【随筆】ちょっとよい日
部活で書いたものです
初めての随筆です。おそらく部員の半数くらいが、どういう内容にすればいいのかわからないという書き出しをしているんじゃないかと思います。案の定僕もそうです。ちなみにここだけの話、随筆を軽い気持ちで提案したのは僕なのですが、あの、怒らないでくださいね。
最近考えていることを、評論まがいの形に整えて書く、などという気にはなれませんでした。おそらく僕の語れることなど誰かが代わりに語ってくれているに違いありませんし、重複した議論や思索を文章にするほど人生は長くありません。教科書に載っているような評論でさえ、ときたま退屈なものがあるくらいですから、尚更恐れ多くてとても書けません。
となると、文化人間である僕が書くべきことはただ一つ。
本稿では、「ちょっとよい日」の送り方をお伝えしたいと思います。今のが順接でないように見えたなら、それは気のせいです。
高校生は本当に忙しいです。僕もなって初めて気づいたのですが、予想以上に時間がありません。
勉強に部活にと、毎日目が回るようですが、逆に言えばそれきりなのです。それきりのもので日々は埋まっています。
ですから、ふとスケジュールがぽっかりと空いてしまった時には、意外とすることがないのに驚きます。
また、日々やっていることを同じことの繰り返しのように感じる時もあります。そういう時は不思議なもので、たとえ忙しかろうともう少し刺激が欲しいなどと思ってしまうものです。
こういう生活にスパイスを求める気持ちは、日々を駆け抜ける中でふと我に返る時現れます。そして趣味などへ気が行くわけですが、趣味へ費やすほども時間はなかったりします。いや、ないと思うからないのだ、時間は作るものなのだとはよく言われることですが、作るのも難しいのです。だって疲れますから。
じゃあ。日々の中にちょっとしたおしゃれを組み込みながら、よい日を過ごしちゃえばいいのです。案外楽しいです。
「雨の日は歌う」
雨が降るとじめじめします。外へ出かけるのにわざわざ傘を持たねばならないなんて意味がわかりません。
そんな雨にも少しよいところがありました。雨が降れば、もちろん誰しもが傘を差して歩くわけです。これはなんと、鼻歌を歌うのには絶好のチャンスなのです。
歩きながら気分よく鼻歌を歌っていたら、曲がり角でふっと現れた人に聞かれてしまった、なんていう経験はありませんか。あれは本当に心へのダメージがすごいです。
雨の日は傘を差していることで、半個室のような空気感や、反響によるほのかなエコーが得られます。また雨音は周囲へ音が漏れるのをシャットダウンしてくれます。もはやカラオケです。
ですから皆さんも、雨の日は文房具を買おうなどと都合をつけて、街へ出て歌いましょう。普段から鼻歌を歌う人は放っておいても歌うでしょうが、鼻歌初心者にもおすすめです。ちょっと馬鹿らしくて笑えてくること間違いなしです。
「夜食は素直に鮭茶漬け」
夜食は罪だと言われています。健康にも美容にもかなり悪いそうです。
しかし、夜はやはりお腹が空いてしまうものです。昼ごはんを十二時に食べ、夜七時にお腹が空くとしたら、そのまた七時間後の深夜二時にお腹が空くのは必然。
ここで葛藤が起こります。食べるべきか、食べざるべきか。ですが今度からはもう、こういう時は素直に食べてしまいましょう。ただしここでポテトチップスやインスタントラーメンなどを食べては本当に健康に悪いです。肌が荒れてしまいます。そこでおすすめなのは、「鮭茶漬け」です。
市販のものでお茶漬けを作り、そこに鮭フレークを乗せれば完成。なんともスピーディですし、もう普通に夜食を食べてしまえという心地よい潔さも湧いてきます。
深夜の鮭茶漬けは格別です。おそらく、雪国でいただくあたたかい味噌汁とかなりいい勝負をします。
それに加えて、お茶とご飯と鮭ですから、健康へ与える害も大してないように思われます。
実際どうかは知りませんが、とりあえずこの間美味しいと知った鮭茶漬けの宣伝ができたので満足です。
「夏の帰り道はアイスを買え」
