新NISAは儲かるのか?
今年に入ってから『NISAやってないの?儲かるよ』や『今年に入って資産が○○%増えた』など耳にする機会が増えた。
それでは筆者的にどう感じて、どう考えているかなど私見を述べる。
まずは結論から。
結論……新NISAは『儲かる』『儲からない』と言う類の物ではない。
まあ、考え方次第では儲かる可能性があるとも言える。
以下詳しく説明。
そもそも『新NISA』とは
イギリスのISA(Individual Savings Account=個人貯蓄口座)をモデルにした日本版ISA(NISA)を改訂し2024年から開始した制度の事。
又、NISAの事を『小額投資非課税制度』と呼ぶ事もある。
つまり『非課税制度』なのである。
例えば、確定申告などで還付を受けた場合や海外で免税店を利用した時の差額や減税、節税を『儲かった』と言えるか否か。
筆者としては『否』
『返還されただけでしょ?』『そう言う制度だし』などの感想になるだけで『儲け』とは繋がらない。
新NISAも似たようなものだ。(いちいち新を付けるのが面倒なので以下『NISA』で統一)
少し具体例を出して説明すると
数十年運用し、運用資金が投資額の2倍になったと仮定する。
つまり、投資額1に対し利益1と言った感じだ。
計算が面倒なのでキリよく投資額1,000万円、利益1,000万円としよう。
本来なら利益1,000万円に対し、約20%の税金が取られる。
つまり200万円だ。
この場合、投資額1,000万円、利益800万円、税金200万円と言う内訳になる。
しかしNISAで運用した場合、この税金200万円が非課税となる。
グラフにすると下図のような感じ。
オレンジ色の部分がNISAの有無で変化する部分だ。
オレンジの部分が10%なのは元金を含んでいるからであって、利益に対する税率は20%で計算している点は注意していただきたい。
何が言いたいのかと言うと、上図の場合、800万円は『株での儲け』であり、『NISAによる恩恵(非課税部分)』は200万円と言う計算になる。
勿論、20%の部分が非課税になるのは小さくはない数字だが、巷で騒がれているほどNISAが優れているかと問われれば『NO』と言わざるを得ない。
NISAを切っ掛けに長期投資を始めた方は投資額、運用年数、毎年何%の複利(配当金、騰落など)で運用をしたいのか考えてみると分かり易いかもしれない。
複利の計算方法は
初期投資額×(1+年利)^運用年数
となる。
例えば
投資額1,000万円、運用年数20年、複利5%を想定した場合
1000万×(1+0.05)^20で利益の想定算出が可能だ。
上記の計算だと26,532,977となる。
ここから投資額1,000万円分を引き
16,532,977円が利益と言う計算だ。
そして、その20%つまり『約33,06,595円』がNISAによる非課税分だ。
平均を取る意味は無いが、年平均16万5千円強が非課税になる。
因みに、この計算は初期投資額1,000万円の場合の計算方法なのでNISAのようなドルコスト平均法の場合、結果は想定額よりも低くなる。
理由は言わずもがな。毎月10万円の積み立てを行ったと仮定しても初年度は120万円の運用資金であり、投資額が1,000万円に達するのに9年を要する。
つまり、9年目までは積み立てを行い、追加投入をやめたと仮定すると10年目から上記の計算方法が適用され、それまでは1,000万の部分がそれ以下の数値になるからだ。
勿論、10年目以降も投資を続ける場合、10年目以降は初期投資の部分が増加していく事になる。
とまあ、ここまでは収支がプラスになった時の話をしたが、長期投資と言えどマイナスになる可能性はある。
その場合、NISAは何の意味もなさない。
今回は例として1000万円で運用をし、最終的に900万円で売却した場合を例とする。
上図の様にNISAの有無にかかわらず同じになる。
元金>売値の場合は損益が発生し、売却額に対しては税金が発生しない。
つまり税金が発生しない以上NISAを使用する機会が無いと言う事だ。
さて、ここまでダラダラと記述してきたが話は冒頭の部分に戻り
筆者は一部の近しい人間以外には株をやっている事を黙っているのだが、今年に入ってから
『NISAやってないの?儲かるよ』とか
『今年に入って資産が○○%増えた』など耳にする機会が増えた。
前者はここまで記述してきたようにNISAを理解していない。
