遠藤徹の視点2 (1)
-誰かの言葉-
今の所順調。
-ニュースの音声-
再び数名の行方がわからなくなっております。名前は…。
あれから何日経ったのだろうか。僕はこの家に隔離されてから多分結構時間は経ったと思う。隔離と言っても拷問にかけられるような事も無いしテレビを視聴するのが禁止なだけで白の作った食事を食べて本を読んで寝る。そんな日が続いていた。あの時全身から吹き出したマグマの様な物はどうやら本当で出ていたらしく目が覚めた後に僕が倒れた場所を教えてもらうとその場所は黒く焦げたような跡が付いていた。
結局あれは何なのだと聞くと二重神千里は呑気に紅茶を飲みながら「この前お話した通りですわ。」と言う。白に聞くと不機嫌になり話してくれない。疑問が解けないまま過ごしているとある日二重神千里は僕を最初に僕が意識を失った部屋に呼び出した。
言われた場所に向かうとあの時の様に椅子に座った二重神千里の横に白が無表情で立っている。
「私達とは別の者が動き始めましたわ。」二重神 千尋が手を叩くと後ろにあったスクリーンから映像が流れ始めた。
「○○市にある病院で340人が死亡しているのが発見されました。」映像に映るニュースキャスターが言葉を言い終えると映像が切り替わり僕が入院していた病院に映像が切り替わる。
「今日12時頃、○○県○○市にある飯野病院にて患者・職員340人が死亡しているのが発見されました。警察は調査を続けています。」映像はここで止まった。
「あらあら、あなたの居た病院が大変な事になってしまったわね。さて問題、この人々が死亡したのはなぜでしょうか?」二重神千里はわざとらしく笑顔で聞いてきた。
「他の能力者がやったとでも言うのかよ。」僕が苦虫を噛み潰したような表情で言うと二重神千里は呆れたように言葉を返す。
「まだ信じていらっしゃらなかったの?あなたの力はあなたの目でも確認したでしょ?それにその床を見てご覧なさい。焦げ付いているのは私や白がやったことではなくてあなたがやったことなのよ。」千里の指差す床の焦げ付きを見ると胎児の様に丸まった格好で倒れた人の様に焦げた跡が床に染み付いている。
「よく御覧なさい。こんな不自然な焦げ跡は普通染み付かないですわ。私も白もこの目であなたの全身から炎と呼んでいいかわからない物が全身から吹き出てきたのをこの目で見ていましたのよ。ねぇ白?」不機嫌な表情になりながら千里は白に賛同を求めると、白は顔を小さな声で賛同した。
「…はい。」
「声が小さいですわよ。…どうしたの?調子悪いの?調子悪いなら休みますか?」白がいつもと違う調子に対して心配した千里は本気で心配しているのか途中から声に覇気がなくなり弱々しい声になった。
「…いえ、体調が悪いとかでは無いのですが…。なんと言いますか…。その…。あの時の事はあまり思い出したく無いのです。」白の言葉に何かを察したのか千里はため息を付きながら呆れると言い放った。
「男性の裸を見ただけでそんなに恥ずかしがらなくてもいいと思いますよ。純情というのも時には罪ですわね。」千里の発言に俯いてしまった白を一瞥すると千里は再び話を戻す。
「その純情さは大事だけど今は必要ないですわ。話を戻しましょう。あなたの身に宿った力が信じられないと言うなら念じてみなさい。あれから結構時間が過ぎたから体に力が適応しているはずですわ。」
「念じろと言ったって…。」そんな事を言われてもと思いながら試しに左手の人差し指を顔の近くに突き立ててライターから出てくる火をイメージした所、指の先端からガスコンロから出る火の様に突然音も立てずに小さな火が出てきた。
「うわっ、何これ?気持ち悪!?」マッチの火を消すように指を左右に振ってみるが火は風にもなびかずに同じ形を保ちながら指の先端で燃え続ける。
「ほら出たじゃありませんか。私が正しかったのですわ!」千里は自分が正しいことが目の前で証明された事による喜びか笑顔で僕に喋っている。
「いや、出たとかじゃなくて、これどうやって消すの?」混乱状態に陥っている徹を千里に助けを求めるが千里は普通考える事があるだろとでも言いたげに助言をしてきた。
「そんなの念じて出したのだから念じ消せばいいんじゃありません?」言われた通り頭の中で火が灯っているイメージを作り、火をろうそくの火を息で消すと指から出ていた火は跡形もなく消えた。
「消えた。」
「本当ですわね。案外適当に言っても正解だったりするんですわね。」千里はいつの間にか手に持っていたティーカップの中に入っている紅茶を飲みながら言った。
「適当だったのですか…。」僕が反論する前に白が自分の雇い主に対して呆れた様に言った。
「あら、雇い主の発言に呆れるなんて…。白、使用人失格ですわよ。」
「申し訳ありません千里様。」落ち着いたように発言する千里に対して逆に白の顔面は蒼白になりはじめる。
「いいのですわよ。私以外の使用人をする際には気をつけた方がいいわよ。」
「お嬢様以外の使用人などなりません。」千里の発言によって安心したように顔色を取り戻した白は発言をすると、千里は上機嫌に答える。
「あらあら、嬉しいことを言ってくれるのね。でも現実はそんな甘く無いわ。もしかしたら未来で一文無しになる可能性だってあるのだから発言はきちんと選びなさい。」千里は再び紅茶を飲むと落ち着いた表情で話を始める。
「話が脱線してしまいましたわね。力はやっぱり自由自在に使えるようになっていましたわね。さて、当初の目的であるあなたの力を正義の為に使って欲しいという話ですが…、一応聞きますわね。私達に協力しますか?」表情を変えぬまま聞いてくる千里に僕は答える。
「どうせ選択肢なんて無いだろ。」
「ええ、断ったらあなたの両親は刑務所行きですし、あと私達の力であなた達家族を全員死より苦しい目にあってもらいますわ。まぁ協力するなら逆に一生の安全をあげますけれども。」そう言うと千里は指パッチンをして音を鳴らした。
「さあどっちですか?あなたの口から聞かないと話しは進みませんのよ。」千里の言葉に対してゆっくりとした口調で僕は言葉を発した。
「あぁ、やってやるよ。」僕は彼女の脅迫に対しての怒りの感情を口と顔に出しながら言うと、そんなものは気にしないのか千里は嬉しそうな笑顔を浮かべ始めた。
「聞きましたか白?」
「ええ、聞きました。」
「やりましたわ。これでようやく…。」彼女の言葉を途中で遮るように外から大声が聞こえてきた。




