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回想 日常の崩壊
どれくらいの時間が経ったのかはわからない。家の扉が開く音と同時にあの日からやけに明るくなった母親の声が聞こえてきた。
「ただいまぁ~。あれ、靴が多いわ。もしかして遠藤さんが居るのかしら?ヤダ、恥ずかしい。あらあら、なにこの箱?」
その声を聞き私はハッとする。とにかくここから逃げないと。もう、ここには居られない。
乱れている服装を正すと私は倒れている死体から離れて部屋を出る。
心臓の音が耳の中にまで聞こえてくるのを必死に抑えこみ玄関まで向かうと途中で母親が私の方を不思議そうな顔で見つめている。
「どうしたのよ?」
もうここには戻れない…。そう思いながら不思議そうに私を見る母の顔を一瞬だけ見て家から出て行った。
「ちょっと!!どこに行くの?」母親の心配するような叫び声から逃げるように私は走る。




