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Aquavit  作者: 郵貯
25/25

ノベル23

友:ひっさしぶ――

犬:死ね

友:!?

~第ⅩⅩⅢ話 騒動~


「今日から仕えることになった、穂乃香だ。」

お嬢様が少女に目を向けた。

「…………。」

目を向けられた少女、穂乃香は頭を数ミリ下げた。

しかし、今の俺の頭は混乱している。

このように…。


なっ…ちょ…落ち着け、俺!

名前が全く同じの、さっき軍にいた冷静過ぎる奴じゃない可能性もあるはずだ。

そうに違いない!

顔をよく見ていなかったから早とちりをしてしまったんだ!

そう考えて顔を上げ、よく顔を見てみる。

目に映ったのは無表情、かつ光が余り無い瞳。

軍の奴と全く同じだった。


な、名前が全く同じの双子に違いない!

親も困ったろうな、見分けつかねーもんな!!

どうやって判断するんだろー。

あっはっはっは……。

「どうした、飛沫。頭抱えて、頭痛か?頭痛にはバファ〇ンが効くらしいぞ。」

「いいえ…自分の思考回路の可笑しさに腹が立ってるところです…。」

いや、俺にはそれよりも聞くことがある。

「穂乃香、ちょっと来い……?」

お嬢様が俺の前を遮った。

「初対面そうそう、なにを馴々しくしてるんだ…?」

「い、いえ…これからの仕事を教えようかと…。」

とっさに考えた嘘を言った。

馴れ馴れしくするのは怪しかったか…?

「…穂乃香には私が教える。」

お嬢様が穂乃香に視線を向け、答えた。

「ですが、お嬢様は家事なんてしたこと無いじゃないですか。」

そんなお嬢様が他人に教えることなんて悪いが出来ないと思う。

「……だったらいい。だが、私も同行させて貰うからな。」

「えぇっ!?」

そんなことになったら穂乃香に事情を聞けない。

そもそも、どうしてお嬢様は付いてくるんだ…?

「お嬢様は何故そこまで付いてきたがるんですか?」

考えても分からないので、結局聞いてみた。

「…………心配なんだ。」

「えっ、何がですか?」

「穂乃香に惚れ(パァンッ!)…っ手を出さないか心配なんだ。」

「お嬢様、途中で何故自分に平手打ちを!?しかもよく平然としてられますね!

頬が凄く紅くなっている。

平手打ちなんかするからだ。

……あれ、顔全体が紅くなってるような…?

「ほら、早く穂乃香に仕事を教えてやれ。」

「えっ、あ…はい。」

仕方が無い、事情を聞くのは後回しにするか…。



「…これで大体の屋敷の部屋は回りましたね。」

生活や仕事をする上で知るべき場所を全て回り、その度に仕事の内容を教えた。

「自分の家だが……改めて広いことを知ったな。」

「確かに広過ぎですよ、ここは。俺も未だに知らない所がありますからね。」

おそらく全体のまだ五割程度しか知らないだろう。

「どう、穂乃香。大体は分かってくれたかな?」

ずっと黙って俺の話を聞いていた穂乃香に確認する。

「…分かった。」

「良かった、分かってくれたか。これからよろしくな。」

「そうだな、これからよろしく頼む。」

お嬢様も穂乃香に目をやった。

「…こちらこそ、よろしくお願いします。」

小さいが聞こえる声でそう言った。

気のせいかもしれないが少し恥ずかしがっているように見えた。


「ふぁぁ…悪い、私は少し寝ることにする…。」

お嬢様があくびをする。

「たしかに歩き回りましたからね~。夕飯が出来たら起こしに行きますよ。」

「そうして貰えると嬉しい。…飛沫。」

お嬢様が眠そうな目で手招きをする。

「なんですか?」

「穂乃香に手を出したら…。」

小声で話される。

「な、なんでしょう…?」

「……腕を引きちぎる…。」

いっそ殺して欲しい。

「分かってます、全体しません。なんなら監視カメラを付けても良いぐらいです

よ。」

これでも俺が穂乃香に手を出したら死ぬしかない。

無論、腕を引きちぎられる前に舌を噛んで死ぬ。

「…信じてるぞ。」

そう言ってお嬢様は部屋に向かって行った。

お嬢様が完全に視界に入らなくなったのを確認する。

「さて、詳しく聞かせて貰おうか。…穂乃香。」

「…分かってる。」



「やっぱり監視か……。」

どうやら穂乃香は俺が現実世界で魔法を使えるこの能力を悪用しないかを監視す

る為に来たらしい。

大体は予想出来たけどな。

「…大丈夫、情報が漏れないようにする。」

「分かった。…なぁ、穂乃香は「特殊環境保護軍」ってやつになんで入ったんだ

?」

俺は無理矢理入れられたに等しい。

じゃあ女の子である穂乃香も…?

「…私は自分の意志で入った。」

穂乃香には心を読む能力でもあるのだろうか。

「自分の意志って…もともとあの組織の存在を知っていたのか?」

「…私の家族はみんな貴方と同じ、違法魔術師でした。」

違法魔術師。

現実世界でも魔法を使える者のことを言うらしい。

俺もその一人だ。

「ということは穂乃香も…?」

「…私は違います。私だけが…違かった。」

少し哀しげな目をした。

「…私の家族は皆、魔法を悪用していた。」

その先に何が紡がれるのか、分かってしまった。

だが、黙っていることしか出来なかった。

「…だから私の家族は殺された。私が所属する、この組織に。」

「………。」

俺の嫌な予想は当たってしまったようだ。

…もしかしたらそんなことが無ければ、穂乃香はもっと明るかったのかも知れな

い。

「…一人になってしまった私は、この組織に育てられた。これが、私が「特殊環

境保護軍」に所属している理由。」

思わず溜め息をついてしまった。

まず最初に俺には言わなければいけないことがある。

「ごめん、嫌なこと話させちゃったな…。」

「……別に大丈夫ですから。」

「…俺に敬語なんて使わなくていいよ?少なくともこういう場所ぐらいは使わな

くても大丈夫だろ。同じくらい年齢なんだから。」

軍にいるときは使わないといけないかも知れないが…。

「……分かった。屋敷よりも外にいない場合のみ敬語を使わない。」

範囲がかなり狭いのが気に掛かる。

「まぁ…それでもいいかな。それじゃ、そろそろ晩飯の準備でもするかー。」

椅子から立ち上がり、大きく伸びをした。

「…手伝う。」

穂乃香も椅子から立ち上がった。

「料理、出来るよな?お嬢様や胡桃レベルじゃないよな?」

本気で心配をする。

「…よく分からないけど、前まで一人で暮らしてたから出来る。」

「良かった、じゃあ頼むよ。」

効率よく調理をしたおかげか、予定より早く晩飯は出来た。



「いやー、今日も良い湯でしたよー。」

Tシャツ姿でリビングにいたお嬢様に話し掛ける。

「そうか、それは良かった。…明日、転校生が来るのは知ってるな?」

「そう言えばそんなこと言ってましたね。」

「…どうして私達のクラスに来るんだろう?」

「………さぁ?」

それは主人公がいるからだよ。

「なんか言ったか?」

「いえ、俺は何も言ってませんが…どっかから変なことが聞こえたような……?


…というわけで次回、新キャラが登場です。


~ novel 23 end ~


友:おk字数が多いから許して―

犬:死ね

友:!!??!!??!!??

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