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大塚由紀夫の視点 4

 彼の精神が壊れ始めたのはきっとこの出来事が原因なのだろう。珍しいこの自殺とも殺人事件とも言えない事件はすぐさまテレビで紹介されていった。

 「殺人事件の次は不良少年の両親が突然の不審死!!」そんな被害者の事など一切考えないニュースはずっとテレビ、新聞とアホの一つ覚えのように垂れ流されていって少年の精神面がぶち壊されていったのは言うまでもない。

 精神的に壊れた少年は心の中で自分に特別な力が目覚めて両親を殺してしまったのだと妄想じみた事を始め自分のしたことを悔い始めた。

だがしかしこの少年の考えは間違っておらず、彼の発した言葉により両親が死んだという事実を実感するのにそんなに時間がかからなかった。

 それから少年は病院に運ばれ数日間過ごすのだが、その間に一言も話すことは無かった。

 少年が言葉を発しなくなってから数日。警察が少年の所に訪れたがそこでも一言も発する事はなく。医者は両親が目の前で死んだことによる精神的ショックによる無気力症候群という判断を下した。


 少年は暫くの間病院で時を過ごしたがすぐに行方不明となる。

 その病院にいた人間全員が病院内で自殺をしたと同時に彼の行方がわからなくなったのである。

 そんな少年はというと他人の家で暮らしていた。

 「由紀夫。今日は機嫌が少しいいわね。」彼の目の前にいる妄想で作られた母親が優しい口調で話しかけてくる。

 「ふふっ、わかるかい。僕の力で事件が解決しそうなんだ。」少年は穏やかな口調で母親の質問に答えた。

 彼がこの家に来てから一週間。両親が死んでから自分には他人を命令する力がある事に気がついた大塚由紀夫は、病院の人間を殺してから自宅近くの見ず知らずの人の家で暮らしている。

 家の住人は彼の命令により家政婦のように扱われており、今も彼の命令に従って食事を作っている。

 「まず行方不明になっている遠藤の居場所を探す。その為にあの家に暮らしている両親に近づく。目さえ合えば僕の力が発揮できるから情報は全部手に入るね。そこから警察から情報をもらう。それで、大体解決すると思うんだけどね。ついでに罪人を調べて全員殺す。この町以外の人間も殺す。詐欺師も殺す。殺人犯も強姦魔も全て殺す。ふふふ、楽しみだなぁ。ねぇ母さん。」第三者の視点で見ると彼は独り言を笑顔で言っているのだが、彼の周りにいる人間は全て彼に操られている人間なので不審な物を見るような目もせずに機械のように作業を行っている。

 「すごいわ、やっぱり由紀夫は私の自慢の子。正義の為に自分の力を使うなんて誰にでもできる事じゃないわ。」空想の母親は彼に対して都合の良い言葉だけを言う。その甘い言葉を聞いて彼はまた笑顔になるのである。

 少年が笑顔でいると目の前にスープの入った器とスプーンが置かれる。無表情のまま机に器を置いた家の住人は40代ぐらいの見た目をしており目に生気は見られない。

 「うふふ、ご飯だ。ねぇ母さん。人々を全員殺したほうがいいと思う?」妄想で作られた母親はしばらく考える仕草を見せると返答をする。

 「それは駄目よ。人々が死んでしまったら食べ物が作られなくなってしまってあなたが大変な思いをしてしまうのよ。」

 「そうだね。みんな僕の為に生きて僕の為に死んでもらうコマだからね。流石母さんだ。僕の為に生きて娯楽として使ってあげるんだ。ふふ、楽しいな。」少年は笑顔でスープを飲み干すと先程彼の目の前にいた女性の方を見ながら命令をした。

 「お前ら日常に戻れ。」少年の言葉を聞いた途端、魔法が解けた家の住人である女性はまるで何事も無かったかのようにテレビのリモコンを手に取ると椅子に座ってテレビを見始めた。

 「さて母さん、楽しいゲームを始めようね。」テレビを見ている家の住人は少年の姿も声にも反応を示さずにテレビをただ見ている。その横を通り過ぎた少年は靴を履き家から出て行った。

 視界は良好。天候は晴。日光を浴びている僕の頭脳は崩壊寸前。さて、まずは警察署に向かって事件の情報を調べようかな。それとも遠藤の家に向かって情報を集めようかな。井上の家族からは情報は得られないだろうけれど向かおうかな。さて、順番はどうしようかな。

 少年は子供がクリスマスプレゼントをもらった時の様に嬉しそうな表情をしながら歩き始める。

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