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今日から学校と仕事、始まります。①莞

5月は馬鹿を走らせる

作者: 孤独

紺の制服から、白のシャツへ。

一枚一枚薄くなり、肌を晒すが健全。

今まで涼しさなしの寒さばっかにしていた風は爽やかに



「女子のスカートは捲れねぇーかな」

「そーいう悪戯風に変わるもんだよなぁ」


男子高校生達は馬鹿を走らせる。


黄昏気分をかもし出して、考えることはアホな事に染めておく。そーいうくだらない事があって今、彼等は学校生活を送っているわけだ。



「……相場。ふと思ったことだが、え?あいつがあんなパンツ履いてたの?みたいな、リアクションしてしまう女子は誰だと思う?」

「言っている意味が良く分からないが、舟。とりあえず、俺は付き合ってくれる可愛い女子は誰だと思うか考えたい」

「どっちも夢ほざくなぁ~」


モテたいだろ。チヤホヤされたいだろ。男も女も関係なく、人間そーやってするものだ。

風に吹かれ、長くもねぇ髪が揺れ、廊下の窓から顔出して、舟虎太郎と相場竜彦は並ぶ。

お互い、彼女なしの友達である。しかし、それは今のことだ。いずれは、出し抜いてやると黒い男の友情を併せ持つ。



「ここから見えるのは町ばっかだな」

「だな。町というか、建物ばっかだ。3階じゃ景色も良くねぇ」


うにゃ~と体を前のめりする相場。男と一緒に景色見ても虚しいだけだ。


「なんか面白い事ねぇのか?」

「今はねぇな。金がねぇし。バイトしようぜ」

「だな。友達と一緒にやるとお得らしいぜぇ」

「お前と一緒にバイトか?」

「大人のお姉さんやお姉ちゃんと知り合いてぇな」

「高校生から見れば全員大人の女だろ」

「だな」



無気力感ハンパねぇ。だる過ぎる会話。


「履歴書書かないとマズイよな」

「あー。あと、顔写真」

「顔写真って、あのあれか。駅前とかにある奴。四角いボックスの」

「そーそー。高いんだよな、1コインって。複数枚付くけど……」



キンコンカンコーン



「やべぇ。次はクソダルイ国語だっけか?外見てたら、時間忘れた」

「いいんじゃね?面倒だしよ。それより顔写真、撮りに行かないか?自転車乗れば、すぐだろ?」

「あー。そうだな。そっちが大事かも。大事だな。履歴書も書こう」

「バイトの面接の練習もしようぜ」

「よ~し、先にバイトを決めてから、学校の授業を受けよう」



◇       ◇


とある仕事場の面接会場。

相場と舟の2人は同時に面接をしているところだった。


「えー。相場くんと舟くんだね」

「はい」

「うっす」

「よくこのお店のバイトの面接に来てくれたね。早速なんだけど」



もう一度、面接担当の人は時計を見る。


「……君達、学校は?今、11:00なんだけど」

「バイトしてから学校に行きます」

「先にお金が欲しいです」

「学校よりバイトを優先するほど、仕事はマジメに取り組みます」

「暇があれば金を稼ぎたい気持ちです」


それはある意味社蓄要素の高い発言であるが、明らかに言葉に力がない。そして、表情にも力がない。人手不足ではあったが、見込めない人間を雇ってしまうのは人事の責任。


「学校くらい真面目に過ごせないなら、仕事も真面目にこなせないよ」

「………えー……」

「……マジっすか」


お祈りの言葉にショックも受けない、軽々しさ。

常日ごろ真面目であれと言っているわけではないが、学校を卒業したその人は


「学校を0円で働く仕事場だと思いなさい。その仕事場に赴けない人は雇えませんよ」

「勉強、嫌いなんすけど」

「仕事するためには勉強してくれないと。真面目は言葉じゃなくて、行動だから」

「そっかー」

「まぁ、私もそーいう感じで学生してたから。今日はありがとうね」



面接は終了した。



◇      ◇



「なぁ、金なくても彼女できるか?」

「それは無理だろ」

「勉強しないとダメか」

「そうなんじゃないか。ダルイけど……」

「ずーっと勉強かよ」



高校生ぐらいではまだ気付かない。遊んでいる方が楽しいと思うのはそうだ。

そーやって遊びながら、ゲームをやっている。そのゲームには難しいテクニックや工夫も要求され、積み重ねと対策が必要なのだ。

まだその時は勉強とは認識できていない。


「金がない。最近、金かけないと勝てねぇや」

「バイトしないと、課金できねぇな」


そして、いつか止めるや捨てる、終わるがあるとも知らず。

高校生達は馬鹿をやって、より大人になっていく。しかし、馬鹿をやってこそ人生なのである。



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