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エピローグ
6年の月日が過ぎました。
「ふわぁ……眠い」
リコは伸びをすると、棚の上に乗ったアセナの写真に「おはよう」と声をかけました。
リコは成人すると、村を出てアセナのいた家で生活を始めました。──"いた"家、ということは、もうアセナは……ここにはいません。数年前、村に狼──もちろん、アセナのような草食ではなく肉食の──が、襲撃してきたときに、村人を身を呈して守り、死んでしまいました。リコはアセナの後を継ぎ、「おおかみ印の薬屋さん」の二代目店長となったのでした。
「……今日も、頑張らなくちゃ!」
コトッとアセナの写真の前に、供え物の人参をおきました。もちろん、生。生野菜を置くと、写真の中のアセナも微笑んでいるような、そんな気がして、リコは毎朝起きると供えるのが習慣なのです。
「ごめんください。お薬をもらいにきました~」
「あ、はい!」
リコはエプロンを締めると、扉を開けました。
「いらっしゃいませ。おおかみ印の薬屋にようこそ!」
読んでいただきありがとうございました!(^^)