第1話
先ほどのかなり大きな部屋から移動してきたのは、周りの壁一面が本棚になっている部屋だ。
どうやら図書館らしい。
「至聖なる神よ。ここの書物は今から4000年前に貴方がお授けになられたものです。今、我々が置かれている状況を説明するに当たり、まずは貴方様のことをお話ししなければならないのは、この尊書に書かれている通り。我々は至聖なる神に従い、貴方様のことをお話しします」
頭なんてとうの昔に醒めてしまった。
あまりにも非現実、あまりにも夢の世界。
俺が神っていうことすら信じられない。
図書室の中央にあるかなり大きな木製の机の一端に俺は座らされ、かなりクッションが効いた椅子に深々と腰掛けた。
その目の前には4000年前に書かれたというにはあまりにも新しい印象がある本の数々。
「これらは一言一句違わずに書かれた尊書です。至聖なる神のお言葉が間違いないように何人もの確認を経て書かれています」
神代文字でも書かれているのかと思いきや、書かれているのは現代の2020年代の俺でもハッキリとわかる日本語だ。
拍子抜けしてしまうがこの文字を彼らは読めないらしい。
それが確かなことだと気づいたのは何ページもめくった後に、この世界のことや書かれたところなどの詳細な情報が載せられていることだ。
この世界は8つの巨大な大陸があるものの、ここはその一つの、さらに小さな集落の宗教施設らしい。
とはいうものの、世界宗教の一つの施設ということもあって人数や人気はとても高いそうだ。
また、こういう召喚儀ができる施設は数えるほどしかなく、ここは小さな集落にあるにもかかわらず、とてつもなく高位の聖職者が指導しているらしい。
4000年前に来た現代の日本人はここで科学技術を植え付け、その後も何人も何人も伝えてきたらしい。
その上で、数多くの問題や紛争を解決してきたのだという。
その問題などが終われば、帰還の儀式を経て、元の世界に戻れるのだそうだ。