ノベル15
友
飛沫はどうなったのか・・・?
~第ⅩⅤ話 秘められた力~
夕方になりかけている今日この頃。
俺は何をしているかと言うと…。
「…っ!!」
壁にぶつけられ、座り込んでいる。
「どうした?弱いな。」
注)SMプレイじゃないぞ。
いま宇都宮家の訓練所で不思議な来訪者、アリスという闇の巫女と戦っているが
…。
「強い…。」
圧倒的戦力に押されている。
「私に勝てないのか、宇都宮家の執事は。」
アリスは俺に近づき、見下ろす。
「私に勝てないのなら…宇都宮家の執事を辞めろ。お前に雫を守る力は無いから
な。」
「……!?」
お嬢様の執事を…辞める?
そしたら俺はどこに行けばいい?
誰にすがればいい?
…そうか、俺はずっとお嬢様にすがっていたのか。
俺は…何もしてやれてない。
守ってあげるとか言っときながら…無力だ。
だけど…
「…どうした?」
「俺は無力…だけどな…。」
残っている体力を使って立ち上がる。
出血箇所が多いみたいだ。
立ちくらみがする…けどそんなの関係無い。
俺は…。
「無力でも…非力でも、この身を犠牲にしてでもっ!!お嬢様を守りたいんだよっ!!!
」
地面に魔方陣が浮かび上がる。
「お前っ…!!」
風が強く吹く。
おそらく魔方陣から出てるのだろう。
「…手はもう抜かない、アリス。」
「…どうやらとんでもない奴と戦ってたようだな。」
銃を構える。
銃弾は使いきったはずだが、どうやら魔力を弾倉に入れることが出来るらしい。
そうお嬢様から前聞いていた。
左手に身体の神経を集中させる。
手に青い火の玉みたいなのが表れた。
「-魔力装填!!」
銃に火の玉をぶつける。
数秒蒼く光り、銃は不思議な青い光をほのかに放っている。
「…まさか現実世界で魔法が使える奴がいるとは。」
アリスは木刀を捨て、両手を合わせた。
その両手を勢いよく離した右手には、銀色に輝く細い剣を握っていた。
「私はお前を殺すつもりでいくぞ。」
「どうぞ、魔法使いさん?」
アリスは俺に向かって走りだした。
「………。」
「もう終わりか、闇の巫女。」
アリスは床に仰向けに倒れている。
「…魔法使えないから不利だ、私は…。」
「お前、巫女なのに魔術師じゃなくて能力者だよな。戦ってたら分かった。」
アリスは微笑した。
「はは…よく分かったな。私は確かに魔術師ではない。魔法は十分使えるが、武
力の方が冴えてるんだ。」
「へぇ…ところでなんで俺は現実世界で魔法が使えるわけ?」
「…知るか。」
俺は一体何者なんだろ…。
そう思った瞬間、立ち眩みを起こした。
ヤバッ…!
そして視界を奪われた。
「飛沫っ!!」
「えっ…あ、お嬢様…」
「大丈夫か、痛むところは無いか死なないか私を置いてかないか…」
そこまで聞いてお嬢様の口を塞いだ。
「大丈夫ですし、置いていきませんよ。」
どうやらここは俺の部屋らしい。
ベッドで俺は横になってたようだ。
お嬢様が口を塞いでる手を叩いてきた。
手を離す。
「ぶはっ…。殺す気か!」
「すみません、手加減を忘れてて。…それで、どうしてここに俺はいるんですか
?」
「あぁ、さっきアリスが連れてきた。「訓練してて手加減をするのを忘れて戦っ
てたらこうなった。すまない。」って…。」
「……?」
違う…よな。
おそらくそれも含むが、魔力の使い過ぎが主なはずだ。
俺が現実世界で魔法を使えるのを言ってはいけないのか…?
「じゃあ私は下に行ってる。何かあったら呼んでくれ。」
そしてお嬢様は出ていき、扉は閉められた。
「…あれっ、左腕に怪我なんてしてたか?」
左腕の包帯を取る。
「……!!なんだよ…コレ…!」
左腕に過々しい黒印が表れていた。
~ novel 15 end ~
友
次回もよろしくーー
犬
ほうほう、宣伝か。……早く続き書かないとストック切れるぞ
友
らららのらー