ノベル19
友
回復呪文を述べよ
犬
ケアル、キュア、レスタ、…………
友
…スゲエ。1009個も言いやがった!
~第ⅩⅨ話 想う人~
俺は…胡桃の作った弁当を…。
(自主規制)を…。
「時雨様!」
胡桃が結構大きい声で言った。
俺は…。
…食うっ!!
約0.5秒で箸を手に持つ。
「飛沫、やめろ!死を急ぐな!!箸を捨てろーっ!!」
すみません…お嬢様。
時として男は無理をしてでもやらないといけない事があるんですよ。
さようなら、現世。
そこそこ楽しめたよ。
(自主規制)を口に入れる。
全身に稲妻が走った。
「こ…これは…!?」
「飛沫、もしかして美味い…?」
お嬢様、これは想像以上に…
「キツ…い…。」
その後、耳をつんざくような轟音が聞こえたはずだが…もう意識が無かった。
「う…あっ……。」
視界には一面真っ白の世界。
「どこだ…?…あぁ、そうか。」
周りを見て理解する。
それは保険室の天井だった。
時計は約二時を示している。
「舌が…痛い。麻痺してるな…。」
(自主規制)という兵器を作り上げた胡桃は、北朝鮮で大いに感激されるだろう。
多分。
ベッドを降り、誰もいない保険室を見回す。
「あっ、包帯発見。」
棚に綺麗な包帯を見つけた。
左腕に表れた黒印を隠すための包帯は、すでに少し汚れている。
「…別に使ってもいいよな。」
棚を開け、包帯を取る。
そして左腕の包帯をほどいた。
ガラガラ…
最悪なフラグ発生。
目の前には見知らぬ女子生徒がいる。
「………。」
両者沈黙。みなの者、黙想。
その女子は茶色で少し憐れみを帯びた瞳を真っ直ぐ俺の左腕の黒印に向けていた
。
それに気付いたのは結構後の話で、とっさに左腕を隠したが手遅れだった。
「…その模様は…。」
女子が口を開く。
ヤバいヤバいヤバい…!不良かなんかと間違えられる!
心臓の鼓動が速くなる。
速攻魔法、「言い訳」を発動しなければ…!
「えっと…あはは…勝手に保険室の包帯を取るのは悪いですよね~…。」
意味無し。
ていうか包帯の話じゃないし。
黒印の方が問題だし。
速攻魔法は命中率が低いみたいだ。
「………。」
なんだ…なんで喋らないんだ、この女子生徒は…?
女子はそのまま振り返り、扉を開けて保険室から出ていった。
「…えっ?ちょっと…!」
俺も急いで扉を開けて出たが、女子生徒の姿は無かった。
「なんなんだ…?」
鐘の音が鳴り響く。
どうやら授業の終わりの鐘らしい。
「あっ、早く包帯を巻かないと…。…あれ?」
左腕の黒印…少し大きくなってないか…?
…気のせいか。
包帯を速攻で巻き、ベッドに入って寝てる振りをした。
ガラガラッ!!
今回の扉を開ける音は凄く乱雑な音だった。
まぁ、誰だかは目を閉じていても分かるけど。
「飛沫っ!!」
この声はお嬢様。
きっと授業終わった瞬間、号令もせずにここに来たのだろう。
「飛沫しぶきしぶきっ!!しぶきぃっ…。」
…泣いてる。
すすり声が聞こえるし、涙は俺の顔に落ちてるし。
「…胡桃めぇ…殺してやる…!」
ヤバい。マジの声だ。
「ストップ、お嬢様っ!殺人は犯罪ですから!」
俺は身体を起こし、お嬢様の改心を試みた。
「飛沫…?……うぅっ…あぁぁぁぁっ!!」
えっ、これはまさかの抱きつくフラグ…
「バカァァァァァァっ!!」
お嬢様にグーで殴られる。
想像よりも遥か斜めを越えていった行動に俺は対応出来ず、思考を停止させベッ
ドに倒れた。
「なんで食べた!食べたら死ぬぐらい分かるだろっ!」
「すみません…。」
「それに私の箸を捨てろという命令も背いたよな?アレはなんだ、お前は私の執
事だぞ!」
「うっ…。」
俺は視線をそらす。
「ずっと傍にいる存在なんだぞ!なのに…なのに……。」
またお嬢様は涙を流し始めた。
「お嬢様…。」
…身体が勝手に動く。
言うことを聞かない身体は、そっと小さな彼女を抱き締めた。
「本当に…すみません…。」
その後、泣き止むまでずっと俺は抱き締めていた。
「…はい、見つけました。…左腕に黒印がある者を…。…はい、では。」
女子生徒は携帯電話での通話を切った。
「…飛沫時雨…。」
誰にも聞こえないような声で小さく呟いた。
- novel 19 end -
友
炎系呪文を述べよ
犬
郵貯こんがり肉化特殊光線…それ以外はないな
友
なあああ!?1つだけかよ!しかも、そんな呪文そんざいしねえよ!てか、なんで今回は俺様が突っ込んでんだ――!?!?!?
犬
たまにはな