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弱者は誰かを呪いながら死に絶える  作者: 海原 川崎
岬 有紀を中心で発生する出来事
35/49

回想 岬の場合 6

原因不明の意識不明。あれから彼女は目を覚まさない。病院の寝室でずっと目を覚まさずに眠っている。

病院に彼女が運ばれた時、私もついて行ったがその時に初めて千穂の両親とお話をした。

私の家とは違い、まともな両親が泣きそうな表情をしながら彼女の状態を医者に聞いていた。やがて医者との話が終わると、待っていた私に話しかけてきた。

内容は夜遅いから帰りなさい。

最初は断ったがやがて私は両親の意見を受け入れ、連絡先を教えると家に帰った。


彼女が病院に運ばれてから一日後、駅前に巨大な岩が出現した。


電話で彼女の額の角はいつの間にか無くなってしまった事を伝えられた。そしてまだ面会謝絶ということも。

私の疑問など関係なしに時間は過ぎていく。風邪かはわからないが彼女が倒れた次の日に全身から気だるさを感じた。

やけに心配をする母親は珍しくおかゆを作ってくれた。

遠藤さんとの仲はどうなったのかは分からないがこの様子なら今の所は大丈夫なのであろう。そんな事より千穂が今どうなっているのかが心配だ。

だが、この原因不明のダルさを治さないと病院には入れない。医者に見せたら原因不明とにかく安静にしてくれという雑な対応をされてしまった。

布団の中は暑苦しく、全身から噴き出る汗は粘り気を帯びており不快感が一層増している。とにかく寝よう。なにも出来ないから寝よう。そう考えながら私は目を瞑った。


この数日間は永遠と感じるほどの長さだった。いつになっても日光は光っているし蝉は泣くのを止めない。

病院に行くが未だに彼女は面会謝絶。目も覚まさないで眠っている。

原因不明変化はなし。

照りつける日光に嫌気をさしながら私は学校に向かう。千穂が倒れた原因がわかるかもしれないし、そんな事を考えながら学校に向かったが入り口は固く閉ざされていた。

どうやら今回の出来事が原因で、学校側の管理が悪いとか親御さん達に文句を言われたらしく部活動は暫くの間中止、美術室に入ることすら許されない。罪悪感と同時に、美術室に入れなかった失望感を感じながら家に帰ることにした。

 


それは学校からの帰宅途中に起こった。無駄足だったのかと失望していると道路の端っこに空き缶が転がっている。

学校に入れなかったのと蝉の異性を求める煩い音に、普段なら行わないが少し苛ついていた私は空き缶を前方に誰も居ないことを確認すると思いっ切り蹴飛ばした。

空き缶は無機質な音を出しながら前方へ飛んでいき弧形を描きながら地面に向かって落ちず、空中で動きを止めていた。

「へ?」とても阿呆な声を発していたと思う。

だが蹴った缶が弧形を描きながら地面に落ちないのは物理法則を完全に無視しているのだから驚いても仕方がないであろう。

「嘘…。」恐る恐る浮いている缶に近づくと、それは空中で動きを止めていた。缶の下部にゆっくり手を通すが何も無い。上も右も左も全面糸の様な物はなく、ゆっくりと人差し指を缶に近づけて一回突くと缶は地面に向かって落っこちた。

「カンッ。」無機質な音を鳴らす缶の前で暫く呆然としていた私はやがて地面に落ちた缶をゆっくりと拾い上げると何かトリックのようなものが無いかを探し始める。

ただの缶だ…。開いた飲み口の中にも何も無くただのアルミ缶だ…。もしかして私疲れている?体調も悪かったし、あんなこともあったし…。

「…帰ろう。」持っていた缶をゴミ箱に捨て家に向かって歩き出した。

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