表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
弱者は誰かを呪いながら死に絶える  作者: 海原 川崎
岬 有紀を中心で発生する出来事
37/49

回想 岬の場合 8

昔からそこにあったと言うように違和感のない佇まいをしている。岩を見て私は思った。

『岩だ。』馬鹿みたいだけどそんな感想しか出てこない。

青み掛かった岩の所々から緑色の苔が生えており、岩の周りは柵で囲われているせいで、手で触れることが出来ない。

私の身長より大きな岩が突如発生した。本当なのかと疑ってしまう。だが事実である。

岩の付け根を見ると、そこにあったであろうレンガを下から突き破った状態で生えている。

形もお墓みたいに整っておらず、焼いた餅を適当につけたようにある部分だけが異常に膨らんでいたり、抉り取られた様に凹んでいたり、統一感が感じられない。

これも芸術なんていう人がいるのかもしれないけれど私は特にそんな事は思わなかった。

ただ、不格好な岩が地面から突如生えた。そんな印象しか湧かない。

全面を見渡しても同じ様に青い岩から苔が生えているだけである。

何も無い。ただの岩である。無駄足だったのかと絶望していると何処からか声が聞こえ始めた。

『選ばれし者。再び念じるのだ。さすれば言葉があなたを導くであろう。』老人みたいに枯れた声が頭の中から聞こえてきた。辺りを見渡しても誰も居ない。不思議に思いながらも声に従い岩に向かって念じ始める。

『教えて下さい。千穂はなぜ倒れたのですか?あの頭に生えた角の様な物はなんでしょうか?なぜ目を覚まさないのですか?…千穂を返してよ。』後半部分感情的になりすぎたと自分でもわかっていたが自分の友達が目を覚まさないのに冷静でいられるわけがない。

念じている内に岩の中から何か青い光が滲み出てきて文字が浮かび上がってきた。

【力を持つもの。他の四つの力を壊せ。さすれば貴様の願いは叶う。】出てきた文字は青い光を帯びており原理なんてものはさっぱりわからない。

ただ、この力を持つ人が他にもいるということは理解できた。

『長居は無用かな。』なぜかそう思った私はそのまま家に帰った。

 

岩から浮かび上がった言葉から察するにこの力を持つ人は他にもいてその人達の力を壊さなければいけない。

壊す?壊す方法なんてあるの?ない。無い事はわかっている。だから、彼女が目を覚まさない原因を知るのには、力を持つ人を殺さないといけないことを理解できていた。

でも、知らないフリをしてしまった。何もわからないフリをしながら、ただ日々は進んでいった。


千穂は目を覚まさない。面会が可能になったけれど、彼女は目を覚まさないまま心臓が稼働している。

毎日彼女の元に行っているが特に変化は無く、帰る時には虚しさを感じてしまう。

永遠に目を覚まさないような気がする。そんな事を考える自分が嫌になり、悲しくなってくる。

そうやって続く毎日の中でまたこの町で事件が起きた。

殺人。死んだのは同じ学年の男子。私は男子が死んだ事にあまり興味は無かったが、その数日後、再び事件が起きた。同じ学年の男子生徒が行方不明。数日後、同じ学年の男子生徒の両親が自殺。数日後、病院で多数が謎の自殺。病院で治療を受けていた男子生徒が行方不明。

ここまでくると次に何が起きてもおかしく無い気がしてくる。病院にいた人間が次々に自殺をしたという事件。多分これは力を持つ人が起こしたのであろう。

一番起こってほしくない事態が発生してしまった。これにより力を持つ人は行動を始めるであろう。ある人は正義のため、ある人は私利私欲の為に…。

私はどうすればいいのであろうか?わからない。わかりたくない。

数日後、行方不明になっていた男子生徒の母親が死体になって発見された。犯人は不明。数日後、病院から居なくなっていた男子生徒が死体で発見される。

この街は呪われているのであろうか?この何度も続いている事件のせいでほとんどの人間が必要以上に外出を行わなくなったらしい。私も母親に止められて家の中にずっと居る。

千穂には会えていない。外出が禁止されてしまったら会いに行きたくても会いに行けないのである。

ただ、日々が過ぎていく。あの男子生徒が死体で発見されてから事件は音沙汰無しの状態になっていた。母親は私を心配し、伊藤さんとも仲良くやっているようだ。私はただ家に居て勉強して超能力の練習をして、掃除、洗濯、料理、と毎日を生きている。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