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遠藤徹の視点 9

 目の前にいる井上には表情がなく生気も感じられない。まるで幽霊の様な顔を僕の方に向け呟いた。

 「お前のせいだ。」呟いた井上の腹部から割れた風船の中から飛び散る空気の様に大量の血が流れ出てくる。重力に従って地面に垂れていく血は意思を持っているかのように僕の足にまとわりついてきて蟻のように僕の頭めがけて登ってくる。少々粘度を帯びた血液はやがて胸のあたりまであがってきた。

 不快感を覚えながら井上の方をじっと見つめると突然心臓発作が起こったように胸を押さえながら痙攣を起こし始めた。

 全身を激しく動かしながら陸の上にあげられた魚のようにぴくぴくと体を動かすとやがて動かなくなった。

ただ血は僕の体を全て覆ってしまった。視界には何も映らず口の中にも鉄のような味が広がっていく。

僕は気持ち悪さを覚えながらその場で大声を出していた。

 夢の中の出来事だと理解するのにはそれほどの時間は必要なかった。だが、不快感は消えず全身からは嫌な汗が滲み出ており肉体が疲労を知らせている。

 「目覚めになりましたか。」ぼやけた視界のまま聞こえた声の方向見ると人型のシルエットが僕の顔をじっと見ている。やがて視界が回復すると僕の顔を見ていた人物が白という事が判明した。ここで自分が慣れないベッドに横たわっている事に気が付いた僕は先ほど殴られた出来事を思い出し吐き気に襲われたので口を覆った。そんな僕の様子に気が付いたのか白は立ち上がると僕の方に向かってお辞儀をしてきた。

 「先ほどは申し訳ありませんでした。」感情のこもっていない声はなぜか僕には懺悔の念が籠って入ように聞こえた。

だからと言って許すわけがないのだが。僕は反論をしようとした時、奥にあったと扉が開いた。

 「目が覚めましたか?」扉の奥から元凶とも言える二重神千里がにこやかな表情で現れた。

 奴が現れた事により僕の胃袋の吐き気は限界に達していた。

 「はいお嬢様。遠藤徹様が今ちょうどお目覚めになりました。」二重神千里の方を見ながら答えた白の表情は相変わらず無表情である。

 「ええ、そうですか。遠藤徹さん意識を失う前の出来事は覚えていますか?」白とは正反対に表情豊かに話す二重神千里の質問に対して僕は吐き気と戦いながら頭を働かせる。

 覚えていないわけがない。こいつの命令により僕は死にそうになった。忘れたくても肉体が覚えている。

 「…当たり前だろ。」僕が言うと二重神千里は安心したように息を大きく吐いた。

 「では、あなたが超能力を使用した時の感覚は覚えていますか?」彼女に聞かれたとき僕は一瞬言葉が詰まってしまった。こう言っては自分の言葉に間違いがあったことを肯定してしまうが言われるまで僕の体から何かが出てきたことを忘れていた。

 あれは、僕が想像していた手から火炎放射が出るようなものではなく全身の毛穴から炎が汗のように滲み出てきた。確かに僕の体から出てきた。あの時の感覚、頭の中が無理に使われたように頭痛の様なものが襲い掛かってきた。まるでダムの門を開けた時の様に全身に何かが流れていった感覚を思い出した。

 「…あれ、どうかしましたか?」僕が黙ってしまった事で、二重神千里は不思議そうな顔をこちらに向けた。

 そうあの時全身から炎がにじみ出てきてから服が燃えて…。

 あの時、僕の服が、消えて、あれ。僕の服が燃えて、消えて。

完全に思い出した所で僕の頭が真っ赤になっていくのが自分でもわかった。急いで自分の体を見てみるがバスローブのようなものが纏ってある。僕が自分の体を見て慌てていることで僕が何を思い出したのかを悟ったのか白は僕の方から視線を外した。

やはり見られていたのか。僕は羞恥心でここから逃げたくなった。

「…あぁ、裸を見られた事を思い出したのですか。そんな羞恥心はゴミなのでさっさと捨ててくださいまし。大丈夫ですわ。裸なんてものは見る人間が汚れているから恥ずかしいのです。私達はあなたの裸を見て良からぬ事なんて考えもしません。芸術品だって全裸があるのですもの。それと同じですわ。私はあなたの力が開花した時私は美しいと感じましたわよ。」まっすぐとした目で僕に訴えかけてきた二重神千里は本当にそう思っているのか僕に言ってきた。もしかしたら彼女なりのフォローなのかもしれない。二重神千里はが、恥ずかしいものは恥ずかしいのである。


しばらくの間沈黙が続いていると、突然二重神千里は突然服を脱ぎだした。

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