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私の。  作者: 大器晩成の凡人
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勇気が足りない? それとも……

 再び、先輩から勇気を補充できた私。ミチルとちゃんと向き合って、私のプロポーズを断った理由、『ごめん』の後の続きの言葉があるのかどうかを確かめなければならない。


 ピンポーン ピンポーン


 私の部屋のインターホンが鳴るが私は居留守を使う。なぜなら来訪者が誰なのか知っているからだ。その来訪者は周りの迷惑にならないようにドアをドンッドンッ叩かないし、私の名前を大声で呼んだりしない。ホント真面目なんだから。


 ではなぜ、声を上げない来訪者が誰なのか知っているかだが、簡単な話だ。スマホに来訪者からメールが届いてるからだ。メッセージアプリの方にも届いてるが、そっちで確認するとあちらにも気づかれてしまうから、そっちでは見ないようにしている。


 私はまだミチルと向き合えずにいた。


「もう……居ないよね?」


 ミチルが居なくなったのを確認して外出。一人暮らしという事もあり、部屋に籠ってばかりだと食料は減っていく一方。買い出しに行こう。


 私が買い物に入ったスーパーはミチルが働く喫茶店の近くのスーパーだ。そういえば、ミチルと仲良くなったキッカケって大量のジャムだったっけ。もしかして、このスーパーで買ってきたのかな。


「サキ?」


 そう思っていたら私を呼ぶ声。


「ミチ……ル?」


「あ、待って!」


 今、向き合わなければならない相手なのに私は逃げ出していた。せっかく先輩から勇気を貰ったのに情けなくなる。でも、体が勝手に動いてしまう。


 どれくらいミチルを引き離せただろうか? 私は体力に自信がない。どこか身を隠さなきゃミチルに捕まってしまう。すると見慣れた建物が目の前に。私は咄嗟にその建物に入り身を隠した。


「私、なにやってんだろ」


「サキちゃん、なにやってんの?」


 私の存在に気づき話しかける人物が居た。それは店長さん。私が身を隠したのはミチルが働く喫茶店、そのカウンター裏だ。ミチルが訪れてもおかしくない。後ろを振り向く余裕が無かったから喫茶店に逃げ込むのを見られてるかもしれない。逃げ場はない。仕方ないじゃないか! 私は体力に自信がないんだから! 


「店長!サキ見ませんでした?」


 ヤバイ! ミチルだ。入り口辺りに居る。店内を歩き回れば私なんて簡単に見つかってしまう。


「サキちゃんなら、もの凄い勢いで店を通り過ぎていったよ」


「ありがとうございます!」


 店長さんが私を匿ってくれた?


「店長さん、なんで?」


「ん?いやぁ、仲直りとかドラマチックなイベントは俺が居ない場所の方がいいかなって。その方が小説も盛り上がるだろうし」


「小説はもう書かなくていいです!バッドエンドですから!」


「俺にはハッピーエンドの未来が見えてるけどなぁ」


 私とミチルの状況を知らないくせになんで知ったような口を聞けるの?


「私はミチルに振られたんです」


「それじゃあ、なんでミチルちゃんはサキちゃんを追いかけてるんだい?」


「それは……」


「サキちゃんはミチルちゃんと向き合うべきだよ」


 先輩にも言われた言葉だ。まさか、こんな人にも言われるなんて。


「店長さん、なんでパチンコしてないんですか?」


 ミチル関連の話題から話を逸らす為、店長さんの趣味の話をしてみる。


「今は小説に集中したいからね。そっちは休業中。まぁ、そのおかげで俺が店番しててサキちゃんはミチルちゃんを撒く事に成功したわけだ」


「そうですね、店長さんが店番してるせいでミチルに暇な時間が増えて私とバッタリ遭遇してしまったわけですね」


「これは痛い所を突かれた」


「もう帰ります!助けてくれて、あ・り・が・と・う・ご・ざ・い・ま・し・た!」


 皮肉が通じなかった私は不機嫌さを隠す事なく礼を言った。


「ちゃんと向き合うんだぞー」


 店長さんの言葉に返事を返さなかった。言われなくてもわかってます。心の準備が出来ないんです。心の準備……どうやったら出来るんだろう。先輩からちゃんと勇気を貰ったんだけどなぁ、何が邪魔をしてるのか自分でもわからない。