うだるような暑さの夏は、帰り道でさえ憂鬱です。自分自身が溶けてしまうかのように思えたりもします。
そこでおすすめなのが、帰り道で手頃なスーパーに寄り、アイスを買うことです。
皆さんの家の近くのスーパーの事情はよく分かりませんが、最近では四十円弱からアイスを買うことができます。もちろん値段相応の、ガリガリ君ランクではありますが、これは十分心のオアシスとなります。また、当たりかハズレかという極度の緊張を簡単に得ることもできます。
毎日買っていたのでは財布が痛む、そう思われがちですが、学校は週に五日、月は四週だとして概算してみますと、なんと八百円弱と出ます。案外手の届く値段だったりします。
夏の期間だけでも、やってみてはいかがでしょう。一緒に帰る友達へ自慢をしながら食べると尚楽しいです。そのうちその友人はあなたと同じことをしだすか、もしくは一緒に帰ってくれなくなること間違いなしです。
「本のジャケ買い」
皆さんは本を読みますか。僕は高校生になり、文芸部へ入ってから読むようになりました。よく考えたらそれまで、読書感想文のため以外には本を読んでいなかったのに、よくこの部活へ入れたなと思うのですが、残念ながらもう昔のことはよく覚えていません。
本を普段から読むという人は結構少ないです。ですが、その人たちの中に、時間がないために本を読まないだけの潜在的読書人がそこそこいることもまた事実です。
そんな人におすすめなのが、本のジャケ買いです。ジャケ買いというのは、ジャケット買いの略で、CDや本などのメディア商品を、パッケージデザインのみを見て購入することです。
本の場合はこれにタイトルも考慮へ加えて、買ってみるといいと思います。
僕もタイトルやデザインに惹かれて、「ティファニーで朝食を」、「それから」、「星の王子さま」などを買い、長らく本棚に飾って楽しんでいました。しかしふと暇になったとき、気づけばそれを自然に手に取り、読んでいました。その後長らく放置していたことについて、カポーティや夏目漱石、テグジュペリへ謝りたい気持ちでいっぱいになりました。
きっと皆さんも同じ体験をすると思います。長い間飾っておけば、たとえ忙しくとも、いつか手に取る日がきます。
よい本に出会うと、心にはずっとそれが居座ります。本は心を豊かにするとよく言われる所以に違いありません。
「科学者になれ」
いや、科学者にはならなくてもいいです。知的好奇心を大切にして欲しいな、という話です。
コーラにメントスを入れたことはありますか?
片栗粉と水を混ぜ、ダイラタンシーを作って見たことはありますか?
スライムを実際に作ったことはありますか?
コアラのマーチを振り続けるとやがてまん丸になるのをご存知ですか?
ちょっとわくわくする方がいるはずです。いや、わくわくしないわけがない。
まだやったことがないものがあれば、ぜひやってみてください。とても楽しいです。
あと、ナメクジに塩をかけると溶けるという実験もありますが、あれはかなり心が痛むので、無慈悲な人にのみおすすめします。
その他にも楽しい実験は山ほどあります。そんな時こそインターネットです。
「コーラにコーヒーフレッシュを入れろ」
これは先ほどの続きですが、なんとこれをすると、味はそのままにコーラが透明になります。
これはあまり知らない人が多いのではないでしょうか。結構いたならちょっとショックです。ちなみに僕はこの間やりましたが、コーヒーフレッシュを入れ過ぎたせいで、透明を通り越し泥水のような何かを生成してしまいました。ついでにコーヒーフレッシュ単体ではどんな味がするのかを確かめてみたのですが、おいしくありませんでした。真似しない方がいいと思います。
……なんだか話が逸れてきました。
どうでしたか?僕が最近して楽しかったことを挙げてみました。
あ、いえ、「ちょっとよい日」の過ごし方をお伝えしました。
つまり何が言いたいかというと、ちょっとした工夫で、毎日はちょっぴりおしゃれに輝くのです。皆さんも、毎日に飽きたら、(これは僕の例ですから)自分の惹かれる何かを試してみてはいかがでしょう。
世界は、僕たちが簡単に飽きることのできるほど単純ではありません!