事件のはじまり
本当に俺の小説が現実化したのだろうか。
普通なら笑い飛ばせるような内容だが、笑えないのは、おとといのあの光のせいだ。
幸いまだ先生は来ていない。
この学校は授業中にならなければ問題ないので、普通に取り出す。
検索するだけなのに手が震えていてなかなか進めない。
こんな時はガラケーのほうが良かったと思う。
震える手を抑えつつ調べた情報によると、事件は昨日の明け方から始まった。地方の県の村で、そのあたりにしては少し人が多いところらしい。みんな何かしらの用件で家を出て、そのまま消えたとのこと。なお消えた瞬間は誰一人見ておらず、複数人で行動していても全員が消えるため、全く詳細は不明。
俺のせいで...
知らなかったとはいえ、何人もの人の命を奪ってしまったのか。
いや、まだ亡くなったと決まったわけではない。
とりあえず、今わかっていることは細かい理屈などは分からないが俺が投稿した小説が現実化しているっぽい。細かいことや現実にないこと、現実では不可能なことは微調整されて変わっている。それはおとといの光がパソコンに入っていったことが関係していると思われる。
もしこの事件が小説をなぞらえているのならば、消えた人たちも同じようになっているはず。
あの小説では消えた人たちはどこへ行ったんだけ…
たしかどこかに地下への入り口があって避難しているはずだ。
誰かが地上で火災が起こると吹き込んで。
彼は心理学などに卓越していて、会話するだけで思考が操作されるはず。
現実にそんな人がいるとは思えないが、そこはあまり重要でない。
もしそんな地下があるのならば地元の人が知らないということは少ないだろう。
まだ見つかっていないということはそこは現実に合わせて微調整された部分なのだろうか。
あるいはあえて村人たちが何かしらの理由で黙っているとか...
もし後者ならばそこまで心配はしなくてもよいと思う。
だが前者ならば大変だ。どのようになるかわからない。ヘンな空間に飛ばされていたり、それこそ命を奪われていたり。突飛な事にも思えるが、小説が現実化している時点ですでに突飛だ。いまさらではない。
この状況は俺が引き起こした(可能性が高い)
俺がどうにかしなくては...
あっ。
気付いてみれば簡単なことだった。
俺の小説が現実化してこの事態が起きているならば、俺が解決編を書けばいいだけじゃないか。
このサイトは別にパソコンじゃなくても投稿できる。
今すぐに作って投稿すればすぐにいなくなった人も…
ガラガラ
扉の閉まる音が聞こえた。
先生だ。
くそっ。こんな時に…
「ほら~高鷺。早くスマホしまえ」
しまった。
クラスメイトに注目されてしまった。
もちろん、俺はそんな状況を笑いに変えるようだスペックは持っていない。
うつむいて顔を赤くするだけだ。
その瞬間、外で爆発が起きた。
ようやく名前が出てきました。高鷺 心です。
説明回になってしまいました。
投稿するところまで入れようかと思ったのですがきりが良かったので。
次回こそ解決に向かいます。




