ノベル17
友
キングダム○ーツ、発売!
犬
関係ねえ!!
~第ⅩⅨ話 調理~
爽やかな早朝を小鳥のさえずりが教えてくれる。
…はずが。
「うわっ、消火器、消火器ーっ!!」
お嬢様のトンでも料理が炸裂する、騒がしい朝を迎えることになった。
…一時間前-
俺、飛沫がいつものように朝食兼弁当の支度をするため早く起きたときのこと。
キッチンには既にお嬢様の姿があった。
「お嬢様、こんな朝早くに何してるんですか?…あっ、もしかしてつまみ食い?
」
「なんだ、起きちゃったのか。まだ寝てて良いぞ。あとつまみ食いじゃない。」
「つまみ食いじゃないなら何を…。」
ここまで言って昨日のことを思い出した。
鈴学でのお嬢様と胡桃の会話。
最初に胡桃が俺の為に弁当を作るといい、その後なぜか張り合ったお嬢様も弁当
を作ると言った。
きっといつもは朝遅くまで寝てるのに早く起き、これから弁当作りをするのだろ
う。
「あぁ~、なるほど。弁当作りですか。」
わざとらしく手を叩く。
何故かお嬢様の顔が赤らめる。
…熱射病?な訳無いない。
「別にお前の為じゃなくって、いつも飛沫に料理されてる食材の為にやるんだか
らな!」
「俺は食材以下ですか。」
「お前の為じゃないけどお前は寝てろ!じゃないと意味が無い!」
お嬢様が俺の背中を押す。
…非力なのに。
「ですけど心配…」
「うるさいっ、寝てろっ!!」
まったく、このツンデレワガママお嬢様は…。
「分かりました、寝ますよ。」
溜め息をつき、自分の部屋に戻った。
「さて…お嬢様が心配だけど、たまには休ませて貰おうかな。」
ベッドに入り、目をつむる。
…が。
「うわっ、消火器、消火器ーっ!」
寝れるわけが無い。
この下手したら死人が出るような状況で寝れるのは自殺志願者だけで十分だ。
扉を開けて、煙や火が無いか確かめる。
若干焦げ臭いが、火事にはなってないようだ。
階段を降り、キッチンに向かう。
「お嬢様ー、やっぱり心配で…!!」
キッチンに向かうと、黒こげになってぐちゃぐちゃになったものが…。
しょ…焼死体…!?
「変なこと考えるなー!!一応コレでも食材だったモノだぁっ!!」
「えっ、この巨大な炭がですか?一部塵と化してますけど。」
「…事故…なの…。」
あらあら…しょげちゃって。
まったく、世話のかかる子ですこと。
「お嬢様、一緒に作りましょう?」
驚いた顔で見上げられる。
しゃがんでお嬢様と同じ目線にする。
「それじゃ…意味が…。」
「俺はただ指示をしたりするだけ。もちろん作るのは君だよ?」
困った顔をしている。
うーん…なかなかしぶといな。
お嬢様の頭に手を乗せ、撫でる。
「大丈夫、俺は作ってくれるって言ってくれただけで嬉しいよ?」
必殺技・営業スマイルで優しく言った。
「ふぇっ?あっ…う…うん…。」
あっはっは、勝った~。
そして俺が手助けをしてようやく弁当は完成した。
「(うーん…怪しいが、まぁ大丈夫だろう。)よく出来ましたね、お嬢様。凄いで
すよ。」
小さく拍手をする。
正直本当に凄いと思う。
お嬢様は料理なんて一秒もしたことが無いだろう。
指示があるにしても、まったくの初心者が料理をするのは難しいはずだ。
「本当?やったっ!」
笑顔で飛び跳ねている。
「さて、準備をして学校に行きますよ。」
「うんっ!!」
この時の俺はもう問題は無いと思っていた。
だが、その考えは甘かった…。
- novel 17 end -
友
昨日、ジブリの映画やってたよねー
絶対にないほうが良かった悪魔の追記:すいません。ついにストック切れました。しばらくは更新できないです…。