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大塚由紀夫の視点 2

あれから一切外に出ず、俺はただあいつの生気のない顔を思い出して悲しい気持ちになった。井上の母親が家に何日か前に来て俺の話を聞こうとしていたが、他人に会いたいとは思えなかった。しかも死んだあいつの親となれば余計見たくない。母親は井上の母親が来たことに関して文句を言っていたが、誰だって自分の子供が突然死んだら、どんな情報でも聞きたいものだと思うから責めることはできない。

空腹感はあるがお腹を満たしたいとは思わず、ひたすら天井の白く輝く照明を何も考えずにじっと見ていた。

どれ位時間が経ったのかは分からないが閉まっているカーテンから一切光が漏れてこないことを考えるともう夜のようだ。流石にこのまま部屋に閉じこもっても何も変わらない。心の整理はついた。あいつが死んだことをいい加減受け入れなければいけない。

リビングの扉を開けると母親が俺の方を見て驚いた顔をした。

「もう、大丈夫なの?」

「…大丈夫。」質問の答えを聞くとすぐさま母の表情は無理に作った笑顔に変わり、気をつかって話を始める。

「お腹空いてない?」食事をまともにとっていないことを思い出した俺は母親の好意に甘える事にした。


作るのが楽という単純な理由でよく食卓に上がる野菜炒めはいつもの様に、大量のもやしと塩胡椒のシンプルな味付けで食欲を満たしてくれる。

ただ無言で食事をとる俺の方を母親はただ何も言わずにじっと見ていた。

食べ終えた食器を無言でリビングに運び洗い始めた母親は閉じていた口を開き始めた。

「無理をしなくていいんだよ。」食器を洗う音が虚しく部屋の中に響く。

「うん。」俺の小さく放った返事に母は答える。

「泣きたい時は泣いていいんだよ。」普段は親なんて面倒な存在だと思っていたけど、友達を失って心が弱っている今、母親の静かに呟いた言葉は心に染みた。

今はただ泣きたい。そう思った俺は駄目なのであろうか?

ただ、感情は波になって溢れ出てきて僕はその場泣いていた。

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