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福島第一原発事故で旧経営陣が勝訴したが、原告が負けた理由をネット記事を一目見て解る理由

作者: ふりがな


割とドラマチックな展開が続いた福島第一原発事故の訴訟ですが、高裁では東京電力の旧経営陣が勝ちました。

この件は、東京電力の忖度している記事だらけなので、私が地裁のポイントを書いてしまいます。

地裁では、東日本大震災の津波を超える東京電力社内の津波試算の報告を、経営陣全員が記憶にないとしらばっくれました。

何故、私がドラマチックだと書いたか解りますね。

津波試算の記憶があれば、当然ながら津波による原発の被害、即ちメルトダウンが避けられないと試算していた事はセットですし、対策は必須となり、東京電力は震災時、津波が来た時点で福島第一原発のメルトダウンは避けられない事を知っていた事になります。

東京電力は津波対策を怠っていた事を隠すために、官邸に原発関連の報告を全面的には出来なかったのではないか、という疑念が殆ど真っ黒になるからこそ、この話はドラマチックなのです。

いや、正直地裁が一番面白い内容でした。

しかし、物証もなく、旧経営陣に記憶にないと言われてしまえば推定無罪の法則から勝負ありで、東京電力側の勝ちは見えていたのです。

地裁の決め手は当時、東京電力9mの防潮堤の発注を取り止めた事でした。

何故、発注した防潮堤は9mなのか、合理的な理由は何か。

何故、津波対策バックチェックという政府による津波対策の最中に、防潮堤の発注を取り止めたのか、合理的な理由は何か。

何故、何の対策もせずに津波対策バックチェックという政府による津波対策を潜り抜けられたのか、合理的な理由は何か。

この発注取り止めという物証から、あらゆる合理的な言い逃れが出来ずに、東京電力の旧経営陣は地裁で敗北しました。

あら、ドラマチック。


そして、双方は控訴。

裁判は次の争点に移る事になります。

しかし、本裁判は、地裁時点から事故に詳しい人にとっては、不可解な争点が存在していました。

地震調査研究推進本部、略して推本による地震の長期評価です。


何故か地裁から報道されてきた2002年、地震調査研究推進本部による長期評価という争点。


解り難いと言う方に説明のため、はっきり断言してしまいますと、推本の長期評価は本事故になんら関係は無く、争点になる事はありえません。

そもそも2002年の推本による長期評価は、原発政策に大きな影響を与えていない上に、2002年の長期評価において、福島沖は研究中として保留し、評価など一切してないからです。

政府による津波対策バックチェックが始まったのは2006年の6月でした。

では、何故、推本の長期評価から4年もの間、津波対策は放置されてきたのでしょうか?

答えは至極簡単で、推本による長期評価は2006年から始まったバックチェックと関係などないからです。


そうです、一切関係ない物を争点にすれば、そりゃ裁判に負けるわなというのが、誰がネット記事を見ても一目でわかる原告側の負けた理由となります。

東京電力旧経営陣の勝訴のどの記事にも書いてありますよね?

推本の長期評価。


政府がバックチェックを行った本当の理由は、推本の長期評価ではなく、スマトラ沖地震でした。

2004年の12/26にスマトラ島沖地震が起きます。

マグニチュードは9.1。

高さ平均10mの津波がインド洋沿岸に押し寄せ、津波での死者226,500人を数える東日本大震災を超える超巨大地震です。

この津波ではインドのマドラス原子力発電が一時危機に陥りました。

そして、翌年から、地震津波に対して、世界各国で津波対策が始まったから、日本政府は津波対策バックチェックを行ったのです。

IAEAの津波対策ワークショップが2005年の8月で、2005年末には喫緊の津波対策の方針が一致しています。

バックチェックの開始は6月ですが、政府は半年かからず動いているのです。

ですから、東京電力の津波対策の話は、推本の長期評価から始まった話などではなく、このバックチェックの最中の話ですから、推本なんて、すの字も関係ないのです。

また裁判では、推本の長期評価は、そもそも福島沖を評価対象としておらず、未知の領域として評価保留の状態であったと証言が出ています。

2004年のスマトラ沖地震を新たな知見として、津波対策の始まる2005年から福島第一原発を中心と定め、福島沖を改めて評価し直し、東京電力は最大15.7mの津波を試算しました。

本来の争点は、推本による長期評価ではなく、スマトラ沖地震から得られた新たな知見を入れたバックチェック2006年当時の評価となるのが筋です。

では、何故今回の高裁では、2004年のスマトラ沖地震で得た新たな知見を無視し、そもそも福島沖は評価対象でさえない2年前の2002年の推本の長期評価に戻らなければならなかったのか。


というか、何故、本来の大戦犯であるバックチェックで何故か福島第一原発原発が通った件から、地裁、高裁まで、推本の長期評価ガーなんて福島沖と関係のない物が出てくるのか。


それは推本の長期評価が『政府の出した最新の知見』という、関係者の責任回避に利用出来る便利なパワーワードであるからに過ぎません。

関係のない推本の長期評価を利用し、一切の改修をしてない福島第一原発をバックチェックに通して原発爆発の最大の戦犯になり、そして今また、推本の長期評価を利用し、個人責任の回避に成功する。

本来は地震対策のために始まった推本の長期評価は、原発関係者の責任回避のためのクソみたいな利用をされているのが現実です。

それをそのまま通してしまうメディアは、東京電力に最大の忖度をしています。

訳のわからない記事を見て、私はこの業界は原発を爆発させても、何の反省もなく、相変わらず腐っているなと思うのです。


まぁ裁判で他の事喋んないんだからしょうがないよね。


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