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月夜  作者: 琶苑
6/13

No.6:襲来

「吸血鬼に・・・襲われた。人と殆んど変わらない姿をした吸血鬼に・・・」



―昨日、助けた人間は濃い紫色の髪の女だった。女の名は“神無カンナ。その神無が目覚めたのは日が殆んど落ちかけた夕方だった。

何があったのか尋ねると神無は

“吸血鬼に襲われた”

こう応えた。

神無の応えに驚く三人。

「人間と殆んど変わらない姿をした吸血鬼、上級吸血鬼が・・・」

クロノが呟く。神無が話を続ける。

「逃げた方がいい。奴等は私を探している」

「何故、奴等が神無を?」

問いかけたのはラルだった。ラルの問いかけに神無は一つの水晶を取り出した。

水晶はとても美しく輝いている。

「奴等から・・・北の城から盗んできた。これは“陰水晶インスイショウ”。この中には世界を闇に包み込む程の闇が入っている」

クロノ達は驚きを隠せなかった。神無は話を続ける。

「この陰水晶を破壊すれば無限の闇が包み込み吸血鬼を倒すことが出来なくなる・・・永遠に・・・」

「ちょっと待って!何で吸血鬼達は陰水晶を破壊しないの?」

水鈴が疑問に思い神無に問う。クロノとラルは頷く。水鈴と同じことを疑問に思っていたようだ。

すると神無は陰水晶を地面に置き近くにあった大きな石を上から落とそうとする。神無の行動に三人は驚き、神無を止めようとした。しかし、神無の行動の方が早く、石は陰水晶の上におもいっきり落ちた。

「何してるのよ!!」

「水鈴、見ろ」

水鈴が神無に怒鳴っているとラルが陰水晶の方を指差して言った。

「嘘!?傷一つついてない」

陰水晶は傷一つ無く無事だった。神無は陰水晶を拾い口を開いた。

「これで分かっただろ。吸血鬼達は“破壊しない”ではなく“破壊出来ない”。吸血鬼達は陰水晶を破壊する手段を必死で探している」

神無は背を向けた。

「何処に行く?」

神無が歩こうとしたのをクロノが止めた。神無は足を止める。クロノは口を動かし続ける。

「陰水晶を隠そうとしているのか?」

「お前達には関係ない」

「だが、我々にはとても関係がある」

四人の声とは違う声が聞こえてきた。声の主の方を見ると男が二人立っていた。

「もう見つかったか」

神無はそう呟き二人の男を睨む。

クロノも神無と同じように男を睨み鋭く殺気立てた。

水鈴とラルには状況を理解出来なかった。

「クロノ、どうしたの?殺気立てて・・・」

「水鈴、ラル、この二人は吸血鬼だ」

水鈴とラルはクロノの言葉に驚きを隠せない。「神無、陰水晶を返してもらおう」

「断る」

神無はそう言うと短い刀―小太刀を取り出した。

「アーク」

アークという吸血鬼は名前を呼ばれると前に出て神無の方へ走り攻撃する。神無は小太刀でアークの攻撃を防いだ。

「神無!!」

ラルも槍を取り出し、神無に加勢する。

神無とラルがアークと戦っているなか、クロノと水鈴はもう一人の吸血鬼と対面していた。

「さて、久しぶりだなクロノ」

「ブラド・・・」

「クロノ、あの吸血鬼と知り合いなの?」水鈴が驚きクロノに問うとクロノは無言で頷き、口を動かす。

「こいつは・・・ブラドは・・・俺の復讐の相手だ・・・!!!」

クロノは静かに、鋭く言う。そして鋭く殺気立てた。その殺気に水鈴もすごく感じる。水鈴はクロノに恐怖を感じた。

“恐い”そう思わずにはいられなかった。

するとブラドという吸血鬼が口を開いた。

「クロノ、まさかあれから一口も口にしてないのか?」

「黙れ!!」クロノの殺気が更に鋭くなる。

そんなクロノをブラドは面白がっている。

「今回の目的はお前ではないが・・・いいだろう、遊んでやる」

ブラドはどこからか剣を出現させた。クロノも剣を手にする。

「クロノ・・・」

水鈴はクロノを心配そうに見つめる。

「大丈夫だ。手をだすな」

「でも・・・」

クロノは水鈴をキッと睨んだ。

「邪魔だと言っているんだ!!!」

クロノは殺気立て水鈴はそのあと何も言うことができなかった。クロノの殺気が更に鋭くなる。

そんなクロノをブラドは面白がっている。

「今回の目的はお前ではないが・・・いいだろう、遊んでやる」

ブラドはどこからか剣を出現させた。クロノも剣を手にする。

「クロノ・・・」

水鈴はクロノを心配そうに見つめる。

「大丈夫だ。手をだすな」

「でも・・・」

クロノは水鈴をキッと睨んだ。

「邪魔だと言っているんだ!!!」

クロノは殺気立て水鈴はそのあと何も言うことができなかった。

クロノとブラドの戦いが始まった。




―ブラドと戦っているクロノはとても殺意に満ちた眼をしていていつものクロノではなかった―

水鈴はそんなクロノに対し哀しみと恐怖を感じていた。

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