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私の。  作者: 大器晩成の凡人
2/9

決めた!私、プロポーズする!

「先輩、小説の進捗はどうですか?」


「なんで私に聞くのよ?」


「それもそうですね」


 私達の小説を書いてるのは先輩ではなく店長さんなのだから。小説は私、先輩、ミチルの話を聞いて書いていくらしい。三人共、赤裸々に自分の事を話すという事もあり店長さんの気遣いで1対1の面談で話す事になった。今日はミチルが面談していて、そのせいで私の憩いの場は面談の場となり仕方なく先輩の家で暇潰しをしている。


 ピンポーン


 チャイムが鳴った。先輩の家に来客……誰なんだろう。


(姉ちゃーん)


 玄関のドアの向こうから声がした。姉ちゃんって呼ぶって事は先輩の弟くんかな? 先輩が好きな人……


「サキ、小説の話はヨータの前では話さないでよ!」


「はーい」


 先輩は玄関へ。先輩が好きな弟くんってどんな人だろう。いま思えば先輩の好みとかって聞いた事なかった。


「もう、来るなら連絡!」


「いいじゃん、ヒマだったんでしょ」


「ごめんなさい、お姉さん」


 先輩は一人の男性と一人の女性を引き連れて来た。男性がヨータなのだろう。女性は恐らく彼女さんだ。


「あ、姉ちゃん家に誰かいる!!」


「ちょっと、ヨータくん失礼でしょ!まずは挨拶から」


 私の存在に気づいた弟くんを彼女さんが注意する。


「ごめんなさい、私はミオって言います。こっちはヨータくんです」


「ども、です」


「あ、私はサキです」


 なかなか礼儀正しい彼女さんだ。弟くんはどことなく先輩に似てるかも。


「姉ちゃんの友達ですよね?」


「あ、はい」


「ちが~う!」


 私は弟くんの質問を肯定したのに先輩はなぜか否定した。


「私とサキは親友だよ~♪」


 先輩は私を引き寄せ頬と頬が密着。一瞬、驚いたが、そういう事か。私は先輩の親友だ。


「そちらの二人は付き合ってるんだよね?」


「うん」

「はい」


 私の質問に即答。これは誰かが割って入る隙は無さそう。


「そ!この二人は生意気な私の弟と可愛い可愛い私の妹になる子よ♪」


「姉ちゃんはミオの事、溺愛し過ぎなんだよ」


「仕方ないな~、久しぶりにお姉ちゃんと一緒にお風呂入ろうか?」


「入んねぇよ、絶対!」


 先輩はなんでこんなに明るく振る舞えるんだろう。先輩の気持ちを知ってる私としてはそれが痛々しく見えた。


「なんか仲が良くて妬けちゃいますね」


 彼女さんが私の耳元でつぶやいた。私は苦笑いで返した。結局、弟くんカップルの来訪には特に理由はなかったらしい。私は時折、探るような視線を彼女さんに向けていた。その度に先輩から脳天にチョップが飛んできた。この日はつまらない訳ではないがモヤモヤを抱えながら解散した。


 今日は私が店長さんとの面談日だ。面談の場の喫茶店に入ると店長さん一人だけだった。いつもはミチルが店番をしてる時間帯なのにミチルの姿はない。見慣れない光景に少し緊張しながら面談スタート。


「それじゃ、好きに話してみて」


 好きにと言われても何を話せば……


「んーーー」


「ちょっと、難しかったかな?じゃあ、先輩ちゃんとの出会いや思い出とかから話せる?」


 先輩ちゃんって………出会いかぁ、どんなんだったかな。


「たぶん、同級生の紹介で知り合ったんだと思います」


 これを皮切りに先輩との思い出を言っていいのか迷いながら話した。


「………だから、私にとって先輩からの親友って言葉は特別なんです」


「ふむ、その言葉はサキちゃんの主柱でもあるわけだ」


「はい♪」


 続いてミチルの話だ。先輩の話より内容は少ないが、ミチルの好きな所、仕草、魅力を伝えたつもりだ。


「……という訳で私達が出会えたのは店長さんのおかげなんです」


「そっかぁ、我ながらナイス活躍だな」


 そうそう、店長さんのおかげなんです。あ、でも、一番感謝してるのは先輩です。


「ところでサキちゃんはミチルちゃんとどうなりたいの?」


「え?」


 店長の核心を突くような質問に聞き返してしまった。


「君達、二人は女同士だ。子供を残す事は出来ない……」


 なに? なんでそんな話するの? 私は別にミチルとの子供が欲しい訳じゃない。


「生物として子孫を残さないのは欠陥とも言われる事があるかもしれないよ?」


 そんなの知らない! 言いたい人には言わせればいい!


 何も返せない私に店長さんの質問は続く。


「君達を受け入れてくれる人はどれくらいいる?」


 そんなの先輩がいるから問題ない。


「君達は法律上では結婚できない。君達はこの日本から認めてもらえない」


 なんで? なんで、なんで、なんで、なんで、なんで、そんな事を言うの! 同じ性別の人を好きになっちゃいけないの? 


「サキちゃん……君はミチルちゃんとどうなりたい?」


 また同じ質問。店長さんからの辛い言葉の数々、その中に私が見据えるべき言葉があった。その言葉を意識した途端、実現すべきだと私は心に決めた。


「私、ミチルと結婚……したいです!」


 泣きながら決意表明。


 この後、店長さんはものすごく謝ってきた。私の本気度を試していたらしい。すごく辛い質問ばかりだった。でも、ありがとう。私、ミチルにプロポーズする。

 店長さんのおかげでサキがプロポーズを決意しました!これはハッピーエンド待ったナシですね!次回もお楽しみに待っててください♪ それでは

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