ノベル18
友
ひっさしぶりー♪
犬
おっせーよ!
~第ⅩⅧ話 判決~
今、俺達がいるのは高級車の中。
お嬢様は隣にいて、何故か頬を赤らめながらしきりに髪を触っている。
「お嬢様、さっきからなに髪ばっかり気にしてるんですか?」
「えっ、あっ…いや…飛沫に触られるなんて珍しくて……。」
後半は声が小さすぎて聞き取れ無かった。
お嬢様は「何言ってんの私は!?」とか言って自分に平手打ちかましてるし。
うーん…謎。
「あっ、そろそろ着きますよ。」
俺の宣告通り、高級車は二分後に鈴学校舎内に入った。
「いやー、今日もいい天気ですね。なにか良い事がありそうだ。」
胴を伸ばしつつ、口にした。
その背中を叩かれ、俺は飛び退いた。
「よぉっ、シグ。今日もツーショット登校かぁ?これは本当に良い事があるかも
な。」
うっわ…シンか。
「前言撤回。お前のせいで俺の清らかだった心は、洗面所の排水溝のようにぬめ
りと汚れで満たされたよ。」
「そんなに汚れるのかよ。」
「あぁ、もちろん。」
お嬢様が文句を言う俺の三歩前を歩き、振り返った。
「飛沫、私は購買でノートを買わないといけない。先に行ってるからな。」
と言って走り出した。
横を見るとシンは憐れみの目を向けてきた。
「あーあ、ごめんな。ツーショット登校を邪魔しちゃって。良い事無かったな。
」
「お前は少し…黙ってろぉっ!!」
思いっきり弁慶の泣き所を一蹴してやった。
「はい、今日の授業はここまで。」
先生が教科書を閉じ、教室から出て行く。
やっと午前中の全ての授業が終わった。
鞄に教科書を入れようとしたその時。
「飛沫っ!!」「時雨様っ!!」
同時に声をかけられ、危うく教科書を落としそうになった。
「お嬢様…と胡桃?」
んっと…あぁ、次は給食か…。
燃え盛るような目を二人共してるし…。
「まさしく灼眼のシャ〇のかず〇とシャ〇ようだな。」
シンが頷く。
「よく知らないくせにパクるな、野球バカ。」
席を立ち、弁当対決の会場を作る(と言ってもただ机をつけるだけだが)。
「では私、雫からいきます。」
超自慢気に鼻を鳴らし、弁当を差し出される。
中身知ってるのに。
「オープン・ザ・ベントォウゥ!!」
シンがマイクを握るふりをしながら言った。
正直鬱陶しい。
お嬢様の弁当の中身は半分はご飯、そして唐揚げ、野菜炒め、きんぴらごぼうと
オーソドックスなものだった。
「イッツア試食ターイム!!」
あぁ~…鬱陶しい。
まずは唐揚げ。
…んっ、まぁ普通だな。
若干揚げすぎだが。
次は野菜炒め。
…焦げ苦い。こりゃ減点。
きんぴらごぼう。
味薄っ!!そう言えばちゃんと俺の言った通りにしなかったとこもあったな…。
「一通り食べ終わったところでシグ、何点なんだ?」
うっ…答えづらい質問しやがってシンの奴…。
俺のお嬢様だぞ?
点数が低かったら多分泣くかキレるかスネるかのどれかだ。
「…62点。」
過剰評価です。すみません。
「おぉっ、初心者にしてはなかなかの点数だぁー!!」
うぅっ、シンよ…過剰評価なんだ…。
罪悪感を抱えた俺にトドメをささないでくれ…。
「次はわたくしですわね!」
胡桃よ…きっとお前の勝ちだ。
弁当箱を開ける。
「こ、これは…!!」
(自主規制)…!?
「飛沫、これは食べ物じゃない、(自主規制)だ!!」
お嬢様が突っ込む。
「宇都宮、それは放送禁止用語だ!!言うならば(自主規制)だろ!」
「それも立派な放送禁止用語だっ!!」
次はシンに俺が突っ込みを入れる。
「分かった、分かりやすく言おう。それは大人の階段を上るためにやること並み
に危険で-」
「お前の存在が放送禁止だぁーっ!!」
超強力アッパーをシンにぶちかます。
シンは後ろに吹っ飛びノックダウンした。
「真っ白に…燃え尽きたぜ…。」
「時雨様、早く食べて欲しいですわ。」
ベタなネタをパクってるシンを無視し、胡桃は「全然悪口言われてますけど気に
してません。嘘でしょうから。」みたいな目を俺に向けている。
これは…どうするべきだ…?
お嬢様が胡桃と口論している。
だが何故か耳に入らない。
この(自主規制)を俺は食べないといけないのか…?
ていうか食べたらどうなる?
でも食べないと最悪な男に…。
「時雨様、どうかしました?」
胡桃が俺に問い掛ける。
俺は…!!
- novel 18 end -
友
じっかいはじっかいはなんでしょー
犬
…殺されたいか
友
あーこわいこわい
犬
……ブチッ
その後、悲鳴が3時間ほど続きました