No.1:北の地
朝は光
夜は闇
闇は光を喰い、光は闇に怯える
その狭間は・・・
人と吸血鬼が住む世。吸血鬼は人の血を求め、人は吸血鬼を恐れ怯える。
人の王が住む地より北の地方は既に吸血鬼の支配下にあった。北の地に住む人々は毎夜、吸血鬼によって消えてゆく。
誰もが恐れる地に一人の青年が足を踏み入れようとしている。
青年は銀色の長髪をしていて、後ろに髪を束ね、サファイアのような青色の瞳をしていて、腰には剣があった。北の地であるため雪が積もっており吐く息は白かった。
「ここか・・・」
青年が再び足を動かそうとしたとき
「銀髪のアンタ、その先には行かない方がいいわよ」
女の声がした。声がした方を見ると長い茶髪を二つゆりにした女が立っている。
「その先は吸血鬼の住む地で、吸血鬼の城と吸血鬼の王がいるのよ。吸血鬼を退治している私でもここら辺の吸血鬼は強力でキツイのよ。アンタなんかが行ったらひとたまりも・・・ってちょっと!」
青年は女を無視し歩いていた。女は青年を追いかけた。そして再び青年に話しかけた。
「聞いてるの?ちょっと!そうか、分かったわ。自己紹介もしないで失礼な奴だと思ってるでしょ?いいわ、名前を教えてあげる。私は『水鈴』・・・って待ちなさいよ!」青年は水鈴を無視し、歩き続けている。水鈴は再び追いかける。
しばらくすると青年は突然足を止めた。
「どうしたのよ?」
水鈴が訪ねるが青年は無視し、剣を抜いた。
「気を付けろ。吸血鬼だ」
「え!?」
水鈴が声を発した途端に人とは異なる姿をした吸血鬼五体が二人を襲ってきた。
青年は剣で吸血鬼を一体真っ二つに斬り倒した。吸血鬼は灰となって消えていった。青年は続けてもう一体、斬り倒した。
水鈴は襲ってきた吸血鬼を足で蹴り跳ばし腰から銃を取り出すと吸血鬼の心臓に打った。吸血鬼は灰となって消える。
二人は残りの二体も撃破した。その場は再び静けさを取り戻した。「いきなり襲ってくるからビックリした〜!」
「お前、水鈴って言ってたな」
青年が水鈴に話しかけてきた。水鈴は青年の方を向いた。
「人の話、聞いてるじゃない。で、何・・・っと、話をする前に名前、教えてよ」
「『クロスヴェルノ』。長いから『クロノ』でいい・・・何故笑ってるんだ?」
クロノの言う通り、水鈴は笑っていた。
「だって、やっと私の方を見て話してくれたもん。私が何話しても無視ばかりだったし」
「・・・」
水鈴の言葉にクロノは無言だった。
「で、話って何?」
「先程のお前の戦いを見てたがお前の動きは悪くない。下級吸血鬼相手には問題ない」
「え!?さっきの吸血鬼は下級なの!?」
水鈴は驚いている。
「人の姿をしていないうえに理性を持っていないのは下級だ。人の姿をしていないが理性を持っているのは中級吸血鬼、人の姿をしていて理性も持っているのが上級吸血鬼だ。人の姿をしているが理性を持っていないのは元は人間だった奴だ」
水鈴はクロノの話を聞いて感心している。
「そうなんだ。吸血鬼に詳しいね」
「・・・話を戻すが、お前の持っている銃は吸血鬼相手には向いてない。これを使え」
クロノは水鈴に銃を渡した。
「これは?」
「銀で出来た銃だ。銀で出来てるから吸血鬼相手には効果的だ。普通の弾を入れても銀丸の働きをする」
「フーン。貰ってもいいの?」
「俺には必要ない」
クロノはそう言うと再び歩きだした。
「待ってよ!私もいくよ!」
水鈴は銃を仕舞いクロノを追いかける。
二人は北を歩きだした。
―下級吸血鬼しか出ない・・・城はまだ先か・・・―
初めまして。
初めて小説を書いてみましたがどうでしょうか。
ここまで読んでいただきありがとうございます。