第一章1話 ???? 目覚め
※この作品は3人の主人公がいます。
人物紹介として最初の1話だけそれぞれ載せます。
その後1人目の主人公視点となりますのでご承知おきください。
「……っ、……あ……」
頭が、割れる。
目が覚めた瞬間から、世界そのものが歪んで見えた。
(ここは……どこだ? 暗い……けど、ほんのり光が……)
周囲を見渡せば、岩肌のあちこちに淡く光る鉱石が埋まっている。
それが夜の星みたいに洞窟を照らしていた。
(……拉致? 監禁? でも、鎖も縄もない……動ける? いや、それより――手?)
何気なく視線を落とした瞬間、喉がひゅっと塞がった。
「……え?」
そこには“手”がなかった。
いや、手どころか腕も、足も、身体すらない。
自分を形づくっているのは、全身を覆う黒い霧――それだけ。
(……なに、これ。意味が分からない……僕は、たしかに――)
――なにを、していたんだっけ。
考えても、記憶は真っ白だった。
名前も、過去も、なにもかも抜け落ちている。
(……ははっ。記憶喪失に身体なし? どんなバグゲーだよこれ)
自嘲が漏れる。笑っていないと壊れそうで。
だが、その瞬間。
――スッ、と霧の下から、人間の“足”がにゅっと生えた。
「っうわ!?」
あまりにも唐突で、腰が抜けそうになる。
黒いモヤの中に浮かぶそれは、あまりに生々しい足だった。
(なんで……? 僕はただ“歩きたい”って思っただけで……?)
ぞっとしながらも恐る恐る動かす。
その動きはあまりに自然で、自分の身体そのもののようだった。
《確認。精神耐性がLv2に上昇しました》
突然、頭に直接、無機質な声が響いた。
「……っ!? なに、今の……」
(精神耐性……? この短時間で? ……いや、落ち着け。もしかして……)
頭の中で、一つの“お約束”が浮かぶ。
もしこれが異世界転生モノなら――
「……ステータス・オープン」
その言葉に応じて、空中に半透明の光のパネルが現れた。
level:1
名前:????
種族:ナニカ Lv1
加護:???の加護/???の加護
称号:転生者
HP:10/10 MP:100/100
攻撃:1
防御:1
魔法:1
抵抗:1
技巧:1
速度:1
技能:1
unique skill『天邪鬼』
unique skill『嘘偽り』
unique skill『模倣』
耐性:精神耐性Lv2
「…………は?」
現れたのはゲームのステータス画面のような光景。
けれど、そこに記された数値は――
攻撃・防御・魔法、すべて“1”。
「……いやいやいやいや!? 弱すぎでしょこれ!」
あまりに無慈悲な数値に、思わず声を荒げた。
攻撃も防御も全部“1”。最弱どころか、モンスターどころか子供に殴られても即死しそうだ。
ただ、一つだけ――目を引くものがあった。
スキル欄に並ぶ、聞き慣れない名前。
“ユニークスキル”が三つ。
“加護”が二つ。
“称号:転生者”。
(――これは。やっぱり、異世界転生……?)
黒い霧の身体の奥で、何かがぞくりと震えた。
「 」・・・台詞
( )・・・心情 一人称視点
何も無し・・・状況説明 三人称視点
となっています。