二人のケンカ勃発!?
今、私はミチルのバイト先の喫茶店にいる。店長さんには悪いが出ていってもらっている。店長さんも良い小説が書けるならと快く出ていった。良い小説か……どうだろう、今から私がやる事で私とミチルの関係は最悪な結末を迎えるかもしれない。
私は今からミチルとケンカをする。
カランカラン
「サキ」
神妙な面持ちでミチルが到着。そりゃあ、数日間、会話してないから、そんな感じにもなるよね。私も前までのように会話できそうにないから本題に……
「サキ!ごめん!」
ミチルが謝ってきた。私はやりたい事があるというのに。ここは強行させてもらうとしよう。
「待って!ミチル。私の話が先」
「う、うん。わかった」
私は深呼吸。気持ちを整え。
「ミチル、ケンカしよう」
「ひっ!」
ミチルは私の一言を聞いて顔を守るように身構えた。
「なにしてるの?ミチル」
「だ、だって、ケンカって」
「私はそんな乱暴じゃないよ。口喧嘩だよ」
ミチルは私が暴力を振るうような女だと思っているのかな。ちょっと傷つく。
「私はそんな事したくないよ」
「なんで?私はしたいよ。だって、あんなにラブラブだったのに私のプロポーズ断って、私との関係は遊びだったの?」
「そんな訳ない!」
「私、プロポーズを断られたせいで先輩とケンカしたんだよ?大事な人を二人も失って辛くて辛くて道端で倒れたんだよ?」
「ごめん」
「なんで謝るの!私はミチルとケンカがしたいのにミチルもちゃんとケンカしてよ!」
このままじゃ、ミオさんからの助言が台無しだ。私はやっぱりミチルとは仲直りできないかも……
「私はケンカしたくない」
「なんで!?なんでケンカしてくれないの?ケンカしてくれないと仲直り……出来ないよ」
「サキ、こんな風にケンカしなくても仲直り出来るよ」
どうやって? だって、私はミオさんから助言してもらったんだよ。
「だって、私達、こんなに互いを想い合ってるんだよ?仲直りは簡単だよ」
そう言うとミチルは私を両腕で包み込んだ。
「じゃあ、なんでプロポーズ断ったの!?意味がわからない!」
私はミチルの腕の中で泣きながら言った。
「ごめんね、サキ。もう少し言葉を選べばよかった。私ね、貰ってばかりなんだ」
なんの話? 私がミチルに何かプレゼントしたってこと? それなら私もミチルからプレゼント貰ってるよ。
「サキ、聞いて」
ミチルは少し強めに私を抱き締めた。すると、ドクンッドクンッドクンッドクンッ ミチルの心臓の鼓動が聞こえる。その鼓動は早く、聞いてる私の鼓動も早くなる。
「これはサキから一番最初に貰ったもの。とってもとっても“大事なもの”」
ミチルの声は穏やかで私から貰ったものを愛おしそうに“大事なもの”と言ってくれた。
「他にも私はサキから、いっぱい貰ってるんだよ。サキが話しかけてくれる時、サキが私に笑顔を見せてくれる時、サキが私をからかう時、そして、サキが手を握ってくれる時」
ミチルが言ってるのはどれも目に見えるものではない。それは私が故意に贈ったものでもない。ミチルが具体的に私から何を貰ったのかはわからないが、それを私も貰ってる気がする。
「サキ、覚えてる?私達が付き合う事になった日のこと」
「うん」
忘れるはずがない。
「あの時はサキの方から告白したよね」
「うん、二回もした」
「ふふふ、そうだったね。私はいつも受け身なんだよ。サキに告白された時もサキが何か行動を起こす時も」
たしかに。多少、意見が食い違う事があっても、いつもミチルは私の意見を尊重してくれる。
「だから、一つだけ。その一つだけは私から行動を起こしたい……ううん、私から起こさないといけないって決めてたんだ。だって、そうじゃないと私がサキの事をどれくらい好きか伝える機会が無くなっちゃうから」
私を抱き締めていたミチルは私から距離を取り、真っ直ぐ私の目を見つめる。
「サキ、私と結婚してください」
「え?」
私、プロポーズされたの? ミチルは私のプロポーズを断ったのに
「サキ?」
「ずるいよ、ずるい!私がプロポーズしたのに、なんでミチルがプロポーズするの!同じ気持ちなら、あの時に頷いてよ」
「ごめん、これだけは譲れなかったんだ」
私は先輩に泣きついた時の会話を思い出してた。本当にミチルは真面目だ。ミチルからプロポーズしなくても、私がプロポーズした時に受け入れてくれれば、ミチルが私の事が好きだって十分伝わるのに。わざわざこんな……
「サキ、返事は?」
「私の返事はわかってるくせに」
私が先にプロポーズしたんだから私の返事はわかりきっている。
「ちゃんと聞きたい。サキの言葉で」
悔しい、わざと断って困らせてやりたい。
「はい、よろしくお願いします♪」
私の意地悪な感情より先に正直な感情が言葉になった。
この後、私達は節度を守りながらイチャイチャした。
そして、戻ってきた店長さんに経緯を話した。
「ふむふむ、二人はめでたく結ばれた……ね」
