書店へ
日曜日。
俺は初めての人とどこかへ出かけに行くという体験に何を着たらよいのか分からず迷っていたら朝になっていた。
そのせいで寝るに寝れない時間だから仕方なくそのまま下へ降りたら母に変な目で見られた。休日にこんな早くから活動しているのが珍しいようだ。
・・・あれ?なんか最近似たような状況があったような気がする。
まぁいっか。
そんなことよりさっき服で迷っていたら兄貴に見つかってからかわれた。そこまでは良いとしよう。しかしなんでそれをちょっと見ただけですぐに服を選び、そのうえセンスが良かったのがなんか悔しい。今更のことじゃないけど。
っていうか俺の服って組み合わせ次第ではこんないい感じになるんだ。新発見だ。
そんなことを考えながら、もぐもぐと母が作ってくれていた(兄貴いつもどんだけ早いんだよ)朝食を食べ、家をでた。
というわけで学校につきました。
約束の一時間半前です。
いや、別に人と出かけたことなんてないからどれくらい早く着たらいいか分からなかったなんてことではないからね。それぐらいのことは本で知っている。寝てないから予定より早く行動ができて、そのせいで家を出る時間まで早まっただけだ。
だったら家でもう少しだらだらしていたらよかったとか知らないもんね。そんなことにまで頭が回らなかったんですよ悪かったですね。
とか思っていたのに彼女はもう学校にいました。
なんでだよ!
いや、今一時間以上前だよね。
「あっ、先輩!」
見つかりました。
手を振られた。普通の事なんだろうが、俺にはどうしたらよいかいまいちわからない。にしてもこうしてみると別に彼女は普通にかわいいと思うんだけどな。
何が悪いんだろ。
「先輩?なに手を上下に動かしてるんですか?」
手を振り返したつもりだったが手が上下に動いているだけだったらしい。
何それ悲しい。
「早く向かいますよ。もたもたしていると日が暮れちゃう。」
...後輩にせかされて完全に主導権を握られております。
いやまあね、俺の性格が悪いのは分かっているけどなんか後輩にまで負けた気がしてすこし悔しいのは気のせいですねきっと。
彼女は自転車だったが俺は徒歩なので(今日は自転車があったのについいつもの癖で...)俺に合わせてくれた。
うん、完全に親切心なんだろうけどどんどん俺が負けてる感があるんだよな。
まぁそのおかげでいろんなことを教えてくれた。
彼女は今年転校してきたこと。母親がいないが生活はむしろ豊かな方であること。休日は書店巡りが好きな事。
なんでここまで教えてくれるんだろう。俺には最後の情報しか興味ないのに。
単なる時間つぶしかもしれないが。にしても自分のことを語り慣れてるって感じがした。俺には無理だ。
あと彼女ってこんなキャラだったっけ?前回あったときはもっとおとなしい子だと思ったのだが。よく知っているわけでもないので断言はできないが。
そんなことをいろいろ話せるぐらいには時間がかかった。
ほんとにギリギリこの町に入っているといったところにあり、書店というより占い屋みたいな雰囲気だった。
こんなところに書店なんかあったっけ?
たしか去年俺がこの町の書店調べした時にはなかったし、それ以降こんなところに新しくできたなんて情報も聞いていないが。
こんな怪しい雰囲気に書店があったら俺のところに情報が来ていてもよさそうなものだ。
自慢ではあるが俺はこの付近の書店に関する情報だったらかなり詳しい。
あちこちの書店で顔なじみとなっているから情報が入りやすいのだ。
その俺が知らないって...
「ささ、先輩。ぼうっとしてないで早く入っちゃいましょうよ。」
嫌な予感がして躊躇していたのだが、彼女に背中を押され、半ば強引に俺はその書店に足を踏み入れた。
その瞬間、俺の意識がなくなった。
なんか心って若干ツンデレですよね。
そんな心にも書店に詳しいという長所がありました。
さて、一体この書店はなんなのか。次回は夢の中(仮)です。




