手紙
う…ん?
ここは・・・?
「あっ先輩!目が覚めたんですね。よかった〜。」
どうやら俺は店に入った瞬間倒れたらしい。焦った彼女は店の人に頼んで奥で寝かしておいてくれたようだ。
「悪いな。」
丁寧に謝ろうと思ったのにコミュ障が発揮されてしまった。いや、昔は喋ることすら全くといっていいほど無かったのだから少しはマシになっているのだ。言葉がでるだけ。
しかしこのまま帰るのも悪いので(あと知らない本がいっぱい居たから)本を3、4冊買って行くことにした。
どうやら店員は一人しかいないらしい。ちなみに店長兼店員だそうだ。
普通のオッサン何だけどどこか不思議な雰囲気があり、しかしすぐに顔を思い出せなくなる。
「意外と普通の店でしたねー。」
「あぁ、そうだな。」
返事をしたら目を思いっきり見開いて驚かれた。
・・・今喋れないから無視すると思っただろ。
俺だってこれぐらいなら喋れるんだ。全く喋れない訳じゃない。時と場合によるけど。
「じゃー私こっちなんで。」
歩いて5分とせず彼女とは別れた。
学校集合にしたらこいつにとって余計遠かったんじゃ・・・
また負けた気がするがもう諦めた。
帰りの電車の中。
早速読もうと本を出すと中に手紙が挟まっていた。
なんだこれ。
誰かの忘れ物かな。
前にもなんかあったよな、そんなこと。たしかあの時は買おうかおうか迷って手に取った人が挟んだまんま忘れて棚に戻したんだっけ。
にしてもこんな本俺のほかにも手に取る人いたんだ。
自分と趣味が似通っていると嬉しくなる。
とりあえず開けてみよ。
別に好奇心から開くわけではない。誰のか分からないから見るだけだ。
「高鷺心君へ」
…へ?
俺宛?なんで俺がこの本をとると思ったんだ?
というかなんで俺があの店に行くと分かったんだ?
「なんで俺がこの本をとると思ったんだ?とか思ってそうだね。別に知っていたわけじゃないさ。大したことない、君がこの本を差し出した時に挟んだだけさ。」
なんだ。ってことはこの手紙はあの店員兼店長?
なんであの人が俺の名前を知ってるんだ?彼女が教えたとか?
「別になんで僕が君の名前を知っているのかとかなんで手紙を書いているのかとかはどうでもいい。というかそのうちわかるだろう。まずは僕のことについて説明しようか」
なんかさっきから俺のことを見透かされている気がするのは気のせいだろうか。いいや、気のせいじゃない。
「僕はこの世界の人間じゃない。僕は別世界からやってきた存在だ。」
...こいつ頭大丈夫かな。電波なのかな。
「こらこら。人のことを電波だとか言うんじゃない。そんなこと言ったら君の力だってそうじゃないか。」
っ!こいつなんでそのことを。
誰にも言ってないはずなのに。こいつまさか本物なのか?
「とはいえ君の力というのは適切ではないけどね。まぁ信用してもらえたから良しとしようか。僕の生まれ故郷の世界、仮にパラレルワールドとしておこうか、は一ヶ月ほど前から戦争が起こった。まぁ原因の一端は僕にもあるんだけどね。パラレルワールドはもともと王政だったんだけど今の王がとても横暴でね、反対者をこっそり募ってクーデターを起こしたんだ。その様子が君の見た夢だ。」
ちょっとまて、まずあの力が俺の力じゃないってのはまぁいい。しかしあの夢が現実に起こったことだと。あんな世界の終わりのような世界がか。
「だいぶクーデターは終息してきたんだがこちらも犠牲がとても大きくてね。そこで君にあの力を託したんだ。私たち魔法が使えるものは同じ世界である程度大きな魔法を使おうとすると気付けるんだ。だが君に異世界に干渉する程度だったらぎりぎりばれないんだ。だから君にお願いしたい。もっと平和的にこの戦争を終わらせてくれないか。もちろんあの国王らが生きていれば何が起こるかわからないからそこはしょうがないと思う。しかしそれ以外の人には犠牲にならないでほしいんだ。だから君が力を使ってくれないか。」
なんかものすごく重い話だった。にしてもどうして俺なんだろう。
「あっ、君を選んだのはまぐれだよ。適当に選んだら君になっただけだ。まさかあんな周囲に迷惑をかけるとは思わなかったが君に悪意があったわけじゃないしそのまま力を与えていたら今度はものすごくどうでもいいことに使い始めたけどまあ大丈夫だろうと判断したんだ。とにかく頼んだよ。」
なんか最後がすごく軽かった気がするが俺としても多くの人が亡くなるのは嫌だ。
話が大きすぎるがするが乗っておこう。
あの光についての正体がようやく判明しました。
きりが悪かったので普段より少し長めとなっております。
次回、力の発動とその結果(仮)です。