店長さんは何か考え込んでいる。たぶん、小説の事だろう。
「二人は式を挙げたくないかい?」
「はい♪」
「はい!」
私とミチルの意見は同じだった。私達を小説のモデルにしたいって話の時はことごとく意見が合わなかったのに。ミチルもそれだけ本気って事なんだね。嬉しい。
「それじゃあ、式場と日にち、参列者を決めなきゃだな」
「……………」
「サキ、どうしたの?」
「あの、参列者なんですけど、先輩だけでいいと思います。式場もここで」
私は決して面倒になってる訳ではない。ちゃんと私なりの理由もある。
「理由を聞いてもいいかい?」
「私とミチル、女同士の結婚なんて両親に伝えたら絶対にまた一悶着ある。最終的に受け入れてくれるかも知れないけど、今、この幸せな状態で幸せを迎えたいんです!」
「ミチルちゃんの意見は?」
「私もそれでいいと思います。私達の結婚は法律上、日本では認めてもらえない。そんな非公式のような式に呼ばれても親族は戸惑うと思うんです」
真面目なミチルらしい意見。二人は同意見だったことだし、次に決めるのは式場だ。
「次は式場だけど、さっきサキちゃんがこの店でと提案したけど、本当にそれでいいの?」
「はい♪私とミチルが出逢った場所でもありますし、この店なら邪魔が入りにくいですから」
私以外に客がほぼ来ないこの店は打ってつけだ。別にディスってる訳じゃない。それに私達の思い出もたくさん詰まってるし。
「私も異論は無いです」
「日にちは一週間後でいいかい?ドレスのレンタルとかもあるし」
「ドレス?」
「ウエディングドレスだよ。必要だろ?」
ああ、ウエディングドレスか。結婚式には必要だけど……
「んー、お金が……」
レンタルだけでも数十万かかると聞いた事がある。着たい気持ちはあるが、簡単に頷く事は出来なかった。
「サキ、私が出すよ!」
「え!でも」
「いんや、ここは俺が出すよ」
ミチルの申し出に迷っていたら店長さんも申し出た。
「でも、店長さんは関係ない」
「ここまで来て関係ないはひどいじゃないか。サキちゃんは幸せな状態で幸せを迎えたいんだろ?なら、お金の心配もない状態で式を挙げた方がいいんじゃないかい?」
店長さんの申し出はすごく有り難い。どうしよう……
「俺に金の心配はないよ。印税生活だからね」
店長さんがもう一押ししてくれた。
「それじゃあ、お願いします♪」
「よかったね、サキ」
「うん♪一緒に選ぼ♪」
私達はスマホでウエディングドレスのレンタルの情報を検索。
「私、これがいいなぁ」
私は好みのドレスを指差す。
「サキに似合いそうだね」
「ありがと♪ミチルは?」
「え?私はタキシードかな」
「むぅ」
私は不機嫌そうにミチルを睨み付ける。
「な、なに?」
「ミチルは男?それとも女?」
「私は女だよ」
「心も体も?」
「うん」
ミチルの性別を再確認した。私が不機嫌になったのはこれが理由だ。
「なら、なんでタキシードを選ぶの?タキシードが着たいの?」
そうなら、その意思を尊重する。もし、くだらない真面目な理由だったら説教だ。
「だって、サキがウエディングドレスだから……」
「だから?」
「だから……ごめん、サキは何が気に食わないの?」
これは説教確定だ。
「ミチルはウエディングドレスを着た花嫁の結婚相手はタキシードを着なきゃいけないとか思ってない?」
「うん」
「ミチルの心が男だったら私もそれを許したけど、ミチルは女なんでしょ?」
「うん」
「なら、ミチルもドレスを着てもいいんだよ!二人でウエディングドレスを着ようよ!」
私達は心も体も女性だ。だからこそ、一般の新郎新婦、タキシード&ウエディングドレスのような形に拘りたくない。
「それじゃあ、サキ………私は白無垢が着たい」
白無垢………日本版のウエディングドレスみたいな物だっけ? それより顔を赤くしながら自分の要望を伝えるミチルの姿……なんか、言い表せない感情が込み上げてくる。ミチルは普段からあまり女性らしい事をしないからか可愛い。こういうのギャップ萌えというのだろうか。しかも白無垢ってのが更にグッとくる。
「うん、いいよ♪選ぼう♪」
「うん!」
さっきと同じように白無垢レンタルの情報を検索。最初は「私に似合うかなぁ」が口癖かのように連発していたミチルだったけど、私の説教でそれも無くなり納得のいく衣装を選ぶ事が出来た。
そして、大事な参列者の先輩にも連絡した。電話で伝えたのだが、報告を聞いた先輩は1分くらい無言で私の呼び掛けに反応しなかった。正直、焦ったけど我に返った先輩は心の底から祝福してくれた。それと同時にそういう事は直接会って聞きたかったと拗ねていた。
何はともあれ決めなければならない事は全て決まった。私達の結婚式は来週の月曜日、13時だ。
ミチルの真意、続きの言葉でサキちゃんとミチルは遂に結婚する事になりました!拍手!っとまだ終わりではないので祝福はまだ取っておきましょう。でも、次は結婚式なので楽しみにしててください! それでは