVR法により消えます

の立体ホログラムメッセージが出て掻き消えた


「あれあの 涼兄ぃの ”フレイメア”ってなに たしか ”リョウ” だったよね

しかもオンナノコの名前じゃない いつの間に変更したのかしら 

分かる人いる? 」

「いや 涼さんここにくる直前まであの執事風なの自慢してましたよ  おかしいな」


新国にいくにさん」

「なんだね雛君? 」

「此処にたしか今のポータルの状況確認で出来る機器有りましたよね

警察機構に貸しているやつ」

「有るがあれ犯罪捜査用で裁判所の礼状がなければ使用できんぞ

......あぁ御神楽に頼むかヤツに貸し造るのは嫌だが 

ちょっと待ち給え...

あぁ御神楽か実はな......が...あってな......ええい分かっとるわい

だからお前に貸しは作りたくないんだ」


「すまんまたせたな使って良いのは今含めて5回までだ個人情報法保護法及びVR法に

ギリギリ引っ掛からない範囲だ今電子承認のデータが雛君のカイバーウェアに来るから

君が責任を以って使ってくれ給えこの機器は絶対紛失しないようにな

どういう性格の機器かは聡明な君なら分かるはずだ」

と念を押される。


まもなく雛のカイバーウェアのランプが点滅して5回分使用できる電子承認がダウンロードされた


 早速大型ホログラムディスプレイとその機器を中継して脳波計につなぐ

もう既に彼のメディカルデータは全て正常範囲に収まっていた

そこで画像に現れたアバター(仮想体)を見て彼らは腰を抜かすと

同時にニヤニヤ笑いが巻き起こった。


「うわぉ、あれ涼兄ぃ? 可愛い あはは あれ見てよ

男性が女性のアバター(仮想体)使うと一度はやるよねあれ」

何と画面には一人はアバター(仮想体)作成画面通りの少女だったが

もう一人、フリルやレースたっぷりのワンピースを着た”少女”がいてエルマーチップ情報と


 アバター(仮想体)IDが一致して

斎木 涼 その人であることが確認された。




次回 3話 少女(男)と少女(OS)と少女

お楽しみに


活動報告にて

今度 作中に登場するかも知れない魔物の設定です その2を全面改稿して

作中に登場するかも知れない魔物の設定です 暫定版として投稿しました

一部は設定をオルティア・レコードと共有しております

以後 版を上げていく予定です


2017_10_17

イゲン・ルート・オンラインでの フレイメアとネーベリア

を活動報告に追加しました


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