遠藤徹の視点 8
「さて、説明もあらかた済んだ事ですし本題に入りましょう。あなたには超能力に目覚めてほしいのです。多分あなたは自分の肉体の変化に気が付いていないでしょう。気が付いてなくても肉体は変化していますわ。多分新たに形成された肉体が馴染んでいないのかはわからないけれど、それは他の能力者も同じ。私もそうだったし。時間の経過とともに力は目覚めていくのだわ。あなたの力は『発火念力』火を発生させる超能力よ。」そう言うと彼女は予め決められていた事の様に一言。
「じゃあ、白この子をボコボコのギッタンギッタンにして下さる?」
「了解しましたお嬢様。」千里の指示と同時に近づいてきた白は僕の腹部めがけて拳をぶつけてきた。
腹部に突然襲い掛かってきた衝撃は胃袋で消化途中であった食材が口から出てきた。
「…んげぇ。」喉に痛みと酸味が広がってきたがそんなものは関係ないとでも言いたげに顔面に蹴りが入る。
その時胃の上の時には感じていなかった死への恐怖が僕の全身を駆け巡る。逃げようとしても体が動いてくれない。全身は深く傷ついていく。やがて僕は地面に倒れた。
生きたい。口、鼻から血が出てくる。死にたくない。視界が定まらない。目から涙がこぼれていた。目の前に何があるのかも何も認識が出来ず僕は信じていない神に祈るしかなかった。
「白、ストップ。」僕の祈りが届いたのかはわからないが千里の声とともに白の動きは止まった。
助かったのか?恨みも感謝の気持ちも何も湧かずただ真っ白な感情が僕の体の仕事を急がせる。
「とどめを指しなさい。」彼女の言葉は僕にとって絶望のワードであった。言葉は凶器であり人を狂気の沙汰に落とす。僕はどこかで他人を馬鹿にして生きていたがやはり生きたい。言葉の引き金により僕の頭の何かにスイッチの様なものが入った感覚が起こる。
徹の全身から体臭のように全身から火がにじみ出てきた。ガスバーナーの様な炎と言うよりは体を覆うオーラの様なものだ。
全身が燃えている徹を見て、白は予め用意してあった水が大量に入ったバケツを徹の方に向かって放った。
炎は消えたが衣類が全て燃え尽きてしまい、同時に徹は突然使用した力の副作用か、意識を失った。
「お嬢様見てはいけません。」全裸でうずくまっている徹の姿を見て顔を真っ赤にした白は千里の視界に彼の裸の姿を入れないように彼女の視界を遮ろうとするが、時すでに遅く蹲っている事で見える肌を恍惚の表情を浮かべながら見て、小さな声で千里は「来ましたわね。」と言った。




