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遠藤徹の視点 1

 -誰かの言葉-

 世界は平等ではない。努力の量が人それぞれな時点で平等などあり得ない。全員の個性感情全てを同じにしなければ…。それはロボットと同じなのではないか?


-今朝のニュース-

朧駅に突如出現した巨大な岩は今もなお、そこに存在しております。

 除去作業はどういうわけか失敗に終わり、どうすることも出来ない状態です。


あの駅で地面から岩が生えたあの日。あの日を境に僕の体で異変が生じている。蕁麻疹のように一目でわかる変化とは違い体の内側で何か変化が起こっている。まるで血液とか骨とか肉とか私の原料そのものが全て書き変わっているような不思議な感じがする。

あの日の夕方から吐き気と頭痛が止まらない。僕の体が変化している感覚を覚えながら天井をじっと見つめていると口内から唾液が僕の頬をつたり、床へと流れた。


…いつの間にか眠っていたようだ。あの日から三日間続いていた吐き気と頭痛は止み、体に存在していた違和感も無くなっていた。

「あ。」まず声を出してみるといつもと同じ気持ちの悪い声が聞こえる。次に手の指をゆっくり動かすとなんの違和感もなく動く。足の指も動かしてみるが違和感なく動く。全身に異常がない事が解ると布団からゆっくりと起き上がるとお腹が空いているのを感じた。

そういえば三日間気分が悪かったせいでほとんど食事をとらなかったな。僕はゆっくりと冷蔵庫の方に向かうと誰かの声がした。

「あらあらあら、徹ちゃん。体調は大丈夫かしら?」母さんは僕の顔を見ながら心配そうな顔をして話しかけてきた。

「う、うん。大丈夫。」

「あら、お腹が空いているの?何か作る?」冷蔵庫を開けると色々な材料があるが僕は料理が作れないので母さんの言葉に甘えることにした。

「本当?ありがとう。」母さんは僕の言葉を待っていたのか料理を上機嫌に作り始めた。


「徹ちゃん。お勉強の方は大丈夫かしら?」母さんが作った料理を食べている途中にそんなことを聞かれたので、「問題ないよ」と答えると母親は笑顔になりいつもの口調でお話をする。

「さすが徹ちゃん。私の自慢の子。お父さんのように立派な人になるのよ。」そう、僕は母さんの言う通り勉強を頑張り立派な人間になればきっと立派な人間になれるんだ。

勉強に関しては特に問題はない。予習復習もやっていればあんなのは簡単だ。だが、問題が発生している。クラスメイトだ。僕の成績を妬んでいる奴らが下らない事をしてくる。

全く幼稚な奴らだ。どうせあいつらは青春がどうとか言って部活をしたりゲームをしたりしているのだろう。全く将来に大きな負担が来るとも知らないで、そんな欲を抑制できない時点で今後の将来なんてしょうもないものになるに決まっている。

食事を終えた僕はいつものように勉強を始める。体調を崩していた三日間の遅れを取り返さないといけない。

 僕はいつものように勉強をしているが気が付くと時間は進んでいる。勉強は楽しくないと人々は言うがそんな事はない。新たに先人が見つけた知識を得るのは楽しいと思う。ゲームはほぼやったことはないがレアなアイテムを入手するようなものだ。レアなアイテムを入手すれば知識量は増えていき、他の人間より強くなれる。そしてこの先人の知識を理解すると感動のようなものを覚える。たとえば「肩は前後左右と自由自在に動くのになぜひじの部分は後ろに動かせないのか?」みたいに日常に深い関わりがあるものでも意外と謎がある。当り前だと思うものも考えると意外と仕組みまでは理解していないのである。このような謎を解決する鍵が勉強である。そう考えると楽しいと思うのだが…。

 「徹ちゃん。お腹空いていない?夜ご飯作ったけどどうする?」母親の声で私の意識は勉強から一旦離れ背筋を伸ばすと体からポキポキと音が鳴る。

 「うん、きりのいい所だからご飯にするよ。」長時間座っていた椅子から立ち上がると外の天気が暗くなっている事に気が付いた。どうやらあれから結構な時間椅子に座っていたようだ。


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