 この際だから原因を自分なりに考えてみよう。私がミチルを避けるようになったのはプロポーズを断られたから、そのプロポーズをするキッカケを作ったのは店長さん。つまり、元凶は店長さん。それが原因で先輩とケンカしてしまったし。まぁ、仲直りできたからいいけど。彼女さんには感謝感謝だよ。


 そうだ、私と先輩の仲を取り持ってくれた彼女さんなら何か解決策を見つけてくれるかも。正直、未だに先輩に何をしたのかわからないけど、それも含めて彼女さんにはそこはかとない期待がある。


 私は彼女さんにメッセージを送る。介抱されたあの日、連絡先を聞いといてよかった。数分後、返事が返ってきて近くのファミレスで会うことになった。


「あ、こっちこっち!」


「サキさん!」


 先にファミレスに着いていた私は彼女さんに手招き。


「彼女さん、来てくれてありがとう!お礼に奢るから」


「奢るくらいなら私の名前を彼女さんじゃなくてミオって呼んでくれませんか?」


「あ、はい。それじゃあ、ミオ……さん」


「はい♪それじゃ、まずは注文しましょうか」


 私と彼女さん……ミオさんはそれぞれパフェを頼み、しばらくすると頼んだパフェがテーブルに届いた。


「それではサキさんの悩み相談を始めましょうか」


 そう言うとパフェを食べ始めた。私はミチルとの出来事を話した。ミチルが女性である事は伏せたが。


「つまり、それがキッカケでお姉さんとのケンカにも繋がってるんですね」


 ミオさんはパフェ用の長いスプーンをクルクル回しながら考えてる様子。


「私、心理学とかわからないですけど……」


「はい」


 ミオさんは話し始めた。心理学? そういう話なのか? と思ったがミオさんの功績を考えると自然と真剣に耳を傾ける。


「私が思うにミチルさんとの出来事でミチルさんとお姉さん、サキさんにとって大事な人を二人も失ってしまった。ミチルさんと向き合う事でまた二人を失うんじゃないかと真相心理で怯えてるんじゃないでしょうか?要はトラウマってやつです」


 たしかに心理学だった。納得だ。だが、トラウマかぁ。


「トラウマってどうすればいいんでしょう?」


「難しいですね。大抵は避けますし」


 ミオさんでも解決できないとなると本格的に私はもうミチルとは……


「サキさん、ケンカしてみません?」


「ケンカ!?」


 なに急に? それに理由がないよ。


「あ、私とじゃないですよ。ミチルさんとです」


「なんで?」


 私と先輩を仲直りさせたミオさんの提案だけど理由を聞かざるを得なかった。だって、意味がわからない。


「あのですね、ミチルさんとの出来事がトラウマになってるなら、お姉さんとケンカはしたけど仲直り出来た。それはサキさんにとって、ケンカが仲直りに結びついてるかもって思ったんです」


「ケンカか……」


「不安ですか?」


「はい」


 そりゃあ、ケンカだよ。先輩の時はミオさんが何かしてくれたおかげで仲直り出来たけど、ミチルとはミオさんは関わる事できないでしょ。顔見知りじゃないんだから。


「私はヨータくんとよくケンカしますよ。くだらない事が多いですけど仲直りしてます。だって、ヨータくんのこと嫌いじゃないですから。ちゃんと気持ちをぶつければ相手もわかってくれるし自分も相手の事がわかるし。それにミチルさんはサキさんに伝えたい事があるから、まだ連絡を取ろうとしてるんだと思います。どうです?ミチルさんとケンカしてみませんか?」


 やっぱり、ミオさんは豪快……いや、武闘派なのかもしれない。精神的な意味でだ。


「私、ミチルとケンカ……してみます」


 この後、私はミチルに何日ぶりかのメッセージを送り、念のため先輩から勇気を再チャージ。ケンカの準備は万端。

 今回でミチルと仲直り出来るかと思ったけど、サキちゃんはまだ一歩踏み出せなかったですね。そこでまたミオちゃんの活躍です!ミチルとのケンカを決めたサキちゃんは果たして…… それでは

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