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安西千穂の視点 2

「私はあなたみたいに他人の発言や空気に束縛されてしまう自分が少し嫌になう時がある。そんな時感情を絵に込めると達成感とともに嫌な気持ちが晴れて居ることに気が付いたの。なにか抑制されているような違和感を覚えるのは誰だってそう。その違和感に立ち向かうのか受け入れるのかはそれぞれの自由だけどね。」彼女はオレンジ色に光る太陽を見つめながらそう言った。

それから私は井上君の姿を見る為と彼女とお話をする為の二つの理由で学校に通った。

彼女は絵を描くとき周りの世界とは違う自分の世界に入りこむ。その間私が話しかけても何も反応はなく真剣な顔つきで絵を描くことに没頭する。


 私は真面目な学生とは言えない、あまり勉強も好きではないし、大人になったら勉強をしていないことを後悔するなんてお父さん達は言うけれど私は貴方達みたいな大人になるなんて思っていない。

 「なんだか、私ってなんだろう?」ふとそんな事を考えてしまう。将来のこと、社会の事、なんだか今の私には解らないことが多すぎる。

 解らないから私は今やっておきたい事をすべき?好きな男の子に告白?もしかしたら失敗してしまうかも…。そんな事を考えると行動に移せなくなって遠くから眺めているだけで満足してしまう。

 夜10時、日光は出ていないのに蒸し暑さが家の中を支配している。なんだか考えるのが嫌だな。なにも考えずにテレビでも見ていたい。歯を磨いて寝ようかな。

 グダグダと布団の中で考え事をしていたら私はいつの間にか眠っていた。

 目を覚ますと何かが私に語り掛けてきた。

 『貴様は日常を変化させる権限を手に入れた。』日常を変化させる?何を言っているの?

『人類は新たな扉へと向かう時が来たのだ。』言葉は直接脳に送られてくるせいで味わった事のない気持ち悪さを感じる。

 『力はまだ目覚めない。だが時はすぐに訪れるであろう。貴様は力の種子となり他の者に与えるのだ。』ここで私は目が覚めた。

 なんだろう今の夢は。夢のはずなのに頭の中に言葉は油性で書かれた文字のように記憶から消えない。でもそんな事考えても仕方ないか。

 衣服は寝ている間に流れている汗を吸収したせいで体にべったりと付いて不快な気分になる。

 今日は日曜。不快感を取り除くために朝からシャワーを浴びる。蛇口を捻ることで出てくる水は外界の暑さとは違い不快感を取り除いてくれる。

 普段から清潔じゃないと嫌われてしまうからね。こういう所が大事だと思うの。

シャワーを浴び終わった私はいつものように学校に出かける準備をする。夏休みだから制服を着ない、私服、鞄。

「また、夏休みなのに早起きして。また学校?」

母親が私の方を見ながら呆れたような表情をしている。夏休みになったのに部活動にも入っていない私が学校に行くのは確かにおかしいことだろう。宿題も進めずに学校に向かう。普通に考えて可笑しいだろう。でも私はほぼ毎日学校に向かう。彼を見る為。彼女と話がしたくて。

ある意味青春していると思う。ご飯と温めた味噌汁をそれぞれの茶碗によそい、机に乗っけると正面に置いてあるテレビがニュースを紹介していた。

映像に映っているレポーターはいつものように愛想笑いを崩さずに天気予報や芸能界のニュースを流す。

口に含んだ味噌汁は鰹節の香りと味噌の優しい美味しさが私の心を癒してくれる。テレビの情報は興味がわくニュースを一切流さず。俳優の結婚とか、誰と誰が付き合っていたとか、テレビの俳優や女優にはあまり興味がない私には無関係と言ってもいい内容だ。

「今日、朝4時50分頃。JR煙突線朧駅前に巨大な石板が地面から這い出てきました。」

ナレーターは先ほどの愛想笑いが嘘のように真面目な表情になりニュースを読み始めた。

「情報によりますと、今日早朝4時50分頃朧駅南口前から突然巨大な岩が地面から生えてきた。ということです。」

映像が切り替わり、駅前南口に沢山の野次馬とレポーターがいる画面に映り替わる。

「こちら現場の飯塚です。こちら朧駅前では今朝の4時50分頃地面から突然巨大な岩が生えてきたということです。早朝ということもあり現場には負傷者などは出ていませんが岩が生えた原因が不明ということで運行に遅れが生じているようです。」

言葉を言い終えるとカメラの移す場所が変わり奥の方に映っていた岩の方を映し出した。

映像を見ると確かにコンクリートで埋められている道の真ん中にタケノコのように地面から岩が生えている。岩の形は岩と言うより石碑のような墓石のような細長い形をしており自然に出来たものと言うより何かで加工されたような印象を受ける。

 「怖いわね。いきなり岩が生えてくるなんて、電車が止まっちゃって大丈夫かしら。」

掘り返したりしないのかな?まぁそんな事は今の私に関係ないからいいのだけれど。

 ご飯を食べ終えた私はいつものように学校に向かうのであった。


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