事件の終息
ドーンとまるで漫画のような音が聞こえた。
一瞬花火かと思ったが、外の様子を見ればそんなものではないと一目でわかる。
外一面が煙でおおわれていた。
教室中で叫び声が聞こえる。
先生がなだめているが全く効果ない。
突然の出来事に戸惑いながら、何かが引っかかるような気がしてたまらない。
あっ...これも俺の投稿した内容じゃん。
えっちょ、あれは海のなかで爆発して水しぶきが立っていたはずだけど、これも微調整の影響なのか?
教室内はまだ叫んでいる。当たり前だ。ここは都内ではないとはいえ、この辺じゃ上類校なのだから、いるひともだいぶ非常事態には慣れていないはずだ。むしろ俺のほうがイレギュラーなのだ。
とにかく早くなんとかしなくては。
先生もパニックになりかけていて、俺の事なんて気にも留めていない。
いそいで続きを書かなくては。
まずはこの状況が終わるところだけでも書いて投稿しなくては。
この状況を止められるのは俺だけなのだ。
落ち着け。
そう思っているのだがなかなか落ち着けない。
手が震える。
文が思いつかない。
打ち間違える。
些細なことでも気が焦り、苛立ち、余計に遅くなってゆく。
打ち終えたころには画面がべたべたになっていた。
あとはこれを投稿するだけだ。
現実化するまでにどれぐらいかかるか分からないが、これでもう止まるはずだ。
だが、いつまでたっても止まらない。
一時避難ということで全員体育館に集められたが外ではまだ爆発の音が聞こえる。
朝投稿してから爆発のし始めた時間を考えてももう止まっていいはずだ。
それとも投稿できていなかったか。
いや、それはない。何度も確認した。
もしかしたら、もう光の効果が切れてしまったのか。
こんな最悪なタイミングで?
そんなことはないでほしい。
そんなことを考えていたら、ふと思い当たることがあった。
あの光はパソコンに吸い込まれたから、あのパソコンじゃなきゃ効果がないなんてことはないよね...?
いや、ありうる。
今まで現実化した内容を投稿したのは全部パソコンだ。
まさか…
もしそうならば、早く家に帰らなければ。
そうは思うものの、先生方がそれを許さない。
どうしたらいいんだ!
このまま何もできずにただ待っていろと。
俺のせいでこんなことになっているのに?
そのとき、声が聞こえた。
「現在消防署の方々のおかげで、爆発の勢いが弱まっています。今のうちに帰れるかたは、急いで指示に従い下校してください」
俺に残された手段はもうそれしかないだろう。
急いで荷物を手に取り、体育館を出る。
どうやら爆発はこの近辺のみらしく、電車は動いている。
一秒一秒がもどかしい。
早く来い。
早く。今すぐに!
そんな願いが通じたかのように電車がやってきた。
スピードはいつも道理だ。しかし、俺にはわざとゆっくり走っているようにも思えた。
そんなもどかしい思いをしつつ、何とか家に着いた。
息も切れ切れになりつつ、急いでパソコンに向かう。
急いで打ち込む。
電車にのっていた時間のせいか、だいぶ焦りは収まっている。
ようやく打ち終わり、投稿する。
その瞬間、すべてのことが終わったような気がした。
多分、大丈夫だ。
確信はないが、そんな気がした。
実際、その1時間後には爆発も止まり、消えていた人たちも帰ってきたそうだ。
不思議なことに彼らは何も覚えていなく、気が付いたら帰ってきていたそうだ。
俺は、緊張が解けたのかそのまま眠りについた。
高鷺は思ったより情熱的でした。
もうちょい自虐的だと思っていたのですが。
責任感が強いのですかね。
次回はもう少し平和的です。