儲かるのは『NISA』ではなく『長期投資』または『株式投資』による部分が大きい。
80%が株式投資、20%がNISAによる免税措置だ。
後者に至っては『へー凄いんだねー』と返答しつつ、心の中では『利確してから言えや』と思っているのが本音だ。
恐らくNISAをやり始めた人間の大半はオールカントリー(オルカン)やS&P500への積み立て投資がメインだろう。
上げ相場だったとしても株価は常に右肩上がりではない。
右肩上がりに見える相場でも騰落を繰り返しながら上がるものである。
冒頭のような戯言を言う人間が下げ相場が続いた場合や元金を割ってしまった場合、耐え続け投資を継続する事が出来るのか筆者は甚だ疑問である。
数字を気にするあまり狼狽売りをしてしまうのは投資初心者の宿命とも言えるだろう。
全く見るなとは言わないが毎日数字を追い続けるのは精神的に良くはない。
『死人と投資した事を忘れた人が一番儲けている』とは良く言ったもので、素人がNISAを始めるなら毎月の積立額を設定し、放置するのが最善手だと思う。
ここまで長々と書き連ねてきたが、筆者が他人にNISAを始めるべきか否かを問われたと仮定しよう。
その時、筆者は何と答えるか……。
『株式などの投資をしたいならやって損はない。単に貯金するだけでなく投資に回したい言うのなら金、外貨、iDeCo、債券など色々あるので自分のあったものを調べて始めた方が良い』
まあ、株式投資をするならNISAはやるべき。
興味がないなら必要ない。と言う事。
更に付け加えるとNISAを始める年齢にもよる。
言わずもがな始めるなら早い方が良い。
NISAのようなドルコスト平均法をメインとする手法は一定の結果が出るまでには10年や20年と言った長期間の運用が必要になるケースが多い。
よって、筆者的には50半ばがギリギリ始めても良いかな?と思えるライン。
それ以降になってしまうと60代で始めて20年運用すると80代……。
生きているのか疑問に感じてしまう年齢だ。NISAに回す余力があるなら日常生活にその分の資金を当て、日々の生活を少しでも豊かにした方が良いと考える。
あくまでも個人的な意見なので60代以降の方もNISAをやりたい方はやってみても良いのではないでしょうか。
最後に、ドルコスト平均法(NISAの定額積み立て)を行う場合、過去のデータから長期的に見ると資産が増える可能性は極めて高い。
よって、始めるタイミングよりも『終えるタイミング』がとても重要になる。
まだNISAを始めていない方や始めたばかりで長期投資に慣れてない方は始めるタイミングよりも終わるタイミングを意識しよう。
そして、知ったか振っていい加減な事を言う人間に騙されないよう注意していただきたい。
最近では日銀がイールドカーブコントロールの廃止を決定。更にETFとREITの買い入れの終了も発表した。
これが今後の生活、為替相場、経済などに対しどのような影響を与えるかなど未知数で不安材料は多い。
先行きが不安だからこそ、いざと言う時の為に備える。
そして、備えとしての投資。
その投資をするにしても一点集中で投資するのではなく、リスク分散の観点から分散投資を意識した方が良いでしょう。
──※重要※──────────
× NISAは儲かる
〇 厳選した長期投資は儲かる可能性が高い
────────────────
今回は上の重要と書かれている部分の違いだけを覚えて帰っていただければ幸いです。
投資は自己責任。
アドバイスをする他人は責任を取ってくれません。
投資に限った話ではありませんが、何事も鵜呑みにせず、分からない事は自分で調べる努力もしましょう。
最終的に責任を取るのは投資をした本人です。
正しい知識を身に着け、自分に必要な制度か見極めましょう。
以上。
株式投資などに興味が沸いた方は筆者の『失敗しない株式投資~負けない株の売買法~』をついでに一読していただけると幸いです。
専門用語を極力使用せず、平易な言葉で色々と説明したつもりなので株初心者にも安心安全だと思います。
NISAの事なども記述してあるのでよろしければどうぞ。
本編とは全く関係のない話ですが……。
なろう小説のUIが変更されたのか、筆者がド忘れしていただけなのか、画像の挿入などに手こずりました。
新規作品どこから書くんだ……?から始まり
みてみんに何処から飛ぶんだっけ……?
作品の設定何処だ?
ってなったり何だかんだで十数分間悪戦苦闘しました。